前半レッド視点のギャグ、
後半悪者くん視点のシリアス、
となっております。
お楽しみください。
前半…レッドくん
俺は、赤丸元気!
名前の通り、元気な性格の高校2年生!
世界を邪悪に染まらせるとか言う組織《ワルイーゾ》と戦うヒーロー・レッドやってます!
ヒーローの仕事はワルイーゾの奴らを倒したり、ワルイーゾが人間に植え付ける《邪悪パワー》を浄化したりするんだ!
先輩ヒーローのグリーン先輩が言うには
「まあ、簡単に言うとバイ菌を消毒していく感じだよ〜」
らしい。
なんか汚い…
ブルー、グリーン、イエロー、ピンクの四人の仲間とともに次々とワルイーゾを倒すぞ!
「キャー!!!」
5人でパトロール中、目の前にいた女性がいきなり悲鳴をあげて倒れた。
「大丈夫か?」
すぐにブルーが女性を助けたがすでに邪悪パワーが植え付けられていた。
辺りを見渡すと
「また会えたね。元気!」
真っ黒な服を身に纏う白髪の男がコツコツと靴の音とともに近づいてきた。
男の顔は悪の組織と言うには爽やか過ぎる笑顔でこの世のものとは思えないぐらい美しかった。
初めて合ったのに、なぜか俺はこいつに見覚えがある…
思い出そうと記憶を遡るが、ロックがかかったみたいに思い出せない…
「なんで、こんなことするッス!」
イエローが悔しそうにキッと睨みつけた。
「そんなの仕事だよ。でも、一番の理由は元気に会うため、かな…」
と、奴が言うといきなり俺に、キスしてきた。しかも、舌がぁ…
「んん〜…ふっ…んぅ…んあ…」
さよなら…俺のファーストキス…
「てんめぇ!!レッドに気安く触るな!」
ブルーが殴りかかろうとしたが、スッと簡単に避けられてしまった。
ピンクの顔が険しけなった。
「GOODホモ!三角関係、尊いかよ!」
と親指を立てて👍言ったが、何語を言ってるかよくわからない。
「元気、僕ら結婚しよう!ハネムーンはどうす…」
ドゴ…
奴が話している途中、鈍い音が鳴った。
「わぁ〜外しちゃったか…次は当てるぞ☆」
音の正体はグリーン先輩の攻撃の音だった。
しかも、いつも使ってる武器じゃなくてなぜか…
釘バットだった。
「グリーンさん!?なんで釘バット持ってんすか?!正義のヒーローがなんてもの持ってんすか!」
イエローがあわあわとグリーン先輩に聞いた。
「そこら辺のヤンキーからぶん取ってきたんだ」
にこりと笑ってグリーン先輩は答えた。
俺は心に誓った。
この人は怒らせないようにしよう。
「君なんて名前なの?悪者くん」
グリーン先輩がさっき地面に叩きつけていた釘バットを持ち直し、聞いた。
「僕の名は『セン』だ」
「教えてくれてありがとう。まぁ、殺すから意味ないんだけどね(^^)」
「グリーンさん!何言ってんスか!?」
と、やり取りしていると
誰かの電話が鳴った。
電話がかかってきたのはセンだった。
「もしもし〜ちょっと今忙し…」
センがだるそうに電話に出ると…
「おめぇ、どこで油売ってんだァ!!!!さっさと帰ってこい!!!!一ヶ月おやつ抜きにすっぞ!!!」
電話からすごい怒鳴り声が聞こえてセンは耳から電話を離した。
「うるさいなサーペント。すぐ帰るからおやつはドーナツがいいです」
少し早口でセンはブツッと電話を切った。
「今日のところはこれぐらいにして、また来るよ元気♡今度来たときは結婚式場のパンフレット持ってくるね!」
黒い霧に包まれてセンは消えていってしまった。
登場と退場『だけ』は格好いいな、おい!
「帰る!」
なぜだかブルーの機嫌が悪い。
まぁ、俺もファーストキスを失って(しかも男に)悲しいけど…
歩きだそうとしたブルーの肩をグリーン先輩がガシッと掴んで引き止めた。
「何、勝手に帰ろうとしてんの?今から反省会しまーす☆」
俺たちはファミレスへ行き、反省会が始まった。
「まず、自分の反省点ある人〜?」
すると、ピンクが手を挙げた。
「男のツーショットを撮る手が止まりませんでした」
ピンクはカシャカシャと俺達の写真を撮りまくっている。
「現在進行系じゃねぇか、てめぇ!」
ブルーがピンクのスマホを無理矢理奪った。
次はイエローが手を挙げた。
「自分、グリーンさんの暴走を止められなかったっス…」
ブルブルと泣きながら震えている。
こいつ可哀想だなぁ…
哀れみの目で見ているとブルーとピンクも同じように考えてたらしく3人でイエローを見つめた。
元凶のグリーン先輩は…
「僕はブルーくんに言いたいことがあります」
さっきまでのイエローの会話を完全スルーしていた。この人、一応リーダなのに…
「あぁ?っんだよ!ヘラヘラ男!」
ブルーは変わらず機嫌が悪い。
「ブルーくんは感情に流されやすいから気をつけてね。あと…」
グリーン先輩はブルーの頼んだポテトを勝手につまんだ。
「大切な物は死ぬ気で守るかちゃんと手元に置いとかなきゃダメだよ〜」
グリーン先輩は笑った。
なぜか俺の方を見て。
「てっめぇ…」
ブルーの怒りはもう爆発しそうだ。
「あ〜〜!今日はもう解散にしましょ!」
ピンクが察してブルーを先に外に出した。
俺達は、こんなんだけどお互いがピンチの時は助け合えるすげぇチームだ。
セン、俺は絶対にお前を倒す!
後半…悪者くん
日本最古の物語と言われる竹取物語。
美姫として有名なかぐや姫が故郷の月に帰って終わるが…
帝に間接的に別れの手紙と共に不死の薬が入った壺を渡す。
彼女はきっと、好きな人ともう会うことが出来ないが同じ刻を過ごし、生きたいと思ったのだろう。
しかし、帝は富士山でその薬を燃やしてしまう。
愛する相手からの最後のプレゼントを彼はなぜ燃やしてしまったのか。
僕は千紘。
幼い時から難病を患っていて、病院で暮らしている。
病院は退屈だ。
検査検査検査検査検査検査検査検査検査検査…
ベッドベッドベッドベッドベッドベッドベッド…
病室の窓から隣の小学校が見えた。
ドッジボールをしているみたいだ。
「いいなぁ…」
僕も友達が欲しい。
もし、友達が出来たら一緒に遊びたいな…
ガラッと病室のドアが開き、看護師さん…と男の子が入ってきた。
「今日から隣のベッド使うことになった赤丸元気くんだよ」
やんちゃな感じの子だった。
そして、腕にギプスをしていた。
おそらくスポーツか何かで腕を骨折したのだろう。
僕にとっては羨ましいことだ。
「よろしくな!君、名前は?」
男の子は骨折していない方の手を差し出した。
「千紘…」
ゆっくり僕も手を差し出し、握手をした。
「なんで、怪我したの?」
沈黙に耐えきれず話しかけたが話題がこれぐらいしかなかった。
「えっと…中学生と喧嘩して怪我したんだ」
喧嘩…
「優しそうな顔して、不良なの?」
チラッとそちらの方を見た。
「あっ!違う違う!クラスの奴が中学生に絡まれてて助けようとしたら喧嘩になっただけで…」
元気はゴニョゴニョと弁解した。
なんだかそれが可笑しくて
「ふふっ……」
久しぶりに頬が緩んでしまった。
「わ、笑うなよぉ!結構、痛いんだぞ!」
「ごめん、ごめん。でも、そういうのかっこいいと思う」
さっきまでは元気と目を合わさなかったが今度はばっちり目を合わせて話した。
「千紘は笑ったほうが、なんかいいな」
目を見てわかった。
彼はとても真っ直ぐな瞳をしている。
あれから数週間経った。
僕らは病室でこっそりキャッチボールをして看護師さんに怒られたり、元気の苦手なピーマンを処理したり…
普通の男の子みたいに過ごせて、すごく楽しい。
このまま、時が進まなければよかったのにと思う。
ある日、元気が見当たらなかったから探していた。
「あ、看護師さん!元気のこと知らな…」
声をかけようと思ったが思わず隠れてしまった。
母と看護師さんが何やら話している。
しかも、空気が重い。
「あの子の病気、治りますか…?」
「おそらく…あまり長くないかと…」
えっ…僕、死ぬの…?
気付いたら走っていた。
まだ、やり残したこといっぱいあるのに…
もし、普通の子に生まれていたらずっと、元気と普通に遊んだり普通に学校に通ったりご飯を食べたりキャッチボールをしたり出来たのに…
涙が止まらない。
。
。
。
。
自動販売機の前の近くのベンチに元気が座っていた。
「千紘、どうしたんだ?」
泣いてる僕を不思議に思ったのか元気は聞いた。
「えっと…どうしよう元気!僕、死…」
言いかけたがやめた。
元気を悲しませたくないという気持ちの方が強かった。
「ぼ、僕!遠いところに引っ越しちゃうんだって!」
怪しまれないように言い訳をした。
「そうなのか…引っ越してもまた会おうな」
元気は寂しそうに言った。
僕らに【また】は無い。
「一緒に話すのもキャッチボールをするのもすごい楽しかった。引っ越しても忘れないでね…」
かぐや姫が帝に不死の薬を残したなら、僕は元気に一緒に過ごした記憶を残す。
僕は死んでも元気の記憶の中で生きる。
それでいいんだ…
それで…
数週間後、元気くんは退院して僕の世界は灰色になった。
胸が苦しい。
病気のせいかな。
何もない病室の天井を見つめた。
退屈だ。
すると、いきなり目の前に知らない男が現れた。
驚く気力もない。
「お前さんは『病は気から』って言葉知らねぇのか?全く…」
男は長髪白スーツで全身から怪しさが出ている。
「だ…れ?」
「俺様はサーペント様だ」
いや、名前を言われても知らねぇよ。
男は頭のハットを取り、ベッドの横の椅子に座った。
「今、お前さんの身体は死にかけている。もうすぐ魂だけ飛び出てこの世を彷徨うよ」
は?意味わからん。
「今、意味わからんって思っただろ!説明してやる。人間っつーのな、肉体に魂が入って出来てるんだ。例えるなら…そうだな…ラーメンとラーメンの器🍜みたいな?」
例えしょぼ!
「人間が死ぬと器が無くなった感じで魂だけ出てくるんだ。しばらくすると魂も尽きるけどな。そこで!優しーい俺様が可哀想なお前さんを生かしてやろうとおもってな!」
やっぱりこの人、怪しい。
「精神科は上の階ですよ」
目線をあげ、上の階だということを伝えた。
「頭おかしいやつじゃねぇ!!」
ばちんと軽く頭を叩かれた。
「お前さん、この世に未練があるんだろ?だから助けてやるって言ってんのに…」
未練か…
「あいつにまた会いたい…」
布団をギュッと握った。
「じゃあ、決まりだな。これに入ってくれ」
男はどこかから鳥籠を出した。
「これにどうやって入れっていうんだよ」
僕は鳥籠を指で指した。
「ばっか!今のまま入れとは言ってない!魂が入るんだよ!ラーメンをテイクアウトするみたいな感じでさ!」
魂で入れと言われても…で、またラーメンかよ…
それに、疑問がある。
「さっき、あんたが器とかなんとか言ってたけど、俺の魂をどの器に入れんの?まさか、人間を殺してそこに僕の魂を…」
「俺様が作った怪人の中に入れてやるから安心しとけ」
やっぱりこの人、頭おかしい人なのかな…
看護師さん、助けて…
「怪人の中にお前さんの魂を入れてもそれはお前さんだ。例えるなら…ラーメンはどの器に入れてもラーメンだ!ってことだ!」
どんだけラーメンで例えるんだこの人!
「だが一つ忠告しておく」
さっきまでとは違い、男の顔が少し真面目になった。
「これを行うとお前さんはこの世に居なかった者として世界が修正される。それでも構わないならついてこい」
えっ…
それじゃあ、僕が元気に残した思い出は全て消えるってこと…
「あと、十秒だけくれてやる」
男は両手で十、九、八…と数え始めた。
ドクンドクンと心臓の音が頭の中で響く。
「上等だ!やってやるよっ!!」
呼吸が荒くなって、苦しい…水に溺れるみたいだ。
「あいつにもう一度会えるなら!怪人でも悪魔でも…なんにでもなってやる!!」
男はうつむいて小刻みに震えている。
すると、顔を上げ
「お前さん、サイッコーに面白いやつだな。気に入った」
ジリジリと男が近づいてくる。
「俺様に任せとけ。なるべく痛くないようにする」
「痛いの?!え、ちょっ、待っ!ああああああああああああああ!」
こうして僕が元気に残した不死の薬は他の者によって、燃やされてしまった。
「おーい!起きろ」
目を開けたらどんな世界が広がっているか…少し怖い。
でも、生きてる自分はどんなふうなのか気になる。
ゆっくり目を開けると…
「どうだ?」
目の前の鏡に自分が映っているが、体と顔が合っていない。
身体はゴツくて、顔だけ僕になっている。
「おい!これどーなってんだよ!」
俺は男の胸を掴んで揺さぶった。
「安心しろ!あと、2週間ぐらいで元のお前さんの身体になるから!今は魂と身体合体させたばっかだからぁ!」
こんな身体じゃ、元気に会いに行けない…
僕はガックリとうつむいた。
「改めて自己紹介をしよう。俺様の名はサーペント。ワルイーゾの社長だ」
わるい…なんだそれ
「精神科、行く?」
僕は出口にあるドアを指さした。
「だから頭おかしいやつじゃねぇって!ワルイーゾは人間に邪悪パワーを植え付ける組織!あ・く・の・組織!」
邪悪パワー(笑)
なんだそれは
「お前にはそのノルマを達成してもらう!達成しねぇと元気とやらには絶対に会わせん!」
「それを先に言え!」
俺はノルマを達成しないと元気に会えないのか…
「俺様はタダで死にかけの人間の子供を助ける趣味はねぇからな」
サーペントはニヤリと笑った。
うわぁ…こいつのことすごい嫌いになったかも…
「文句があんならさっさとノルマ達成しろ!」
元気に会えるなら…やるか
こうして僕のノルマ達成の日々が続いた。
そしてやっと…
「サーペント!お、終わったぁ…」
何年待ったことか…
嬉しさで踊りだしそうだ。
「良かったじゃねぇか。祝に新しい名前をやる」
要らない…けど、ちょっと嬉しい?
「別に新しい名前いらないんだけど…」
「別にいいだろ!今、俺様はお前の父ちゃんだから!千紘だろ…じゃあ、『セン』とかどうだ?」
「それ、有名な映画の主人公じゃねぇか!!」
サーペント、ジ●リが好きなのか…
てか、付けるならもっとかっこいいやつが良かった…
「元気、元気にしてるかな?」
僕は念願の元気に会いにあの街へやってきた。
キョロキョロと見ていると、あるところから邪悪パワーが消えていく感覚がした。
なぜだ。
気になって行ってみると
「幸せなカップルに邪悪パワーを植え付けるなんて酷い!」
数人が怪人と戦っていた。
ピンク色の服を着た女がカップルと言っていたが、あれカップルじゃなくて男二人組の友達じゃないのか?
数分後、
「ぐっはぁぁぁぁぁ!!」
怪人は倒され、終了した。
こいつら、邪悪パワーの浄化ができるのか…
もしかして、サーペントが言っていた『ヒーロー』って奴らか。
僕達にとって邪魔だな…今のうちに潰しておくか…
不意打ちしようと伺っていたが…
目を見開いた。
「元…気?」
あれは間違いなく元気だ。
会ったら拉致って僕の部屋まで連れて行こうと思ったのに…
幸せな家庭を築こうと思ったのに…
ヒーローは僕達の敵だ。
だから、元気をこっち側に連れて来ればいいんだ。
元気達をこっそりつけていると…
「元気、立ち止まってどうしたんだ?」
青色のやつが元気に話しかけた。
チッ…馴れ馴れしく『元気』なんて呼ぶな…
「いつも…この病院を通る時、なにかを忘れているような気持ちになるんだ」
元気は病院の、千紘が前に居た病室を見つめた。
えっ…
もしかして、元気の中で微かに僕の記憶が残っているのか…
誰も彼もが『千紘』を忘れているこの世界で元気くんたった一人が僕のことを少しだけれど覚えてくれている。
それってすごく…
僕は近くに居た女に邪悪パワーを植え付けた。
女はバタリと倒れ、ヒーロー達は誰だ誰だと辺りを見た。
少しずつ少しずつ近づく。
「また会えたね。元気!」
『千紘は笑ったほうが、なんかいいな』
元気に向けてにっこり笑った。
かぐや姫は月に帰ったあと、きっとまた地球へ行って帝と会ったと僕は思いたい。
しかし、帝はその人がかぐや姫だと気づかない。
気付かなくていいんだ。
もう一度会ったかぐや姫と帝はそのまま恋に落ちちゃったりするのかもしれない。
元気、君を絶対に僕のことが好きにさせる。
覚悟してね
あとがき
最後まで読んでくださりありがとうございます。
m(_ _)m
なんか、最後読んでから最初を読むとちょっと心が…
てか、千紘くんは好きの気持ちが拗らせまくってますねwww
ボツ設定をお届けします。
⚠ボツなので本編と全く関係はありません
・グリーン先輩のお兄さんがサーペント
・ピンクちゃんは男の娘(結構力強い)
・サーペントの口調がオネエ(笑)
・元気くんは好きな人がいる
・イエローはグリーン先輩が実は好き
などなど…面倒くさい設定がいっぱい♡
もっとBLしようぜ!!BL!!BL!!
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