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『縁を切らない、食べ方。』
(場所:夜のQuizKnock編集部)
mon『ねぇ、gonちゃん。この恵方巻、一本しかないよ』
キッチンに置かれた、太くて長い立派な恵方巻。最後のひとつを前に、東兄弟の二人が顔を見合わせる。
gon『本当だ。……半分に切る?』
mon『うーん。でも、恵方巻って切っちゃうと「縁が切れる」から縁起が悪いって言うでしょ?』
gon『あ、そっか……。僕とmonちゃんの縁が切れるのは、絶対に嫌だな』
二人は少しの間、その「丸太」のような恵方巻を見つめて沈黙した。やがて、monがふわりと微笑んで提案する。
mon『じゃあ……切らないで、両端から食べよっか』
gon『……! それいいね。……僕たちらしいし』
二人はソファに並んで座り、一本の恵方巻を左右から手に持った。
mon『今年の恵方はあっち。……いい? 食べ終わるまで、喋っちゃダメだよ』
gon『わかってる。……それと、途中で離すのもナシね』
二人は同時に、恵方巻の両端に口をつけた。
モグモグ、と静かな部屋に咀嚼音だけが響く。本来なら一人で黙々と食べるはずの行事だが、二人の間には、端と端からお互いの存在を手繰り寄せているような、不思議な連帯感が生まれていた。
(モグモグ……モグモグ……)
食べ進めるうちに、当然、二人の距離は近づいていく。 太い恵方巻のせいで、お互いの顔がどんどん大きくなってくる。吐息がかかるほどの距離になり、鼻先が触れそうになったところで、二人の目が合った。
gon『(……monちゃんの顔、近い……)』
mon『(……ふふ、gonちゃん、ちょっと照れてる……)』
どちらも止まらない。最後の一口。
「ちゅっ」と、恵方巻の真ん中の具材を挟んで、二人の唇が重なった。
mon『…………んっ。……ぷはっ、ごちそうさまでした』
gon『……ふぅ。……完食、だね。……ねぇ、monちゃん、今の最後……』
mon『喋っちゃダメって言ったでしょぉ? ……でも、食べ終わったからもういいよ。……縁起、良くなりそうだね?』
gon『うん。……僕たちの縁、これで一生繋がったままだね、monちゃん』
二人は満足そうに笑い合うと、空になった皿を片付けることも忘れて、そのままどちらからともなく寄り添って眠りについた。
それを見ていたsgiが、「……お前ら、恵方巻で何やってんだよ」と呆れ顔で豆を片付けていたが、隣にいたfkrだけは、少しだけ羨ましそうにその光景を見つめていた。
(おわり)