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芥川を拾って数日後。食事のマナーや、目上の人に対する言葉遣い等が身に付いてきた。何とか芥川を首領に見せる日に間に合って、ほっと息をつく。

最近は、組織での新しい生活にも慣れてきたらしい。やっとベッドで寝る習慣もついた。後、物覚えも良く、文字も小学校6年生位迄なら読めるようになった。書くのは未だ慣れないらしい。


芥川に余裕がありそうならば、そろそろ自分の身を守れるように護身術や体術を教えても善いかもしれない。

前の世界では自分の異能力に頼っていたが、それだけでは何時か限界が来てしまう。只でさえポートマフィアは沢山動かなければならない為、肉体や体力面も鍛えなければならないのである。

拾ってきてから殆ど部屋で漢字や計算ばかりしていて、体も鈍っているだろうし。

そうと決まれば早めに行動した方が善い。俺の持論である。


「芥川ぁ。体術、教えてやるよ」






そんなわけで連れてきたのは地下に在る部屋の一つ。なかなかの広さがある部屋である。

長距離・中距離型の異能を持つ芥川が、距離を詰められても戦えるように。というのもあるが、2割位は変な輩に絡まれても身を守れるように、という理由である。

芥川は、今まで異能力で戦ってきて、体術なんて殆ど経験が無い。其の為、先ずは基本から教えた方が善いだろう。






地下室で特訓を始めて2時間が経った。攻撃に反応は出来ているが、体が追い付いていない。まあ、最初はこんなものだろう。

未だ動けます、とボロボロの状態で云う芥川を担ぎ上げ、地下室を後にする。嗚呼、そうだ。所々にある擦り傷を後で確りと消毒しなくては。芥川に任せると放置するだろうから。


風呂に入り、傷を消毒して、包帯を巻く。消毒が傷に染みるのか、時折顔を歪めている。


「中也さん、如何でしたか?」


突然、そう話し掛けられて何の事かと思ったが、訓練の事について訊かれているのだと気付いた。

平常を装っているが、手は僅かに震え、瞳が不安そうに揺れている。貧民街では弱い者から死んでいったから、其の頃の考え方が染み付いているのだろうか。


「未だ直す所は有る。が、確り反応は出来ていたし、初めてにしては上出来だ」


やるじゃねェか、と頭を撫でてやる。芥川が一番喜ぶ褒め方だ。

頭を撫でると、顔が緩んでそれはそれは嬉しそうに微笑むのだ。恥ずかしいのか直ぐに袖などで顔を隠してしまうが、隙間から見える耳や首筋がふんわりと朱く染まっているのが見えて、其れが又可愛いのである。どれだけ俺を夢中にさせれば気が済むのか。



傷の手当てが終わった後、一緒に夕飯を食べてベッドに入る。明日は芥川を首領に見せる日である為、何時もより寝る時間が早い。

今日の訓練で疲れてしまい、ベッドに入って早々に寝てしまった芥川の額にそっとキスをして眠りについた。

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