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続きが最後?! ちょー好きだったこの作品が…好き!!ってぐらい好きなんて言うかこうね!わかって!最終的にこの作品が大好きです!
注意事項はあらすじ、または一話をご覧ください
空白が多くて長いです
微暴力表現、病み表現有り
今回はかなり水赤(赤水)要素が強いです
展開鬼速い
お久しぶりです
ここまで大丈夫な方のみどうぞ
『そういえば、お前最近何処行ってんだ?』
身体中ぼろぼろの俺を労ることもなく、目の前の男はそう言った
その男の言葉に反応したのか、それ以外の奴等も此方を見やる
『しかも決まって七日ごとに。今年の冬辺りからだっけか』
なんでこいつそんなに細かく覚えてんだ
心の中でそう悪態をつくも、表に出せる程俺は勇気のある人間じゃない
何も反応を見せない俺を畳み掛けるように言葉が継がれる
『なぁ、お前もしかして俺等に隠れて誰かと何かしてんのか? 』
こいつが俺の腕を掴む力が増して、痛みと焦りに冷や汗が滲んだ
『…してない…です』
『本当に?』
『まさか誰かに助けを求めている…何てことはないよなぁ』
『…外に出てるってだけです』
『どうして態々外に出てんだよ。此処に居たって俺等がたっぷり遊んでやるのに』
逆だわ。お前等が居るから此処に居たくないんだよ
この傷、誰に付けられたと思ってんだよ
『…ま、いいわ。お前みたいな奴が助けを求めたとこで、どうにもなんねぇもんな』
『外に出るのは構わねぇが、逃げようなんて馬鹿な事は考えるなよ』
次々と反吐が出るような台詞を吐く此奴ら
せめてもの抵抗として、目を細めて睨んでみる
『…相変わらず気味の悪ぃ目』
『お前みたいな忌み子を愛してやってるんだから、感謝の一つでもしたらどうだ』
『俺等以外に居ねぇぜ? お前の事を気に掛けてやってる人間なんて』
…怒りと嫌悪と恐怖で溢れていた胸の内に、少しだけ笑いたくなるような気持ちが加わった
前までは、こんな事を言われても言い返すことなんて出来ずに悔しさを噛み締めるだけだったけど
今は違う
それが違うんだよな。お前等以外にもちゃんと居るんだよ、俺みたいなのを気に掛けてくれる奴
しかもお前等よりずっと優しくて、ずっと格好良くて、ずっと温かい奴
馬鹿で弱いのが玉にキズで、正確には人間じゃないんだけどさ
お前等とあいつなら、俺は絶対にあいつを選ぶね
あいつとなら、ずっと一緒にいたい
…心が冷えていく感じがした
「…りうらーー…?」
『どしたの』
「いや、あのぉー……大丈夫?」
『大丈夫だけど』
「あ、うん…そ、それなら良かった…」
暑苦しい夏は過ぎ去って、葉っぱの色付く肌寒い秋がやってきた
それでもりうらは七日ごとに必ずやってくる
最近は随分と寒くなってきてて、冬の匂いも濃く感じられて、 夏の暑さが恋しいくらいにはすぐ寒くなっちゃった
時の流れは速い…こういうのを、光陰矢の如しとか言うんだっけ
りうらと出会ってから色々と人間の世界の事を教えてもらったからか、僕も随分と人間の世界の言葉とかに詳しくなった気がする
思えばそろそろ一年経っちゃうんだな…
…光陰矢の如しとは言うけれど、人も変わるものなのか
りうらは相も変わらず赤い着物を纏い、崖下に参上してくる
春夏と特に変わったことも無く、一緒に喋ったり遊んだり紅葉見たりして過ごしていたのだ
…今日は何か様子がおかしいけど
「…りうらー?」
『何?』
「えっと…うん、呼んだだけ」
『そう』
「……….」
明らかにりうらが素っ気ない!!!!
どうして!!!!
大抵はりうらから僕に喋り掛けてくるし、こんなに消極的な感じじゃない筈なんだけど…
僕から会話を始めようにも、ひっくい声で相槌打たれて終わってしまう
『……』
「(…もしかしてりうら…)」
何か嫌な事があったのか?
いつもと比べて表情が暗い
こういう時ってどうすれば良いのかな…
思い切って聞いてみる? …いや、逆に傷つけてしまうかもしれない
僕は馬鹿だからりうらが望む返答が出来るか分からないし…!
…だとしても放っておくのは気が引ける
何とかして、りうらを励ましたい…!!
「…りうら!!」
『何』
「えーっと、あの…見ててね!!」
『…何を?』
「……おりゃあぁぁぁぁっ!!!!!」
『…』
「どう? 春の時より強いでしょ!!」
突然の風に驚いたように、りうらはぽかんとしている
紅葉が舞う中、遅れて強い寒さを感じた
「…はっくしゅん!!」
『…ははっ…自分で風起こして自分でくしゃみすんの、めっちゃ馬鹿じゃん』
「!!」
ようやくりうらが微笑みが見られた
良かった…多少の励ましにはなってくれたかな
「んで、どうだった!? 綺麗だったでしょう!!」
『綺麗だった綺麗だった。ちょっと落ち込んでたけど、なんか元気出たよ』
「…!!!!」
よかったあぁぁぁ!!!
ちょっと自惚れそうだな… 僕、見事にりうらを元気づける事が出来たぞ…
何に落ち込んでたのかは少し気になるけれど、聞かない方が良いよね
「やっぱりこの時期の紅葉は綺麗だよねぇ!! 真っ赤だし、空によく映えてさぁ!!」
『俺は桜の花びらの方が好きかなぁ…ほとけが春に飛ばしてくれたの、めっちゃ綺麗だったし』
「…今日のとどっちの方が綺麗だった…?」
『同じくらい綺麗だったかなぁ…!!!』
「そうでしょうぅぅぅぅ!!!」
りうらもいつもの調子を取り戻したのか、凄く楽しそうにけらけら笑っている
僕も一緒にげらげら笑っていたけど、思わずもう一発くしゃみをしてしまった
「…はっ……くしゅん!!」
『ほとけ、まだ寒いの?』
「うぅ…僕寒いの苦手なんだよ…」
『自分で風起こした癖に…』
呆れたように呟くりうらに、何も言い返す事が出来なかった
なんだか虚しさを感じながらも鼻をずびずび鳴らしていると、物凄い冷たさを感じた
…りうらが、僕に抱きついている
『お礼としてあっためてあげる』
「…りうら体温ひっっく!!??」
『ほとけは体温高いね』
りうらが僕に密着してきているという事実に少し照れ臭さを感じるも、それより驚きが勝ってしまった
寧ろ、これって僕がりうらを温めているのでは…
『…なんか、ありがとねほとけ。元気出たよ』
…心臓に悪いから、急に感謝を伝えてこないで欲しい
「まぁ、気まずいのは嫌だし…」
『…ほとけって意外と俺のこと好きなんだね』
「そんなことないけどぉ!?」
『俺は結構好きだけどね。ほとけのこと』
「…うるさいわぁ…」
『…あれ、ほとけ照れてる? おーーーい???』
「照れてない!!!」
…何を、しているんだろう
続くわけないのに
いつかはお別れしないといけないのに
ごめんね、ほとけ
俺
お前とお別れしたくないみたい
そんなことを胸の内で呟きながら
ほとけの温かさと
胸に残る
固くて冷たいものを感じていた
次回最終話(かも)
今年一年ありがとうございました
来年こそは水赤マフィアパロ始めたい(願望)
閲覧ありがとうございました