初の書き下ろし短編なので、拙い文章ですが暖かい目で見ていただけると幸いです。
〜本編〜
これは人間の文明がまた栄え始めた頃のお話。
その日少年は、悪魔を見た。
おつかいの帰り、ひとつ路地に入ったところ。
そこで人では無い何か?が
他人の心臓の辺りから光の塊、おそらく僕らが魂と呼んでいるものを 取り出しているところを見てしまった。そのおかげか、やけに綺麗な死体が出来上がっていた。
(なんて、ものを見てしまったんだ)
しかも、最悪なことにソイツと目が合ってしまっているではないか。
このまま、では自分も殺される。
そう思った瞬間、ソイツは話しかけてきた。
「おい、そこのガキ。オレと ちょっと契約しねぇか?」
(はぁ?コイツは何を言っているんだ)
「たった今コイツはオレが生気を抜いて仮死状態になってる。」
そう言ってソイツは手のひらの上にある生気っていう光の玉(魂)を見せてきた。
「コイツは罪人だ。なんせ、隠れて人を殺したんだからな。でもよ、こいつの寿命はまだまだ残ってる。その証拠に今オレの手元にある生気は結構な大きさだ、」
「そこでよ、悪魔の契約をしよう。お前はなんでか知らんが、悪魔であるオレが人を裁いてるところを見ちまった。
だからよ、コイツの生気でお前の寿命を伸ばす代わりにコレを見なかったことにするか、それともここでオレに証拠隠滅の為に殺されるか選べ。」
(んな、こと急に言われても)少年は内心思った。目の前の人間は見知らぬ罪人だ。正直自分には関係ない存在。ここでこの人が死んでもいいと。
数秒経って、少年は狂気じみた目で言った。
「それを、俺にくれ。」
悪魔は何かを隠すような笑顔でそれをオレの体に吸収させた。
その瞬間、少年の体には激痛が走った。
「ヴぁぁぁぁぁぁあ”ぁぁぁ、」
全身の骨が砕けるような音がバキバキとなり、何故か意識も朦朧としてきた。
なんだか、死ぬような気がした。
悪魔はさっきよりも、もっと憎く見える笑顔で、
「君は最初からここで死ぬ運命なんだよ。オレは生気 を確かに渡した。それと同時にこの人間が負ってきた痛みも与えた。これでもっとオレの寿命を伸ばせる」
と冷たく言い放った。
そうか、どっちを選んでもオレは寿命を取られて死んでたのか……。
そう思いながら少年は死んだ。
傷一つ付かぬまま。
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