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るしゅ
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#探偵
橘靖竜
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コメント
1件
ああ、第40話…なんかもう、めっちゃ荘子だったな。胡蝶の夢をエロファンタジーに落とし込む発想すごいわ。雪乃が蝶になって心春の肌を啜る描写、艶っぽいんだけどどこか物悲しくて、朝起きて必死に現実に戻る感じが切ない。「お互い名前も知らないまま」で終わるラスト、いい余韻残すなあ。まだ40話、続きあるなら見たいなあ🔥
昔者、荘周、夢に胡蝶と為る。栩々然として胡蝶なり。自ら喩しみて志に適へるかな。周たるを知らざるなり。俄然として覚むれば、則ち蘧々然として周なり。知らず、周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるかを。周と胡蝶とは、則ち必ず分有らん。此を之れ物化と謂う。
——荘子のこの言葉を、藤代雪乃は夜になるたび思い出す。
藤代雪乃。都内の大学に通う二年生。黒髪を肩で軽くまとめ、知的な印象の美人だ。
普段は物静かで、図書館に入り浸るような学生だった。しかし彼女には、誰にも言えない秘密があった。夢の中で「蝶」になる能力である。
その能力に目覚めたのは、学院の前を通りかかったときのことだった。
制服姿で歩いていたピンク髪の少女——橘心春に、一目で心を奪われたのだ。
明るくて、ふわふわした髪に、むっちりとした体つき。雪乃はそれから毎晩、心春のことを想うようになった。
そして夢を見る。
自分が胡蝶となり、夜の風に乗って学院の寮へ飛んでいく夢を。
心春は夕方から夜にかけてお風呂に入り、上がった後もしばらく全裸のまま部屋を歩く癖があった。
暑い季節には特にそうだった。タオルも巻かず、ピンクのゆるふわボブを揺らしながら、むっちりとした身体を空気に晒す。
Fカップの胸が自然に揺れ、夜の闇の中で彼女の肌は淡く燐光を帯びて光る。自分の能力だと彼女は思っていた。
その光に導かれるように、雪乃は蝶の姿で部屋の窓から入り込んだ。
小さな蝶が、全裸の心春の肌にそっと止まる。肩に、胸の丘に、お腹に。触れるたびに、心春の身体がびくんと震えた。
「ん……くすぐったい……」
心春は誰もいない部屋で、不思議そうに自分の肌を見た。蝶が吸い付いている場所から、じんわりと熱が広がっていく。
恥ずかしい場所にも、蝶は迷わず止まった。
心春の呼吸が次第に上り、肌が汗ばみ、甘い熱が下腹部に集まっていく。
淡い光が強く、部屋全体が幽玄な輝きに包まれた。
雪乃は蝶のままで、満足するまで心春の肌を吸う。
これは夢なのか、現実なのか。
自分が蝶になっているのか、蝶が自分になっているのか。
荘子の言葉が、夜の闇に溶けていく。
朝、雪乃は大学の自分の部屋で目を覚ます。
シーツは汗でびしょびしょに濡れていた。
身体の芯がまだ熱く、落ち着かない。
シャワーを浴びながら、温度を低くしたお湯を胸や少し恥ずかしい場所に当てて、自分を慰めるように熱を冷ましていく。
それでも、毎晩、雪乃は蝶になって心春のもとへ通った。
心春もまた、誰にも言えないまま、その「くすぐったい夜」を待つようになっていた。
お風呂上がりの全裸の時間に、淡く光る自分の肌に蝶が止まること。
それが次第に、一日の終わりの密かな楽しみになっていたのだ。
ある夕方。
たまたま寮の近くを通りかかった美少女探偵——姫神姫は、窓から漏れる淡い光に気づいた。
不審に思って近づくと、全裸の心春の身体に、光る蝶がいくつか吸い付いているのが見えた。
「これは……超能力??」
探偵は窓を開け、光る蝶に手を伸ばした。指先が触れた瞬間、蝶は煙のように消え、同時に心春の肌から燐光もすっと失われた。
「え……?」
心春は呆然と自分の身体を見る。もう光らない。蝶も来ない。
探偵は「裸だと風邪ひくよ?」と明るく言って去っていった。
心春は窓辺に立ち尽くした。
くすぐったい感触も、淡い光も、もう戻ってこない。
少しだけ、物足りない。少しだけ、探偵のことが恨めしかった。
一方、雪乃は翌朝、夢を見られなかったことに気づいた。
蝶になる感覚が、きれいに消えていた。
「……夢、だったのかな」
彼女は静かにそう呟いた。
現実の自分が本物で、蝶は夢だったのか。それとも、その逆だったのか。
答えは、もうわからない。
それでも、心春は以前と変わらず明るく学院に通い、雪乃は静かに大学生活を続ける。
二人は直接会うことはなく、互いの名前も知らないまま。
ただ、夜が来るたびに、どこかで淡い光の残像が揺れているような気がした。
一応?めでたし、めでたし。