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虚
2,114
#カンヒュイラスト
#イラスト
すず
30
目を開けると、見知らぬ部屋の景色が見えた
…ここ、どこ?
そう思っていると隣から声がした
「…あ、おはよ、フランスくん」
あまりにも近くて、その方を向くと、どうやらロシアにもたれかかっていたようで、慌てて離れた
すると寒い空気を肌が感じた
ならここは、ロシアの家?
一体なんでこんなところに…
思考に耽ろうと思うが、寒さが身体を突いて、仕方なしでなるべくロシアの側による
するとロシアは手を出してきた
…なんのつもりだろうか?
「寒いでしょ?握りなよ」
そうやって言うロシアの声が少しだけ優しく聞こえて、素直に手を握る
暖かくて、なんだか落ち着いてくる
改めて、ここに来るまでを思い出そうと目を瞑る
たしかイギリスとお茶会に行こうとして、イギリスが…
ありありと頭に思い出せた光景に、ゾッときて、目を開ける
「…イギリスは、大丈夫?」
「大丈夫でしょ、あのくらい」
「あのくらいじゃないでしょ!?」
そう言ってロシアを睨む
それにロシアはくすくすと笑いながら、こう返してきた
「あれで死んじゃうなら、僕のライバルになれる訳がないじゃないか」
そうやって言うのに、ぎゅっと手を強く握る
いい加減にしてくれ…
「…僕がイギリスのこと好きなの分かってるんだよね?」
「もちろん、分かってるよ」
そう言って笑うのが憎くてたまらない
「なら…」
「なら、どうしてこんなことするかって?」
考えていたことを先に言われて、少し怯む
「君が一番分かってるだろう?」
ロシアに目を合わせられて、そうやって言われる
そりゃ分かってるよ
お前が人を弄ぶことが好きなのくらい
残念ながら貴族ってのはそういう奴らばっかりなんだ
普通じゃ物足りないから、変な趣味ばかり覚えて、楽しんでくる
頭にある人の影が映って、消えた
…あいつのことなんか知るもんか
「…お前なんか嫌いだよ」
そうやって、手を振り払う
寒さが身体に染みたけど、もう帰るんだし別に良かった
立ち上がって、扉の方に歩いていく
すると扉の前まで行ったところでロシアがとんでもないことを言った
「拗ねてるの?」
「…は?」
…どういう意味だ?
なにかの例え? それとも…
「…あのね、僕イギリスのことが好きなんだよ?」
「それって本当に?」
ロシアがこっちに近づいてくる
笑みが少し怖いが、逃げる理由がなかった
「今だから言うけどね、あの作戦、どうせ失敗すると思ってたよ」
…え、… どういうこと?
それを口に出そうとして、ロシアが僕の口元に人さし指を立ててきた
話を聞け、ってことか
それが僕に伝わったと分かると、ロシアは話を続けた
「イギリスなら自分の身くらい自分で守れるだろうし、フランスくんが守る隙なんてなかったと思うんだ」
それは…そうかもしれない
あの時、イギリスが怪我をしたが、そのあとにあの暗殺者を自分でなんとかしている
僕はそれをなにもせずに眺めているだけだった
…本当に不甲斐ないものだ
「…君、どこかでイギリスのこと見下してない?」
「…どういう意味、それ?」
そうやって言われるのは心外だ
それに、話の大元が全く読めなくて、気分が悪い
「…もう一回言うけどさ、イギリスならこれだけで理解してくれるよ?」
「そんなの言ってないで、さっさと話してよ」
ロシアを睨んで、そう言う
それにロシアはため息をついて、仕方ないという様子で話し始めた
…どこまでも腹が立つ奴なものだ
「君はイギリスが弱いと思ってるから、この作戦でいけると思ったんだろう?好きなら…、いや、好きじゃなくても、相手の性質くらい理解しとくべきなんだよ」
「…ッ、そんなのお前の考えだろ」
そうやって言い返すと、ドンッと身体を壁に押さえつけられた
「…いいや、僕らはそうしなきゃ生きれないんだよ。相手の思考を読み合って、上手に分かり合わないと、殺されるんだ。…フランスくん、率直に言うけどね、君は弱いよ。だからイギリスを見下して、可愛いって思って、自分を守ってるんだろう?」
…うるさいな
そんなこと言うなよ…言わないでよ
イギリスを好きなのはそんな気持ちじゃないって僕が一番不安なんだからさ…