テラーノベル
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実際の団体、個人とは無関係です。
※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他、捏造した設定が多く含まれます。
※中華絵巻を元にしてま
※※※ 閲覧には十分注意してください。
仕事終わり、自分の部屋。
いつもだったら明るい声で『おかえり』があるはずなのに無い。
朝日がうっすら昇り始めただけの部屋は暗い。
きちんと客に相手させてやった体を清め、3日前に渡された桃粥だったものを数口食べる。
前までは雲雀と二人で分け合って食べていた桃の粥。
同じ物ばかりで飽きただとか量が少ないだとか言い合っていた、それと同じ物のはずなのに何も感じなかった。
歯を磨く気力も無くて、奏斗はそのまま床に付く。
当然眠れる訳もなく目の下の隈はひどくなっていく一方だ。
「……まだ、1ヶ月も経ってないのに。情けね〜…」
雲雀がいただけで自分は幸せだったんだと思い知った。
その上であの不器用な客を柄にもなく気に入ってしまった。
初めて、恋愛的に好きになったと胸を張って言える人だった。だって、あんなに真面目くさって話を聞いてくれたのなんて初めてだった。
幸せすぎて罰が当たったのかもしれない。だとすれば、自分は何をしてしまったのだろうか。
人並みの幸せを手に入れようとすることすら罰せられるなんて。
ーー
ーー
「…さて、これで全部!」
四季凪はかなりの量の書物を荷車に載せ、一仕事終えた顔で額の汗を拭った。
それから、納屋の横からロバを連れてきて綱へ繋いだ。
一連の動作を膝上の猫と見ていたセラフ、なんとも言えない顔をしていた。
「うぇ…これ全部持ってくの?」
「当たり前でしょう。というか、元々ミラン君から頼まれていたのは貴方ですよ?
せっっっかくここまで私がまとめ上げたんですから、きちんと!全部!持っていってください!」
そうだけど〜、とイヤイヤながら膝上の猫を降ろし、外出の支度をするためにセラフは勝手口に消えていった。
入れ替わりに庭に接した大窓から雲雀が顔を出した。
「あら、おはよう。よく眠れましたか?」
「おはよぉ…。アキラ、どっか行くん…?」
「私は行きません。セラ夫がお出かけです。」
寝起きでどこかぽやっとしている雲雀、窓枠へ足を引っ掛けそうになりながら庭へと出てきた。
歩くたびに寝癖が柔らかく跳ねる。
まるで鳥の尾羽根みたいだ。
「うまだぁ…」
「ロバですよ。」
雲雀がロバにもおはようと挨拶をして頭を撫でてやるとロバは頭を垂れて耳をパタパタと振った。
今にもロバにもたれかかって眠ってしまいそうな雲雀を見ていると、やはり昨晩は無理をさせたと四季凪は心の中で反省した。
支度を終えたセラフが勝手口から出てきて、軽く雲雀へと目線を合わせた。
「あ、雲雀。おはよ。……じゃあ、凪ちゃん行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい。気をつけてくださいね。」
「おはよぉ…、いってらっしゃ〜い…。」
セラフがロバの手綱を軽く引くとしっかりと前を向き、轍を辿って歩き出した。
赤い羽織が見えなくなるまで見送くってから四季凪は、雲雀の朝食もとい昼食の準備をしようと家の中へ戻った。
ーー
ーー
約束の時間通り、セラフはミランへ会い、例の茶屋について知り得た情報を全て明け渡した。
あんまりな現実にさすがの皇帝お墨付き仙人も顔をしかめる場面があった。
それでも冷静に判断し、決して情で措置を取るような真似はしなかった。
かいつまんで言うと、やはりあの店はあってはならないものらしい。
近々探りを入れ、店を無くし、不法に雇われていた子たちは必ず保護すると申し合わせてくれた。
窓際がオレンジ色に染まり始めると時間を思い出したようにミランは話を切った。
「いやぁ〜、本当に助かりましたよ。やはりお二人に頼んで正解でした♪
あっ、こちら少ないですが謝礼です。どうぞお受け取りを」
「えっ、こんなに?!もらえないよぉ」
「いえいえ〜!セラフさんと四季凪さんにはお世話になってますから。これからもよろしくお願いします、ということで。
じゃあ、荷車に運んでおきますね…♪」
「あぇえ……」
ミランの有無を言わせぬ圧に負け、来た時よりも何だか重く感じる荷車をロバへ繋いだ。
ロバは荷車の上の価値など知る由もないからか、足取りはすごく軽やかだった。
ふと、帰り道、あの茶屋へ行く道を通った。遠くから見えた軒先には 灯籠が灯り、客が入り始めていた。
セラフはある事を思いつくとほぼ同時に、もう行くことはないと決めた茶屋へと足を向けてしまっていた。
「これ、凪ちゃんに怒られるなぁ…」
そう思っても遅いが、セラフ自身もあのまま終わるのはどうかと考えあぐねていた。
セラフが茶屋で用を済ませ、ロバのところへ戻ると荷車は来た時よりも重くなった。
コメント
1件
コメント失礼します🎀♩奏斗くんがどんどん救われる予感などがして妄想が捗ります😼➰⭐次回も楽しみにしております🙌🏻‼️