TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

『全てのカップルが運命の赤い糸で結ばれました。あなたたちの使命は果たされました』

スクリーンの文字が輝きを増す。

「これで元の世界に…」

その言葉が終わらないうちに、また視界がぼやけ始めた。

「なおくん!」

「大丈夫、手を離さないから!」

強く握り合った手を、最後まで離すまいとする。意識が徐々に遠のいていく―

◇◇◇◇

「…くん!なおくん!」

「うっ…」

目を開けると、そこは文化祭準備で残っていた教室だった。夕暮れ時の光が差し込んでいる。

「夢、だったのかな…」

沙耶が不安そうに呟く。時計を見ると17時30分。異世界に飛ばされる直前の時間に戻っている。

「違うよ」

スマートフォンを取り出して確認する。ギャラリーには、異世界でこっそり撮っておいた白い部屋の写真が残っていた。

「本当だ。私のにも写真が…」

「全部、現実だったんだ」

お互いに顔を見合わせる。異世界での出来事。そして、伝え合った想い。

「なおくん、その…私たち」

「付き合うんだよね」

「うん」

照れくさそうに頷く沙耶。

「あのさ」

「なに?」

「帰り道、手を繋いでもいい?」

「…もう、聞かなくてもいいのに」

そう言いながらも、沙耶は自然と手を差し出してきた。

「じゃあ、帰ろうか」

「うん」

教室を出て階段を降りていく時、ふと廊下に人影が見えた。

「あれ、山本くんと椎名さん?」

図書室から出てきた二人は、何やら嬉しそうな表情で話している。

「健一、やったみたいだな」

「美咲さんも嬉しそう」

その向こうには、生徒会室の前で立ち話をする三島先輩と白鳥先輩の姿も。

「凛先輩、なんか柔らかい表情してる」

「三島先輩も、いつもより自然な笑顔だよね」

二組のカップルを見送りながら、校舎を後にする。

「なあ、さっちゃん」

「ん?」

「俺たちも、結構いいカップルになれそうじゃない?」

「どうしてそう思うの?」

「だって」

歩きながら繋いだ手を軽く揺らす。

「こうしてるの、すっごく自然だから」

「…そうだね」

夕暮れの街を、ゆっくりと歩く。明日からは恋人同士として過ごす日々。でも、きっとそれは今までと大して変わらない。

だって俺たちは―幼なじみで、親友で、そしてこれからは恋人。

「なおくん」

「ん?」

「明日からの文化祭準備、楽しみだね」

「今までと何も変わらないと思うけど」

「違うよ。私、なおくんのこと好きって、堂々と言えるんだもん」

「あ、それは俺も」

照れくさそうに笑い合う。

「でもさ」

「うん?」

「運命の赤い糸に頼らなくても、きっと俺たちは気づけたと思う」

「そうだね。ちょっと遠回りしただけ」

「その方が、俺たちらしいかもな」

手を繋ぎ直して、また歩き始める。

「なおくん」

「なに?」

「好き」

「…俺も、好きだよ」

夕焼けに照らされた街を、新しいカップルが歩いていく。 異世界で紡いだ赤い糸は、きっとこれからも二人を結び続けるだろう。

でも、それ以上に強く二人を繋いでいるのは― この15年間で育んだ絆と、やっと気づけた想い。 そして、これから紡いでいく未来への期待。

そんな想いを胸に、俺たちは歩み続ける。 手と手を、心と心を、しっかりと繋ぎながら。

この作品はいかがでしたか?

41

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚