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ゼロ・ウルフ
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第36話 大きな勘違い
md side
僕は何とか急ぎながらもシェラー神殿に着いた。本当は転移魔法を使いたかったけど、道に倒れている獣人を見捨てる選択肢が僕にはなかった。そして第一、第二階層と下って行って第三階層に到着した。
あいかわらず3枚の石板と古代魔術がかけられた封印された神殿以外に何もない静寂が漂う場所だった。だけど確かによく見れば、その古代魔術は少しずつ綻んでいて完全に解かれるのも時間の問題だった。そこに1つの足音が近づいていた。僕は後ろを振り向かなくても気配で分かった。
ガイスト(md)
「久しぶり…って言えばいい?それとも、ここに何しに来たの、ナハト。」
ナハト(nc)
「ガイストこそ、どうしてこんなとこ…いるの?」
僕はナハトの方を振り向いた。そしてナハトの様子を見て何となく察した。性反転で今のナハトは女性の体をしていた。
md
「…僕はベスティエの災いに興味があってここに来た。ただそれだけ。…この国一体で呪いが蔓延って住民は苦しんでるから、この状況を打破するヒントを得に来た。」
嘘はついていない。それにさっき神殿にかけられた古代魔術について見た時、僕は1つの可能性を得た。この可能性が正しければ、僕達は大きな勘違いをしていることになる。
nc
「そっか。僕…は、そこの神殿を再封印するためにここに来た。」
再封印。確かに今のナハトにはそれを実行に移せるほどの魔力は持ってる。きっと、僕でも知らない特別な魔法なのだろう。だけど今回の一連の騒動の確証を得るためには、今ナハトに神殿の再封印をさせる訳にはいかない。いや、この神殿を”再封印させてはならない”。
md
「…悪いけど、ナハト。この神殿を再封印させない。」
nc
「…どうして?邪魔するなら容赦、しない。」
md
「ナハト。僕は今日以外にもこの神殿に足を運んだ。それはベスティエに起こってる騒動の原因が災い呼ぶ黒龍、ウンハイルの仕業で、そのウンハイルが封印されている場所がここシェラー神殿、だよね。」
nc
「急に何、言ってるの?僕は黒龍を再封印してベスティエの平穏を取り戻さないといけない。そこ、どいて。」
ナハトは僕に敵意を向け始めた。今のナハトに勝てるかどうかは正直五分五分と言ったところか。だけどもしかしたら僕の方が押し負ける可能性もある。今ここで何とかして、ナハトの矛を収めないといけない。
md
「ナハトは、この真ん中の石板に書かれてる古代文字は読んだ?」
nc
「…読んだ。”黒龍の意志と共に”でしょ?でもそれは、黒龍を崇拝した異教徒が残したもの……」
md
「それが間違いだと言ったら?」
nc
「…どういうこと?」
md
「ナハト。僕も最初、黒龍が大昔ここベスティエに災いを振りまいたものだと思ってた。だけど、もしかしたら……」
そこで一瞬、言葉が詰まる。そう、もしかしたらここが、そもそも言い伝えられた歴史の大きな間違いだったのだ。
md
「…もしかしたら、災いを振りまいたのは……黒龍ウンハイルじゃないかもしれない。」
nc
「どうして…そう思う?」
md
「まだ確固な確証がある訳じゃないけど…この古代魔術に獣人のみに効果がある呪い。この2つの痕跡がほんの少し、違うと思った。ナハトに効果がないのは、黒龍再封印のために本来呪いにかかるところを何かが防いでいるから。その何かこそ、黒龍の恩恵なんだと僕は推測する。」
nc
「…もしその災いの原因、黒龍になかったとしたら……本当の原因、何?」
md
「…白龍。ベスティエでもほんの一部にしか伝わってない白龍伝説。その伝説にも間違いがあった。詳しい内容は抜粋するけど、白龍が世界を救った訳じゃない。白龍がベスティエに災いを呼んだんだ。」
To Be Continued………
コメント
1件
うわ、やば……黒龍が悪者じゃなかったかもしれないって、この展開めっちゃ好き。MDが冷静に痕跡を辿って、白龍伝説の間違いに気づくところ、ゾクゾクした。歴史って誰かの都合で塗り替えられるんだなって思うと、なんか重い。でもナハトとの対峙、緊張感がすごくて、続きが気になりすぎるよ……!