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#溺愛
桜咲かな
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桜咲かな
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#百合
第四十九話 偶然じゃない
翌日。
彼は、昨日見つけた紙のことを何度も考えていた。
「返すまで、預かってて」
誰に返すのか。
何を返すのか。
それだけが分からない。
けれど、キーホルダーのことを考えれば考えるほど、無関係とは思えなくなっていた。
放課後。
彼女からメッセージが届いた。
『昨日の紙のこと、もう一回見せて』
『いいよ』
写真を送る。
彼女はしばらく画像を見つめていた。
『やっぱり』
『何か分かった?』
『私の昔のメモと比べてみた』
彼女から、別の写真が届く。
古いノートの一ページ。
二つの文字を並べてみると、確かに似ている。
『同じ人が書いたって断言はできないけど』
『うん』
『書き方、かなり似てる』
彼は紙を見つめた。
もし本当に彼女が書いたものなら。
なぜ自分が持っているのか。
そして、なぜ彼女自身が
そのことを覚えていないのか。
『俺たち、昔会ったことあるのかな』
彼が送る。
既読がつく。
けれど、なかなか返事は来ない。
やがて、
『……分からない』
とだけ届いた。
彼女も同じことを考えている。
それが分かっただけで、不思議な気持ちになった。
今までなら、偶然だと片づけていた。
でも今は違う。
写真。
キーホルダー。
駅。
そして、事故の前後に残された記録。
一つ一つは小さなものなのに、
同じ場所を指している。
彼はもう一度、古い箱を開いた。
中に残っているものを全部確認する。
すると、底の方から一枚の写真が出てきた。
今まで見たことのない写真だった。
二人の人物が写っている。
顔は見えない。
けれど、片方の手には――
あのキーホルダー。
そしてもう片方の手には、青いリボン。
彼は写真を見つめたまま動けなくなった。
『これ……』
すぐに彼女へ送る。
しばらくして返信が来る。
『その写真』
『うん』
『私のところにも、同じ写真がある』
彼の心臓が大きく跳ねた。
『同じ?』
『うん。ただ、私の写真には裏に文字がある』
『何て?』
彼女は写真を撮って送ってきた。
写真の裏。
そこには、古い文字で短く書かれていた。
「忘れても、見つけて」
彼はその言葉を何度も読んだ。
誰が書いたのか。
誰に向けた言葉なのか。
まだ分からない。
でも、もう「偶然」で片づけることはできなかった。
二人の過去には、確かに何かがある。
そしてその何かは、
事故によって失われた彼の記憶の中に眠っている。
彼はスマートフォンを握った。
『ちゃんと知りたい』
彼女から、すぐに返事が来た。
『私も』
二人はまだ知らない。
この写真が、過去を知るための
最初の大きな手がかりになることを。
そして、その写真の中に写っている二人が――
自分たち自身であることを。
コメント
1件
うわあああ第49話、読み終わったよ…!😭💕 「忘れても、見つけて」って裏書き、エモすぎるでしょ…!写真の中の二人が自分たち自身だってまだ気づいてないのがもう切なくて、でも二人とも「ちゃんと知りたい」「私も」って同じ方向向いてるのが尊すぎる…!!クラリス先生、この積み重ね方、本当に心臓にくるっす…!次が気になりすぎて夜しか眠れないんだけど!!😤💖