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「午後講義2コマあるから。行くぞールイ」
と保がルイに向けて言う。ルイはというと、お腹が膨れ眠くなったのか
いつも通りソファーにてスライムのように溶けていた。
保はそのスライムを連れてルイの部屋へと行った。
部屋着兼寝巻きから保セレクトの服に着替えさせられたルイ。
保、歌乃、那緒にほとんど連行という形で大学へ連れて行かれたルイ。
「あ、王子様だ」
「ほんとだ。私めっちゃひさしぶりに見た」
「あの顔に生まれたら勝ち組だよなぁ〜」
と囁かれるほどのイケメン。しかし当の本人はというと、よほどお昼ご飯の満腹感で眠いのか
足先も手先もスライムのようにドロッっと溶けて、顔もスライムが如く
いや、なんならスライムのほうが活力があるんじゃないかという顔をしていた。
「ルイ…。転生してないのにスライムになるなよ」
「マジで眠い…」
あくびをするルイ。手で隠す素振りすら見せず。
「あ、あくびしてる」
「ま、午後講義って眠いもんね」
あくびをしただけで周囲がこの反応である。
「ルイ、お前…芸能人かよ」
「芸能人とかダルくてやってらんないだろうなぁ〜…」
と言いながら講義室を目指す。
「なんか全人類にチップ埋め込んでさ
講義毎に勝手に振り分けてくんないかな。工場の仕分けみたいに。AIが」
と言うルイに、想像してみる歌乃、保、那緒。
…
時は2XXX年。街は浮遊する車、バイクで行き交っている。運転はすべてAI任せ。
小さな球体が浮かんでいるのは防犯カメラ。
自立型となっており、自分の意思で他の防犯カメラと意思疎通を図り、死角がないように行動している。
人類はほぼすべての人間、そして生物にチップが埋め込まれており
思考の自由などはあるものの、危険な思想に至った時点で
防犯カメラが24時間にわたって監視につくことになる。
そのお陰で犯罪というものはだいぶ減った。なので警察組織もだいぶ人数が減った。
生身の人間が犯罪に対処するより、AIを搭載したロボットが対処するほうが合理的かつ安全であるからである。
AIのせいで人間の仕事がなくなると言われていたが未だに人間の仕事は残っている。
特に芸術性が多く求められる仕事。
画家、マンガ家や小説家、声優、俳優、脚本家などは未だにほとんどを人間がこなしている。
もちろんAIにも芸術的仕事はできるのだが、どうにも温かみがなく、どこか似通ってしまう。
AIには案出しなどの手助けをしてもらってはいるが、そこからのブラッシュアップ
AIからもらった案をベースに物語を作ったりと人間にしかできない発想で人類は未だに踏ん張っている。
芸術性の求められる仕事をしている人間にもチップは埋め込まれている。
思考を読めるというならば、AIもその芸術を仕事としている人間の思考を読み
仕事に流せば人間に負けないのではないか?それは2XXX年現在、犯罪となる。
AIであろうが犯罪とみなされる。そんなアイデアを盗もうとする輩の犯罪が未だに絶えない。
そんなチップが埋め込まれているというのが、ごく当たり前となった2XXX年現在。
赤ちゃんが生まれた時点でチップを埋め込むのが義務となっている。
そのため幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、会社と所属する園、学校、会社がチップに記録され
それぞれの年代、クラスの時間割、部署なども記録されているため、遅刻することなどはほとんどない。
体調が悪い場合は園、または学校の所属するクラスの担任、または上司に自動的に連絡が行く。
チップに埋め込まれた登園時間、登校時間、出社時間を
チップを通して自動運転の車のAIに伝えることで送迎という形で車が迎えにくる。
その車に乗れば遅刻することなどない。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、会社の廊下という廊下はほぼすべてベルトコンベアとなっており
教室、講義室の扉付近にはアームが設置されている。
それぞれのクラス、講義、部署の前についたら自動的に教室、講義室、部署にアームが連れて行ってくれる。
…
という世界を想像していた。
「いやいや。いつの話だよ」
とツッコむ保。
「あ、でもいいかもね」
と引き続き想像に浸る歌乃。
「あと、たぶんだけど、そんな進んでる時代なら、学校とかもう行かなくてもいいんじゃない?
今もリモートで講義出れるし、たぶんバーチャルで家から講義室にいる感じで講義出れるんじゃない?」
と那緒が言ったことで歌乃、保、ルイの足が止まる。
「「「そうじゃん」」」
ハモった。
「え。そうじゃん。保のスマホでオレにテレビ電話繋いでオレ家でいいじゃん。…帰っていい?」
「ダメ」
「てか、どうせ帰るのもめんどいとか言うんだろ」
「あぁ、ルイならアリエールだね」
「だから保。オレを一回家まで帰してくれ」
とバカなことを言うルイを引きずって講義室へ行く3人。
講義が始まり、しっかり講義を聞く那緒。しっかり聞こうと試みるが眠気に負ける保。
講師の方が言ってることが呪文に聞こえて寝る歌乃。端(はな)から聞く気がないルイ。
そんなこんなで講義が終わり、次も講義があるので、歌乃、保、那緒が荷物をまとめて立ち上がる。
「ほらルイ。次行くぞ」
しかしルイは家かな?ってくらいスライム状に溶けていた。
「すごいな。今現在がほぼスライム。ルイ転生したらどうなるん?液体になるの?」
「転生したら?…猫になりたい」
まさかの回答であった。
「ルイが猫…」
…
那緒の愛猫、世にも奇妙な金色の毛足の長い、毛並良い、蒼い、眠たげな目を持つ猫、その名も「ルイ」
「ルイぃ〜。ただいま」
ルイは出迎えてくれるものの、玄関マットで体を倒す。そのままクルンと丸まる。
「なんだよぉ〜。出迎えてくれたのかと思ったのに」
綺麗な曲線の背骨のラインをなぞるように撫でる。
撫でられたルイは別に嫌がるでも、お腹を見せるわけでもなく
体勢を変えることなく、ただただ撫でられている。
那緒が部屋に行って着替えても、玄関マットから動くことはない。
「もおぉ〜。おいで」
那緒が玄関に行ってルイを抱き上げる。
ダラァ〜っと、まるでスライムのように溶けているように脱力するルイ。
「ルイはラグドールか」
ラグドール。猫の品種の一つ。長毛種。
品種名は英語でぬいぐるみを意味する「ラグ・ドール (rag doll)」に由来する。
一説には白いペルシャとシールポイントのバーマンの子供が
バーミーズと掛け合わされて生まれたと考えられている。
アメリカで1965年、イギリスで1983年に登録された、比較的新しい種ではあるが詳細な出自は不明。
瞳はブルーで長毛種に分類される。
胸の前まで長めの被毛に覆われ、その姿はさながらよだれかけを掛けているように写る。
模様はポイントがベースになっており、その上に白色が乗る様な形になっているが
ミテッド、バイカラーの場合は幼い時は白色なので、後からポイントが表現されるように見える。
模様の種類はポイント・ミテッド・バイカラー
(血統書団体によりトーティ、ヴァン・バイカラーも存在する。)がある。
毛色はシール(こげ茶)・ブルー(灰色)が多いが、チョコレート(薄いこげ茶)、ライラック(薄い灰色)
レッド(茶)、クリーム(クリーム色)、フォーン(子鹿色)、シナモンなどがある。
また、ミテッドとバイカラー(はちわれ)の模様に縦縞が混じるリンクスも存在する。
完全に成長するまでには約4年を要し
大型種(現在中型種に分類)だが10 kg前後まで成長するのは稀で
現在はメスで4.0 kg - 6.0 kg、オスで4.5 kg - 7 kg位にまで成長するものが一般的である。
「猫は液体とは言うけど、ルイはほんとに液体みたいね」
まるでトロトロのスライムのように脱力しているルイを
地面に流さないように、落とさないようにリビングに連れていく。
那緒はご飯のときもルイを膝に乗せ、テレビを見るときも一緒。
そしてソファーではルイは長い手足を思い切り伸ばして寝ている。
そんなルイを前に那緒には楽しみがある。それは猫吸い。
「猫吸い」とは、猫のお腹や背中など主に柔らかい場所に顔を押し当てて、息を吸い込み
猫の匂いを嗅いだり、毛並みを感じたりする行為のことです。猫の体を愛で、猫のぬくもりや柔らかさを感じ
リラックス効果を得るために行われることが多い、猫好きによる、猫好きのための変態行為である。
これが、違法で、なおかつ質の悪いドラ○グかと思うほど依存性が高い。
しかし癒され、リラックスできる具合でいえば相当質が高い。
「ルイきゅん?…し、失礼しますね?」
那緒がルイのお腹に顔を近づける。
…
というわりかし変態的な想像をした那緒。
「でもルイ、今でも割と猫っぽいよね」
と言う歌乃。
「いや、猫に失礼でしょ。ルイやる気になるときないもん。
猫は気分屋でやる気ないときとあるとき激しいけど」
「まあ、たしかにね」
「ほら。行くぞ」
「あぁ…。マジでイスにAI埋め込んで、キャスターで自動的に運んでくれないかなぁ〜」
「「それめっちゃ良い!」」
アホとバカ、バカップルの歌乃と保がハモる。
「いやいや。ほぼ車椅子でしょ」
冷静な那緒。
「「たしかに」」
「自動運転ついてたら買うわ」
「ルイならガチで買いそうだから怖いわ」
と言うバカなルイを連れて次の講義がある講義室へ。
一方、達磨ノ目高校では、詩衣は美術室にて美術部の活動を、ルビーは音楽室で発声練習をしていた。
「…詩乃、今絵描いてる最中かなぁ〜」
と呟き、音楽室で授業をするとき、吹奏楽部が練習するときに使っているイスが
端っこに重ねて置いてあるので、そこからイスを1脚抜き取り
だだっ広い音楽室に置いて座り、スマホを取り出してLIMEの詩乃とのトーク画面に入り
今何中ー
と詩乃に送った。詩乃はというと学校内のものを描くという課題で学校内を探索していた。
ルビーからのメッセージを見た詩乃はこっそりと音楽室へ行き、静かに扉を開け
「わっ!」
と座っているルビーに抱きついた。
「うわっ!…ビックリしたぁ〜…。え。終わったの?早くない?」
「いや?今描くモチーフを探しているのだよ」
「なんだよその喋り方」
「サボり、アーンド音楽室ならいい感じのモチーフあるかなって来てみた」
「なるほどね。楽器とかいいんじゃないの?」
「勝手にいいの?」
「いいのいいの。これ蘭姉ちゃんのベースだから」
「あぁ鳩群留(はとむど) くん?」
「そ。ま、一応LIMEで聞いてみるけど、オーケーに決まってる」
という謎理論でケースを開ける。
「ま、触んないし。…あ、でもギターのほうがいいか。だとしたらバカり野本のだな」
「ベースとギターってなにが違うの?」
「…知らん」
「知らんよねぇ〜」
「ちなみに円(まどか)のドラムセットもあるけど」
「ドラムいいかも。組み立てられる?」
「無理ーりむーリムルー転生ー。円いるかな?」
「いないと思う」
「じゃあダメか。今日描き出すの?」
「ううん。まあ、見つけた人は描き出してもいいんだけど
見つけられなかったら次の部活までに見つけて次からでもいいって」
「なるほどね。じゃ、今度円にドラム組み立てもらって写真撮れば?」
「うん。そうする」
「よし。じゃあサボろうズ」
「いよー」
ということで2人で音楽室で喋って、結局一緒に帰ることになった。最寄り駅で降りると
「お」
「あ」
「お兄ちゃん」
「お姉ちゃん」
「おぉ詩衣」
大学帰りの歌乃、保、那緒、ルイと部活終わりの詩衣とルビーがたまたま遭遇した。
「そっか。今日詩衣部活か」
「そ」
「てかお兄ちゃん珍し。大学行ったんだ?」
「ほぼ連行」
と言ってあくびをするルイ。
「ま、連行してってくれたほうがありがたいわ」
「午前もあったんだけどね。ま、いつも通り来なかったから昼作りに行って
午後の講義は連行。…ま、正直オレも眠かったけどね」
「それは私らも同じ」
「昼の後眠すぎるよねぇ〜」
「うたちゃんだよねぇ〜?」
「私も高校んときお昼の後眠気我慢するの必死だったも〜ん」
「やっぱり?」
「嘘つけ。我慢できてなくてほぼ寝てたくせに」
と那緒が呟く。
「やっぱりお姉ちゃん寝てました?」
「あ、うん。3年間で午後1発目の授業起きてるとこ見たことない」
「おいおいおいおい。妹の前で嘘はいけないぞ?嘘は」
「嘘じゃないし」
「ダウトぉ〜」
「意味わかっていってる?」
「嘘ってことでしょ?トランプでやるじゃん、ダウト」
と盛り上がる女子組。
「高校んときかぁ〜。懐かしいな」
「今考えたらよく毎日高校行ってたわ」
「たしかに!なんで?」
「同調圧力ってやつかな。日本特有の」
「ドーチョーアツリョク?英語?」
「バリバリ日本語」
「なにそれ」
「なんか多数派正義みたいなことかな」
「あぁ〜。赤信号 みんなで渡れば 怖くない みたいなやつね?」
「…。ま、そうかな」
あまり納得したくない例えで仕方なく納得するルイ。
そのまま和気藹々、途中まで楽しく一緒に帰り、途中でそれぞれ別れ
ルイとルビーは那緒の家まで那緒を送り、それから自分たちの家に帰った。
ルビーの帰りが遅くなったときはデリバリーを頼むことにしている。
好きなものを頼み、夜ご飯を食べ終え、リビングでくつろぐ2人。
「お兄ちゃんダルがりだけど優しいよね」
「…なにが」
「那緒ちゃんだよ。那緒ちゃん」
「…。ん?」
「無自覚?」
意識があるのか、わからない眠そうな視線をルビーに向けるルイ。
「家まで送ってあげたじゃん」
「…」
無言で首を傾げるルイ。
「当たり前では?」
アテレコするルビー。
「イケメンかよ!」
バシンと手の甲でツッコミを入れるルビー。
「イケメンだよ」
「あぁ〜…。ま、自分で言えるほどイケメンではあるから
そこはツッコみたくてもツッコメないんだよなぁ〜」
とソファーの背もたれに思い切り寄りかかる。
「…お!うん(アーティスト名)だ!」
テレビ番組に出ていたアーティストに反応するルビー。
「前のシーズンでアニメ主題歌だったんだよねぇ〜。
まあ、たしかにアニメの世界観に合ってる歌詞の曲だったんだけどさーあ?
なんか…うん(アーティスト名)といい、PEACE piece PEACEといい、More Fairといい
Lighting Rightsだったり、9SIXIS6だったり、WHOOHMだったり、AWESOME OOPARTSだったり
A phantom treeだったり、Ring-Win-Ringだったり、背亀(ホウセキ)だったり
IMI(アイ エム ワン) だったり、Zzzzz夢の中zzzzZだったり、House of owlだったり
I want to be jellyfishだったり、replicestだったり
オシャレな、一般人ウケがいい、一般人向けの曲が最近多くてさ?
アニメの世界観と合ってるから、まあ、いいんだけどさ?
そのせいで一般人、ヲタクでもアニメが大好きってほどでもない人がアニメ界に入ってきて
やれ作画崩壊だの、こんな歩き方は不自然だの
アニメの世界観、わざとこういう見せ方をしてるとかそーゆーのわかってない一般人が騒ぐんよ。
マジで黙っとけって思うよね。これだからヲタクは。とかそんなこと言って
一般人がアニメ、マンガから離れたら2次元業界終わるぞ?とか言うかもしれないけど
まだアニメ、マンガがここまで脚光を浴びる前、先代のヲタクの皆様方が支えてきたんだから
お前らみたいな、なにも世界観もわかってない、話題についていきたいがための
しょーもない気持ちで見てる一般人は離れてくれても結構。
マジで語らないでくれ、吐き気がするから。って感じ?
だから、まあ、言いたいのはさ?古き良きアニソンも、もっと増えてほしいのよね。
ほら、さららあるじゃん?マンガタイムさららとか。
あーゆー、所謂萌え系作品は未だに伝統を守って、声優さんたちがオープニング歌ってたりするわけよ。
そんな感じで、その作品に出てくる架空のアーティストがアニメの主題歌担当したり
あとは主役、ヒロインの声優さんが歌ったり
もう一般人置いてけぼりの、ヲタク歓喜のアニソンももっと復活させてほしいわけよ」
というルビーの怒涛のヲタクトークに、半分寝かかりながらもちゃんと聞く優しい兄、ルイだった。