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⚠めっちゃ話飛びます原作無視に近い

暴力表現、流血表現🈶




あの後、結局横浜へ戻って、イザナさんと過ごす何回目かの昼が過ぎて夜が来た。

私は目の前に広がる息が凍るような恐ろしい情景をひと目見るや言葉を失う。


「今宵ここで歴史が変わる」 


そう淡々と言葉を零すイザナさんの頬や手には花を撒いたような鮮血が飛び散っている。

鶴蝶さんの後ろに隠れる様に身を隠す。ギュッと目を固く瞑っても瞼の裏にあの血の色がこびりついていて、いろんな男の人の呻き声が耳の底に残っている。


「ふがいねーな!これ が“今”のトップか!?」

そう叫ぶイザナさんの声に、体の芯が凍っていく。

そうだ、私に優しくてもきっと、イザナさんは“アッチ側”の人間なんだ。

気付いていた。けど気付かないふりをしていた私に追い打ちをかけるように脳裏に過るあの肉を殴る音が大きくなる。


「…大丈夫か?○○ちゃん」


体中の血が凍え、怖いくらい震える私にそう心配そうに問いかける鶴蝶さんに小さく頷く。最早もう喉も凍って声も出ない。


「イザナ」


「10時を回った、もう東卍は来ねぇよ。」


「そっか…」


イザナさんと鶴蝶さんの会話にやっと終わったのか、と固く閉じていた目を開く。

だが目に映るその光景の悲惨さに叫ぶことも出来ずただ放心する。地面に飛び散っている赤い血と嗚咽のような呻き声が、両親と共に過ごしていたあの時を思い出させた。


煙草の匂いと、お酒の匂いと、香水の匂い。

笑い声と、泣き声と、呻き声。

あの頃の苦しい記憶が気分を掠めて脳を通った。地獄の様な日々のシーンが1つ1つ次々と蘇ってくる。




殴らないで父さん


怒らないで母さん。




「おいで、○○」


先ほどとは打って変わって違う甘い声と共にギュッと吸い込まれるように抱き締められる。

びくりと体が震え、涙が滲む。


「見てみ竜胆、大将の顔。すごい笑顔。」


「うわすご、てかあの女結構可愛くね?…………うわ睨まれた。」


背後で聞こえてくる会話を聞き取る余裕もないほど頭の中でぐるぐるとイヤナコトが巡り、ぶつかり合う。イザナさんのあの指でさわられた冷たい感触がふたたび自身の首の皮膚の上に蘇って来る。トラウマという苦い散薬が口の中へ散り残ったように、いつまで経ってもいやな後味が抜けてくれない。

怖かったし、苦しかった。さっきだって改めてイザナさんがやばい人だって再確認した。

だけど


「…大丈夫?」


『……はい。』


どうしても縋ってしまうのはこの人だし、受け入れてくれるのはこの人だってことが脳に広がる。

その理解した瞬間、スゥと胸につっかえていた苦味が消えていった。

 


『…好きです』



フワフワした気持ちになって、どんどん甘くなって、口が勝手に動いていた。


「…ン、オレも」


これは絶対に嘘じゃないよ。

約 束 【黒川イザナ】

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