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コメント
4件
うーん…怖い!ヤダ!泣きそうっ!
んー、確か7歳の時だったっけ?まぁ、その時のお話
蟹の行方
僕の家から結構離れた場所に超デカイ公園があったんよ。
その横に川?っていうか、手入れされたそういう場所があって、よく友達とそこで遊んでたのね。
んで、その日もそこで遊んでた。
結構遊んで日が暮れ始めた時に、1つの影を視界の隅で捉えたんだ。
そのまま視点をそこに向けたら、蟹が居たんだ。
「……..?!」
驚きすぎて声が出なかった。
まるで金縛りにあったかのように、体が動かなかった。
蟹は特に動きも見せずに、ただじっと静止してた。
それで少し冷静になって、その蟹を凝視した。
そしたら急にガシッて肩を掴まれて、反射で後ろをバッて振り返った。
「︎︎雲、大丈夫?急に動かなくなったけど…..」
「え、あー、…..大丈夫、だよ」
友達だった。
それで安心して、固まってた体が動くようになった。
それで、蟹の方を見直したんだ。
けど、そこには…..
「あれ……?」
何も居なかった。
まぁ、きっと速く動いたんだよなーなんて、呑気に考えてた。
その後は蟹の事なんか忘れて、普通に家に帰った。
けど、考えたらおかしな事が沢山あるんだ。
僕が見てる間動いてなかったのに、一瞬目を離した隙にどうやって居なくなった?
あそこは長い一本線、横幅も広く隠れる場所なんて一切無い。
地面に潜った?ううん、石が少しあるだけで隠れるスペースなんてある筈ない。
何より、体が僕の掌より2回りも大きかったのだ。
そんな大きい蟹が、一瞬にしてどうやって動く?
そして、友達が話しかけてくれるまで動かなかったんだ。
いや、動けなかった。
固定されたフィギュアのように、指1つさえ動かなかった。
もしあの時、友達が居なかったら….。
そういえば、友達も僕と同じ方向を見てたらしい。
何も、居なかったんだって。
空を見て青ざめてる僕しか居なかったらしい。
何も無かったから、良かったけどね