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私とサイラス王子が結ばれるのは運命…?


「おはようルナ…昨夜はすまなかったな」

「い、いえ…大丈夫です…。」

「…………ふっ、そんなに俺の脇腹のこれが気になるか?」

「!?、い…いいえ!あ!ちょっと!めくらないでください!」

翌朝、いつにもましてだるい体をベッドからおこす。

昨夜、サイラス王子のラバーズトーンの効果を体の芯から受けた私は一瞬意識を失い、サイラス王子のベッドで眠ってしまった。

サイラス王子はラバーズトーンで意識のふやけた私と甘い時間を過ごそうと思っていたそうだが、いざ手を出そうとした時、ユリアとジャックが部屋を訪ねて来たらしい。なんでも、ジャックの部屋に行って以降、私がなかなか部屋に戻らないことを心配してやってきたらしい。そして、サイラス王子と彼をちゃかす酔っぱらいのジャックはユリアに拳骨をくらわされ、私は自室に運ばれ、今日こうして彼の前に立っているわけだ。

「ラバーズトーンによって気絶するのは最初だけだ、これからお前はどんどんこれを見るたびに俺のことが好きになるんだぞ。」

「うう……王子ともある人がそんな道具をつかって恋愛するなんて…。」

「王族はみなやっていることだぞ、ルナ。国を治める一族にとって婚約は国の繁栄に大きくかかわる…これがあれば暗殺を狙う妃候補などを一掃できるし…なにより、お前を逃がさずに済む。」

「!?」

サイラス王子はどこか黒い笑みを浮かべ、私の顎をクイッと指で持ち上げた。

「俺がこれをいれたとき、お前が俺の恋人になってくれることが確信できてとっても嬉しかった…。

アルベルト、ジャック、その他俺以外の男については考えるな、いいな?」

「えっ…か、考えるくらいは…」

そう言いかけた瞬間、サイラス王子は私の手をつかみ、自身のラバーズトーンに触れさせた。

ぴりぴりと熱いその部分と彼の鋭い目にまた頭がくらくらしてくる。


…あれ、サイラス王子ってこんなにかっこよかったっけ?こんなに独占欲の強い人だっけ?

「ルナ?」

……私の知っていたサイラス王子は気さくで、穏やかで、もっと優しい目をしていたはずだけど…。

…いや、でも。

「わかり…ました。」

…今の王子、見ててどきどきするし。まぁいっか。





「いいんじゃない?それで」

数分後、魔王城まであと少しの場所で私とユリアは焚火にあたっていた。

ユリアはすっかり元気になり、河で撮った二匹の魚を交互に頬張っている。

「いいのかな、このまま…サイラス王子を好きになっちゃって…全部運命にゆだねちゃって…。」

「いいんじゃない?…ここだけの話、ルナは災難尽くしで見ていてかわいそうだったもの。」

「そうかな?」

「そうよ、生まれてすぐ奴隷市場に売られるし、そこでジャックの家に買われたと思ったら攫われて魔物の食い物にされかけるし、それで私が助けて私と同じ賢者になろうと思ったら、適正審査で誰もなりたがらない風水師にさせられちゃうし、それでさんざん賢者志望の子たちからいじめられて、見返してやると思って私とジャックでパーティ組んで魔王倒そうと思ったらアルベルトでしょ?王子でしょ?…

貴方の人生、災難だらけじゃない。」


「うー…ん、言われてみれば確かに。」


「でしょ?…それに…ここだけの話ね、私はサイラス王子がルナを想っていたこと、ずっと前から知っていたのよ。

あの方に初めて会った時、賢者なりに何かの気を感じたの。この人がルナを幸せにしてくれる気が……。」


「えっ!?」

驚く私にユリアは魚をすべて食べつくして、水を口に含んだ。


「王子は私にこう仰っていたわ、「ルナは災難にあってもひとりでもがいて立ち直ろうとしている、それがすごいと思う反面とても傍観するのが苦しい。胸が痛い、努力の文だけ何かいいことを授けてやりたい」って、私はその言葉にとても共感したわ。だから、貴方とサイラス王子の恋路を私は応援したの……。」


「ユリア……。」

「…でも、今思えば少々強引すぎたわね…嫌だったかしら?」


ユリアは子犬のような眼で隣に座る私を見つめ、ピトッとからだをくっつけてきた。

私はその様子を見て驚くと嬉しさを感じていた。ユリアは生まれながら魔法が使える天才少女として、国中で有名だった。おまけに彼女はどんな人にも優しく、幼いころから魔法で慈善活動を行い、人々から尊敬されていた。私が賢者を志望していたのもそんな彼女にあこがれていたからだ。一緒にパーティを組んで大人になってからもどこか自分と別次元の存在だと思っていた彼女が、自分の知らないところで自分を気にかけていたことを私は全く知らなかった。

…こんなにも私のことを気にかけてくれるなんて、このパーティに入って、いや

風水師になってよかったかも…。


「嫌じゃないよユリア、ありがとう。私は幸せ者だね。」

「!、そう、よかった…これからもずっとサポートするからね、ルナ。」

「えへへ、私もだよ。」






























「ご主人様…。」










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