紡虹が結葉の肩をそっと掴むと、結葉は前回とは違い、恐る恐る後ろを振り返った。
「ま…真原先生ですか………おはようございます。」
結葉は少し顔を強張らせ、肩を掴まれた手をそっととると、一歩後退る。
「森先生、おはようございます。」
「あの……………何か?」
結葉は紡虹に対し、冷めた視線をぶつける。
周りにはそんな2人には目もくれず、教室へ駆け込む生徒が行き交っている。
紡虹はそれに臆さず、口火を切った。
「無理に…深く詮索はしません。僕はこの前…転勤してきたばかりですし………。ですけど……………」
言葉を置いていくにつれ、少し口をモゴモゴとさせ、躊躇いを見せる紡虹は、結葉の思考を回していく。
(真原先生……何言うつもりなのかな…………………?)
「森先生はどうして……人を寄せ付けないようにしているんですか………?」
「…………!!」
一気に電気がほとばしったように、結葉の瞳はクワッと見開いた。
「わ………………私は……………ワ…」
結葉は、たちまち焦ったように視線をあやふやし、顔に何故か汗がでてきた。
「森先生?それ呂律回ってま……」
紡虹が寄りかかり再び肩をつかもうとすると、結葉はその手をはらいのけた。
「そっ………そんな…コト…………聞かなっ……」
弾かれるように結葉は紡虹に背を向け、思い切り走っていった。
(嫌なこと……聞いてしまった感じ…だよな……)
紡虹は、拒絶するような結葉の背中を、不安の視線で見つめた。






