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若井「お邪魔します」
人の家に入る上での礼儀としての挨拶をしても、その言葉に返事はなく、さっさと廊下を進み買ってきたものをリビングのテーブルの上にドサッと置き、ソファへと腰掛けた元貴。
元貴の後に続きリビングに入り、向かい合う方がいいかと思い、俺がラグに腰を下ろそうとしていたら
大森「ここ」
『ここ』と愛想無く指定した場所は元貴の隣。
いつも俺がここに来た時に座る場所だった。
その言い方にムッとしたが、否定したり苦言すれば早々言い合いになるかもと思い、グッと言葉を飲み込みあえて元貴と反対側から回り、言われた場所に座った。
元貴が買ってきたものどれもこれも片っ端から開け、普段ふたりとも酒は呑まないのに酒もあり、あきらかに人数分より多くのプルタブの音を響かせていた。
どれでも好きなものを呑めと言わんばかりにふたりの間に開けられた酒がどんどん置かれていく。
俺もお前も酒全然呑めないじゃんと心で悪態をつきつつ、『人間酔った時ほど本音が出る』という事なのだろうと解釈し、呑んで酒の力で言いたい事全部言おうと決め、手前にあったビールを元貴と乾杯も無く呑んだ。
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