今日は珍しく授業が少なく、ほぼ職員室でパソコンに向かっていた。ずっと座っていたせいか体を伸ばした時に腰に痛みが走った。
「最近よく腰痛がってますけど大丈夫ですか?」ズキズキと痛む腰を軽くさすっていると授業が終わり職員室に戻ってきた田中先生が声を掛けてくれた。
「湿布いります?良かったらどうぞ」そう言うと机の引き出しから湿布を取り出した。
「ありがとうございますー助かります」ここまで痛くなる事は中々無い為有難く受け取った。
田中先生は観察眼にとても優れている人物なのが接してきてよく伝わってくる。
顔も良ければ性格も良いのだからきっと沢山の人に好意を持たれるだろう。
俺もまたその1人だ。
「今日飲みに行きません?」隣にいた学年主任の先生が唐突に先生達に問いかける。
「良いですね。俺行きます」いつもはついて行くだけという空気を醸し出している田中先生が乗り気に答えた。
「じゃあ私も行きます」田中先生が行くならというような言い方で女性の先生も答える。
「祥平先生はどうしますか?」ほとんどの先生が答えを述べ終えたタイミングで学年主任の先生が聞いてきた。
最近は酒を嗜むことも無かった為、丁度良いと考え「行きます」と伝えた。
飲みに行く先生達の仕事が終わったところで全員で学校を出た。
しかし、全員が車で飲み屋に押しかけることはできないので家が近い人達は車を家に置いて他の先生の車で飲み屋へ向かう事になった。
「俺、学校に車置くんで祥平先生の車に乗せてってもらってもいいですか?」
もう車の台数は4台ほどになって行けなくもないとなったのに田中先生は俺に同乗していいかと聞いてきた。
「明日は大丈夫なんですか?」次の日は休日だが、車は必要になるだろう。そう思ったのだ。
「大丈夫です」何故大丈夫なのか気になったが一緒の車に乗るという一大イベントを前に自分の欲には抗えなかった。
田中先生が俺の車に乗っている。しかも助手席に。緊張でハンドルを握っている手には汗が滲んでいた。
つづく
コメント
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ちょっといつの間に投稿してたの😡😡