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分厚い氷で覆われた川の真ん中には、大きな穴が空いている。小五郎が高明たかあきを助けに川の中に入ってから、すでに数分が経過していた。水面がかすかに揺れる。すると、大きな水音と共に、小五郎が高明を抱えて水面から現れた。「高明こうめいっ!!」

敢助が大声で高明のことを呼ぶが、返事は無い。目を覚まさない高明を、小五郎が氷の上に寝かせる。敢助が高明の元に駆け寄り、頬に触れる。しかし、望んでいた温かさはいつまでたっても感じることは出来なかった。

「高明、高明っ!!!」

敢助の両手は、それぞれ高明の口元と左胸に触れる。が、そこにあるはずの呼吸と鼓動は、すでに無くなっていた。

「クソッ…高、明……返事しろよ…なぁ…!」

敢助が弱々しく問いかける。頬を伝う雫が、高明の目元に落ちる。冷たい風が、敢助の胸を通り抜けていった。

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