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―ピピピピ ピピピピ
敢助の部屋に目覚まし時計の音が鳴り響く。
「…っは……高…明…。」
うわごとのように呟きながら、敢助は体を起こす。
「…チッ…また夢か……。」
冷や汗が背中を伝う。敢助は、高明が自分を庇って川に落ちた日から、毎晩のように悪夢にうなされていた。
「高明は、生きてるんだ…。いつまでも引きずってる訳にはいかねぇ…」
高明が自分を庇い胸を貫かれ…氷に全身を打ち付け……今までの悪夢の内容が頭に浮かぶ。
「………」
「おはようございます、大和警部!」
長野県警に着くと、敢助の幼馴染の由衣が挨拶をしてくる。
「あぁ、おはよう…」
「敢ちゃ…大和警部、また隈が濃くなってませんか?」
「…」
「…また、悪夢を見たんですか?」
「……うるせぇ、お前には関係ねぇだろ。」
「関係ある!!」
由衣が立て続けに質問を飛ばす。そんな2人の背後から、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「…由衣さん、敢助くんには何を言っても呉下の阿蒙ですよ。」
「高明!?」
「諸伏警部!退院されたんですか?」
「えぇ、もう大丈夫です。」
高明と由衣が楽しそうに会話をする。敢助は、そんな2人の様子をぼんやりと眺めていた。すると、敢助の視界が突然グラリと揺れた。