ttの家にあったnoのもの。
noの家にあったttのもの。
それぞれ相手の家にあったものを全て片付け、家を出た。
1年ぶりの街、白いマンションまでの道のりは変わっていない。
晴れた春目前の街は活気に溢れ、通りには休日を楽しんだ家族や若者が行き交っている。
途中にあるイタリア料理店にはあかりが灯り、『open』と書かれた看板が静かにぶら下がっていた。
「…ここでnoさんが助けてくれたんよな」
「そうですね、、驚きましたけど、あの時会えて本当に良かった」ニコ
二人の横を、若い男性と小型犬が通り過ぎていく。
目で追いかけるttは、雷も首輪も怖がらなくなっていた。
二つが揃った事はあれ以来ないが、今の様子ならパニックを起こすまではないような気がしている。
ttはnoへ向き合った。
「noさん、1年間ありがとう。 noさんの優しさに包まれて、、幸せやった。」
「こちらこそ。ttさんと過ごせて僕もとても幸せでした」
「…でも、今度こそ本当に幸せになってくださいね」
「うん、、ごめんなさい。noさんも幸せに…」
ttは下を向いた。
noといて幸せだったのは本当。
でも心の奥底の自分はjpを忘れきれずにいた。
それに気づいていたのにnoに甘えている自覚はあったから、申し訳なさと情けなさでnoの顔を直視できなかった。
noだってわかっていたのだ。
それでもttを救いたいし手に入れたかった。
それで幸せだった。
noはttの手をとる。
ttが顔をあげると、青い瞳が優しく見つめていた。
「…ttさん、jpさんが好きですか?」
「…うん、、うん。俺はjpが好き。あいつを愛してる」
「…良かった。その目です、僕が見たかったのは」
輝く真っ直ぐな黄金色の瞳。
そんな目をするあなたが大好きだったから。
「さようなら、ttさん」
「さあ、jpさんが待ってますよ」
名残惜しいけどさよならだ。
そっと手を離し一歩を踏みだす。
送り出したnoは空っぽになった手を、ゆっくり握った。
…前を向いたttには見えなかった。
一度だけ振り返り、大きく手を振る。
夕日の逆光でnoの顔が見えない。
でもなぜか、あの時と同じように手を挙げて優しく微笑んでいるのがわかった。
そのまま角を曲がり、お互いの姿は見えなくなった。
コメント
7件
タイトルの季節に近づいてる…🥹
本当に続き待ってました🥹 次がまた楽しみです🥰
このまま幸せになってくれればいいけど…jpさんどう思うんだろう…