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健との出会いから数ヶ月が経った。春子は、毎週末になると彼と公園で会うようになった。二人はタケシの思い出や、自分たちの生活について話し合い、自然と心を通わせるようになった。
ある日の午後、春子は健に特別な話を持ちかけた。「健さん、実はあなたに見せたいものがあります。よかったら、私のアパートに来ませんか?」
健は少し驚いたが、春子の招待を快く受け入れた。アパートに着くと、春子は押し入れの奥から古い箱を取り出した。その中には、過去の写真や手紙、そして一冊の日記が入っていた。
「これは、タケシと過ごした日々の記録です。彼が私にとってどれだけ大切な存在だったかを、あなたに知ってほしいと思って。」
春子は日記を開き、タケシとの出会いや幸せな日々が記されたページを健に見せた。健は静かにそのページをめくり、祖父の若かりし頃の姿と彼の愛情を感じ取った。
そのとき、春子はふと気づいた。「健さん、あなたのお祖父さんが残してくれた手紙に、もう一つ何かがあるような気がするのです。あなたもそう思いませんか?」
健は頷き、二人はタケシからの手紙を再び取り出し、細かく見直した。すると、封筒の内側に小さなメモが隠されているのを発見した。
「春子へ
もしこれを見つけたら、もう一度あの場所へ行ってみてください。そこに私たちの約束があるはずです。
タケシ」
春子と健は、その「場所」がどこかをすぐに思い出した。それは、公園の奥にある古い桜の木の下だった。二人は急いで公園へ向かい、その桜の木の下を掘り起こした。すると、そこには小さな箱が埋められていた。
箱の中には、一対の結婚指輪ともう一通の手紙が入っていた。
「春子へ
この指輪は、君との未来を願って用意したものです。いつか君がこの手紙を見つけ、私たちの愛が再び繋がることを信じています。
また逢おう
タケシ」
春子は涙を流しながら、指輪を見つめた。健も感動し、祖父の深い愛情に胸を打たれた。
「春子さん、この指輪をあなたに渡したいです。祖父の想いを受け取ってください。」
春子は静かに頷き、指輪を受け取った。タケシの愛が時を超えて再び春子の元に戻ってきた瞬間だった。そして彼女は、健という新たな家族を得たことに深い感謝の気持ちを抱いた。
それから、春子と健は桜の木の下で毎年春になるとタケシを偲び、共に時間を過ごすことを誓った。静かな手紙が導いた新たな絆は、永遠に続くことだろう。
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静かな手紙を見てくださってありがとうございます、よければ感想お待ちしております