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「はぁはぁ」
ポタポタと雨が降る日。俺は必死の思いで走っていた。
俺の名は八村泰斗(ハチムラタイト)、別に目立ったこともないただの土方だ。
こんなに走っているのには理由がある。地元で有名な怪異に狙われているのだ。
いや、そんなこと偶然だと思うだろ?最初は俺もそう思ったさ。だが、今回はそうじゃない。そう確信できる。
その怪異の姿は極めて妙だ。旧日本兵の格好をしながら「カ…ナ………タ」
と呟き、最後には半殺しにされ、足が竦んで一生動けなくなるという
等と言っているうちにここじゃ行き止まりだ。嗚呼、俺はここで怪異の恐ろしさを引き立てるカマセになるんだろうな。お母さん、お父さん、産んでくれて、ありがとうございました。
「カ……カ…」「カナシカッタアァ!!!」
そんな事を言う怪異に驚きながら、俺は自分の足が竦んでいないことがわかった。
昔から怖いものには強かったおかげだろうか。まぁなんでもいい、逃げれるなら
そう考えていた隙に足を掴まれているのに気づいた。
ひとまず説得すれば逃げれるかもしれない。さっき普通に日本語喋ってたし、
「あ、あのーなんかあったんですか?」俺は言う
怪異は言う「アノナ!キイテクレヨ!」「オクニノタメニヤラナンヤラデ!」「セントウキニノッテヤッタッテイウノニ!」「シンデココニキタライキテカエッタナカマガ『非国民だ!』ヤラナンヤライワレテンダ!」「は、はあ」「ダカラココデジバクレイニナッテヒトヲオソッテタンダ!」
「い、いや人に迷惑かけているのなら非国民何じゃないですか?犯罪者だし」
「…………………」不味い、地雷を踏んでしまったか?自分のことは見れないが顔が青ざめていくのがわかる。「…タシアニソウダナ!オマエアタマイイナ!」「えぇ!?」
予想外の答えが来て思わず声が出てしまった。
「ソウダ!オマエ、オレトツミホロボシシテクレナイカ!」「え、嫌です」
あまりにも冷めた反応に自分自身も驚いた。人間窮地に陥ると逆に落ち着くと分かった今日此の頃。じゃない!「イイカラ!イイカラ!」結局やる雰囲気になってしまっ
た。「オレノナマエハ…ナンダッケ? 」「あ、自分の名前を忘れるとあるんですか?」
もはや自分の適応能力が怖い。なんで普通に打ち解けられてるんだろう。
「マアイイヤ!ノッテタセントウキノナマエ『桜花(オウカ)』トデモナノッテオコウ!」「あっはい…」
これにて、こんな俺とよくわからない怪異(桜花)との罪滅ぼしが始まった。
「ナアマズハドウシタライインダ?」
「そのカタカナの喋り方はやめたほうがいいと思いますよ」