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ササッと素早くドーナツの生地を作って。


見ていたメイドさんみんなでポッコン、ポッコンと型抜きを終えると、


パパッと揚げたあとグラニュー糖をたっぷりまぶして50個程出してあげた。


――それは喜ばれた。


ドーナツを両手に持って夢中で食べるメイドさんがとても可愛く見える。


いつも、すまし顔で楚々とした宮廷メイドさんがこの笑顔ですよ。


それはもの凄い破壊力。


おもいっきりギャップ萌えしましたわぁ―。うん。


「また作りますねぇ~!」


と手を振って挨拶すると俺は部屋へ戻っていく。


――やれやれ、勘弁してくれよ。


この世界にエアコンはないから、この時期 (秋口) でも厨房は地獄なんだよ。油使ってるし。


メイドさんが葉っぱで作ったうちわで扇いでくれていたけど……。


まぁ無いよりは良かった程度で……。


これからはサラ (ダンジョン) にシュガードーナツも作りだめしておておくように頼んでおこう。






夕食はお城の小食堂にて頂いている。


小食堂といっても30名は座れると思う。


当然俺たちだけで食べることになるのだが、どうも今日はお客さまがいらしたようだ。


金髪マッシュショートの髪にメアリーと同じグリーンの瞳。


まだ幼く3歳ぐらいだろうか、淡萌黄色のドレスを着た女の子が食堂の入り口から顔を半分出してこちらを覗いている。


ドレスを着ているのでぜんぜん隠しきれてないのだが、それがまた微笑ましい。


実は昨日の夕食の折、俺たちは時間よりだいぶ早く食堂に来てしまったのだ。


図らずも食事を終えて帰るこの幼女と出くわしてしまっていた。


そして今日だ。


あまりに熱心に見入っているので、俺もついつい掌でおいでおいでをしてしまった。


すると幼女はニコッと笑うとこちらにテテテテテッと走り寄ってきた。


俺は椅子から立ち上がって幼女の前に膝を突くと、


「こんにちは、どうしたの。なにか気になることがあるの?」


すると幼女はシロを指差し、


「ワンちゃん……さわってもい~い?」


そう小さな声で言ってきた。


シロはもう食事も終ったらしく床に伏せの体制だ。


こちらを向いてゆっくり尻尾を揺らしている。


俺は懐から硬めの干し肉を取り出すと、


「あのワンコはね、俺の従魔でシロって言うんだ。この干し肉が大好物だから、あげればさわらせてくれるよ」


幼女に干し肉を渡しシロを呼ぶ。


そして、幼女はシロに抱きつきもふもふを楽しんでいる。






すると、いつの間にかメアリーまで寄ってきて幼女と2人キャッキャ言いながらシロをもふり始めた。


それに気を良くしたメアリーが、


「シロ兄にのれるんだよぉ」


そう言ってしまい、ふたりで俺の顔を見てきた。


「…………」


「……ダメ?」


「んん~、じゃあ、少しだけだよ」


「ヤタ――!」


そして今、サイズチェンジしたシロは幼女とメアリーを乗せてテーブルの周りをまわっている。


多少、埃が立つだろうが食事のあとなので問題はない。


それに呼応するように、子クマ姉弟も一緒になってまわりはじめた。


ワイワイと大騒ぎになってしまった。


………………


しばらくして、


「マリアベル様! こちらにいらっしゃったのですね、探しましたよ」


お付きのメイドだろうか、年配のメイドさんが食堂に入ってきた。


お迎えが来てしまったので幼女をシロから降ろす。


マリアベルと呼ばれていた幼女は迎えにきたメイドさんと一緒に食堂から去っていく。


すると、マリアベルは去り際に「バイバーイ!」とシロとメアリーに手を振ってきた。


「明日も遊ぼうねぇ~」とメアリー。


まあ、明日ここへ来る許可がもらえるかどうかは分からないが。


メイドの目を盗んで、また来てしまうのだろうか……。


食事を終えていた俺たちは部屋に戻ることにした。


俺のベッドに集まり、今日もみんなで魔力操作の訓練を行っていく。


クマ親子も今日で5日目になるが、魔力操作のスキルがすでに発現している。


このまま訓練を続けていけば、近いうちに身体強化のスキルを獲得できるはずだ。






そして次の日。


朝食を済ませたあと俺たちは馬車を借りた。


今日は服を購入するため洋服店に来ている。


昨日メイドさんに教えてもらったのはいいが、繁華街の一角にある高級店だったのだ。


あ~~~、そうか。


お城で働くようなメイドさんが一般人であるはずがないのだ。


貴族の御令嬢が花嫁修業のため奉公してたりするのだ。


どうりで案内する執事さんも場所を知ってたわけだ。


お城から支給されている服は派手なものが多く、もう少し何とかならないものかと町の洋服店に来てるんだけど。


それでもやはり、お城で着るものですからと貴族が着てるような物になってしまうようだ。


あとは店の主人にいろいろ聞きながらあれこれと選んでいく。


王族や大貴族との食事などがある場合は、男性は準礼服、女性はドレスを着用するのが礼儀だという。


まだ暑さの残るこの時期は止めて頂きたいのだが、そういう訳にもいかない。


それで寸法を計ったり生地を選んだりと結構時間もかかった。


そして、いざお支払いという時になって……俺は慌てた。


たかが服だとなめていた訳ではないが、まさか桁が違うとは。


俺は急ぎ商業ギルドの場所を聞くとみんなを残して店をでた。


さすがは高級繁華街、商業ギルドの建物も併設されている。


ということで商業ギルドへ駆け込んだのだ。


(こんな物をギルドカウンターで出したら大騒ぎになるよな)


俺は身分証を提示して個室を取ってもらうことにした。


………………


「それで、こちらにお売りしたい物とは?」


と職員の男性がすまし顔で聞いてくるので、


サラに作らせた純ミスリルのインゴット (拳大) をゴトッと目の前に出してやった。






対応した職員さんは口を開けたまま固まっていた。


「…………」


……待つことしばし。


職員の男性は突然 ガバッ! と立ち上がると無言で部屋を出ていってしまった。


(失礼なやっちゃ。まぁこうなるよなぁ)


そしてすぐに別の二人を連れて戻ってきた。


「私は、ここの商業ギルド本部で副ギルド長を務めておりますヘケラーと申します」


丁寧に頭を下げ挨拶された。


もう一人はこちらに断りをいれ、純ミスリルの塊を手に取ってしげしげと見つめていた。


そして何やらヘケラーさんに向かって頷いている。


おそらくこの人は鑑定スキルを持っているのだろう。


「これをどこで?」


などとヘケラーさんが言い出した。


(これは長くなるなぁ)


「すまないが今日は急いでいるんだ。それはこの国で手に入れたものではない。ここで買取りが出来ないのであれば他所へ持っていくが?」


そう言うとヘケラーさんは顔色を変えあわてだした。


あたふたと計りやら査定書やらが用意され、


「では、こちらでいかがでしょうか?」


ヘケラーさんが上目遣いで査定票の金額を示してきた。


その査定書には520,000バースと記載してある。


ガンツに売った時の単価とそれほど外れてもいないだろう。


俺は素早く頭で計算すると無言で頷いてやった。


するとヘケラーさんは満面の笑み。、


「ありがとうございます! 良い取引が出来ました」


と言ってギルド職員になにやら指示を出している。


程なくして、戻ってきたギルド職員から立派な革袋を受け取るヘケラーさん。


それをテーブルの上に置くと中身をトレイに出していく。


クルーガー金貨が5枚と金貨が2枚だ。


そして出がけにヘケラーさんが、


「出所はお伺いいたしません。ですが、せめて今どちらにご滞在なのかだけでも……」


「今は王城にいる。王妃様の命でな」


ヘケラーさんの問いに短く答えると、早々に商業ギルドを後にした。






ようやく換金を終えた俺は洋服店に戻ってきた。


待たせたことをあやまり、さっそく代金の支払いをする。


5人分の夏服・略礼服・ドレス・諸々あわせて280,000バースにもなった。


日本円にして280万円だが、こちらの物価に照らし合わせればとんでもない金額である。


(う~ん、ドレスが入っているからなぁ?)


正直、高いのか安いのか全く分からなかった。


貴族からすると、そんなに大した金額ではないのかもしれないが……。


革袋から出した3枚のクルーガー金貨をカウンターのトレイの上に並べる。


それを隣で見ていたナツが、


「ねえねえ、あんたぁ。それってもしかして…………」


「ああ、クルーガー金貨だな」


頷きながら答えてやるとナツはその後なにも言わなくなった。


おそらく、服代がとてつもない金額であることを理解したのだろう。


店主は大急ぎで仕上げるので受け取りは3日後にとの事だ。


まあ、仕上げるといってもオーダーメードと違い、吊ってある既製品を加工するようなものである。


預かり証を店主から受け取ると、


入口付近でシロとじゃれ合っていた子供たちに声をかけ、俺たちは洋服店を後にした。


さて、今日の用事はこれで終わった。


だが時間はまだ十分にある。そこで、


「気晴らしに薬草摘みにでも行ってみるか?」


そう問いかけると、みんなは大喜びしている。


(まあな、王城の中は広いとはいえ好き勝手に出歩けるわけでもないし、そりゃあ退屈だったよな)


まだしばらくは王城に寝泊まりすることになるだろうし、たまには森に行ってみるのもいいだろう。






執事さんを馬車へ戻した俺たちは東門へ向け歩きだす。


1・2・3・4……4人かな。陰に隠れて俺たちを見張っている連中だ。


害意や殺意も感じないから、十中八九王国の手の者だろう。おそらくは『俺たちの監視と万が一の時の護衛』が任務といったところだろう。


紹介されている訳でもないし、巻いたところで怒られはしないだろう。


ということで、ちゃちゃっと巻いて東門を出る。服装も前のものに戻しているので違和感もない。


壁沿いに北へ回り込んだところから道を逸れる。


そこからはカイル (ダンジョン) おすすめの薬草スポットに飛ばしてもらうことにした。


場所を聞いてみると王都と迷宮都市のちょうど中間にある森の中だとか。


近くに街道も通っていないため荒らされてなく薬草類が豊富にあるそうだ。


ここからはシロにお願いして薬草の群生地を転々としていく。


お昼になったが、今日は串焼きと水で簡単に済ませた。


それから再び1刻 (2時間) ほど薬草採取を続けたあと、東門付近の人気のない場所に飛ばしてもらった。


門番の衛兵に薬草の入った袋を見せ、


「おお――っ、みんなでたくさん採ったんだなぁ。ご苦労さん!」


衛兵に労われた子供たちは手を振りながら門を潜っていく。


王都に戻った俺たちはその足で冒険者ギルドに寄った。


そうして買取り所に薬草の入った袋を持ち込んだ。


ヒール草200本・マジック草200本。


「おおー、これは助かる。最近王都では薬草が不足気味でなあ。それに薬草の品質も良いな。これなら錬金術師ギルドのやつも大喜びだろう。評価は【良】で出しておくから、また頼むぞ!」


薬草を査定した買取り所のおっちゃんは鼻息も荒く買取り票を渡してくれた。


それをナツがカウンターで処理して俺たちは冒険者ギルドをあとにした。

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