テラーノベル
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夜の十一時を少し過ぎたころ。
リビングの時計が、静かな部屋に小さく音を響かせていた。
👑「……いるまくん、まだかなぁ」
ソファに座ったみことは、スマートフォンの画面を見つめていた。
今日は、いるまの帰りがいつもより遅かった。
帰ってくる時間は聞いていたし、仕事が忙しいこともわかっていた。だから、寂しいなんて言うつもりはなかった。
ただ、いつもなら隣にいる人がいない。
それだけのことなのに、部屋がいつもより広く感じる。
👑「……会いたいな」
ぽつりと呟いて、みことはクッションを抱きしめた。
連絡をしてみようかとも思ったけれど、忙しいところを邪魔したくない。
もう少し待っていれば帰ってくる。
そう思って、みことはテレビをつけた。
けれど、画面の中で誰かが楽しそうに話していても、内容はほとんど頭に入ってこなかった。
気づけば、スマートフォンを手に取っている。
画面には、いるまとのメッセージ。
💜『もうちょいで帰る』
それが届いたのは、三十分ほど前だった。
👑「……もうちょいって、どれくらいなんだろ」
文句を言いたいわけじゃない。
ただ、声が聞きたかった。
顔が見たかった。
いつもみたいに、帰ってきたいるまに「おかえり!」って言って、ぎゅっと抱きつきたかった。
そんなことを考えていたとき。
玄関のほうから、鍵の開く音がした。
📢「ただいまー」
聞き慣れた声。
みことはクッションを放り出し、ぱたぱたと玄関へ向かった。
👑「いるまくん!」
📢「お、みこと。起きてたんだ」
靴を脱いでいたいるまが顔を上げる。
次の瞬間、みことが勢いよく抱きついてきた。
📢「うおっ」
少しだけ驚いた声を出しながらも、いるまはすぐに腕を回して受け止めた。
📢「……ただいま、みこと」
👑「おかえりなさいっ!」
ぎゅう。
みことの腕に、ぎゅっと力がこもる。
いるまはその背中をぽんぽんと撫でた。
📢「……ん? どした?」
いつもと変わらない、穏やかな声。
それを聞いた途端、みことは余計に離れがたくなってしまった。
👑「……んーん」
📢「ふーん?」
👑「……なんでもない」
📢「そっか」
いるまはそれ以上、無理に聞かなかった。
ただ、みことが離れるまで、そのまま抱きしめていた。
けれど。
しばらくしても、みことは離れなかった。
いるまは小さく笑って、みことの頭に頬を寄せる。
📢「……みこと」
👑「ん?」
📢「俺、まだ玄関にいるんだけど」
👑「……うん」
📢「靴、脱ぎたいんだけど」
👑「……うん」
📢「……離す気ねぇな?」
👑「……だめ?」
ほんの少しだけ、声が小さくなる。
いるまは一瞬、黙った。
#ご本人様とは一切関係ありません
るき(転生垢)
32
#雑談(?)
꒰ঌ甘咲ぬな໒꒱🍭@転生垢
4,236
それから、ふっと息を吐いた。
📢「……だめなわけねぇだろ」
そう言うと、いるまはみことの背中に腕を回し直した。
📢「ほら。これでいい?」
👑「……っ!」
みことの顔が、ぱっと明るくなる。
👑「うんっ!」
📢「んふ。単純」
👑「単純じゃないもん!」
📢「はいはい」
口では適当に返しながら、いるまの手はずっと優しかった。
みことの髪を撫で、背中をさすり、たまに抱きしめる力を少しだけ強くする。
そのたびに、みことの肩から力が抜けていった。
やがて、いるまがようやく靴を脱ぎ終える。
📢「よし。じゃ、リビング行くか」
👑「……うん!」
返事はしたものの、みことはいるまの袖をつまんだままだった。
いるまはその手に気づいて、視線を落とす。
📢「……まだなんかある?」
👑「……」
みことは迷った。
言ってしまえば、きっといるまは聞いてくれる。
でも、こんなことで甘えていいのだろうか。
仕事で疲れているはずなのに。
自分ばかり、そばにいてほしいなんて。
📢「……みこと?」
名前を呼ばれて、みことは小さく息を吸った。
👑「……今日ね」
📢「うん」
👑「……ちょっとだけ、寂しかった」
言った瞬間、恥ずかしくなった。
みことはうつむいて、いるまの袖を握る指に力を込める。
👑「ごめんね。お仕事なのに、こんなこと言って……」
📢「……は?」
いるまの声が、少し低くなった。
みことはびくっと肩を揺らす。
👑「え、あ、ちがっ、怒らせたかったわけじゃなくて……!」
📢「いや、怒ってねぇよ」
いるまはすぐに否定した。
そして、みことの顔を覗き込む。
📢「……なんで謝んの?」
👑「だって……」
📢「寂しかったんだろ?」
みことは、こくりと頷いた。
📢「じゃあ、寂しかったって言えばいいじゃん」
あまりにも自然に言われて、みことは目を瞬かせた。
👑「……でも、いるまくん、疲れてるでしょ?」
📢「そりゃ疲れてるけど」
いるまは少し考えてから、みことの手を取った。
📢「お前に会いたかったのは、俺も同じだし」
👑「……え?」
📢「帰ってきたら、みことがいるってわかってたから頑張れたんだけど?」
さらりと言われた言葉。
みことの頬が、みるみる赤くなっていく。
👑「……っ、いるまくん……!」
📢「ん?」
👑「……そういうの、急に言わないで……!」
📢「なんで?」
👑「恥ずかしいからぁ……!」
いるまは声を立てずに笑った。
📢「んふ。かわい」
👑「もうっ!」
みことが抗議しても、いるまはまったく気にしていない。
それどころか、つないだ手を引いて、みことを自分の胸元へ寄せた。
📢「ほら。もうちょい充電しとく?」
👑「……じゅうでん?」
📢「そ。俺も足りてねぇから」
そう言って、いるまはみことを抱きしめた。
みことは一瞬だけ目を丸くして、それから、ゆっくりと腕を回した。
👑「……じゃあ」
📢「ん?」
👑「……いっぱい、充電する」
📢「おー。好きなだけどうぞ」
みことは、いるまの胸に頬を寄せた。
聞こえてくる鼓動。
自分を抱きしめる腕の温度。
帰ってきてくれたこと。
こうして、そばにいてくれること。
それだけで、さっきまで胸の奥にあった寂しさが、少しずつ溶けていく。
👑「……いるまくん」
📢「んー?」
👑「……すき」
いるまの手が、一瞬止まった。
📢「……お前さぁ」
👑「……?」
📢「そういうの、ずるくね?」
👑「えっ!? な、なんで!?」
📢「……いや、なんでもねぇ」
いるまはみことの頭に顔を埋めた。
その表情は、みことからは見えない。
けれど、耳がほんの少し赤くなっていることには、気づかなかった。
📢「……俺も好きだよ」
小さな声。
けれど、みことにはちゃんと聞こえた。
👑「……っ!」
みことは、いるまの服をぎゅっと握る。
👑「……もう一回」
📢「は?」
👑「……もう一回、言って?」
いるまは顔を上げた。
いつもの余裕たっぷりな表情。
けれど、目元はどこか柔らかい。
📢「……好き」
👑「……っ、うぅ……!」
📢「好きだよ、みこと」
👑「わ、わかったからぁ……!」
📢「えー? もういいの?」
👑「よくないけど、恥ずかしいの!!」
📢「んははっ。どっちだよ」
みことは顔を隠してしまった。
そんなみことを見て、いるまはまた笑った。
けれど、今度はからかうのをやめて、そっと抱きしめ直した。
📢「……今日は一緒に寝よ」
👑「……うん!」
📢「明日、朝早くねぇし」
👑「ほんと!?」
📢「ほんと」
👑「じゃあ、いっぱい一緒にいられるね!」
ぱっと顔を上げるみこと。
その表情があまりにも嬉しそうで、いるまは目を細めた。
📢「……だな」
それから、みことの額に軽くキスを落とす。
📢「だから、今日はもう寂しくねぇよ」
みことは、しばらく何も言わなかった。
ただ、いるまの手を握り直す。
そして、小さく笑った。
👑「……うん」
今度の返事には、もう寂しさは混じっていなかった。
ふたりは手をつないだまま、寝室へ向かった。
ベッドに入ってからも、みことはいるまの服の袖をつまんでいた。
📢「……みこと」
👑「ん?」
📢「それ、寝るまで握ってんの?」
👑「……だめ?」
📢「だから、だめじゃねぇって」
いるまはみことの手を取って、自分の手のひらに包んだ。
📢「ほら。こっちのほうが、離れねぇだろ」
みことは目を丸くして、それから、幸せそうに笑った。
👑「……うんっ」
指を絡めて、手をつなぐ。
やがて、みことのまぶたがゆっくりと下がっていった。
👑「……いるまくん」
📢「ん」
👑「……明日も、いっしょにいてね」
いるまは、眠りかけたみことの髪を撫でた。
📢「……当たり前だろ」
その声を最後に、みことは安心しきった顔で眠りについた。
いるまは、つないだ手を見下ろした。
それから、眠っているみことのほうへ少しだけ近づいて、額にそっと口づける。
📢「……おやすみ、みこと」
普段は、何度も口にしない言葉。
けれど、伝えなくてもいいわけじゃない。
寂しい夜も。
忙しくて、すれ違いそうな日も。
こうして帰ってくる場所があって、待っていてくれる人がいる。
それが、いるまにとっても、何より大切なことだった。
だから今夜は。
つないだ手を離さずに、いるまも静かに目を閉じた。
ふたりの夜は、いつもより少しだけ、あたたかかった。
コメント
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読んだ読んだ〜!!😭💕 第2話、尊すぎて胸がギュッてなったよ…!! みことちゃんの「寂しかった」って素直に言えるの可愛すぎるし、いるまくんの「お前に会いたかったのは俺も同じ」って返し、反則でしょ〜〜!!🫠💞 充電って表現もエモすぎてずるい…! つないだ手離さずに寝るところ、心臓もたんかった… 次の話も絶対読むからね!!るき先生ありがとうございます🌸✨