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黛 マユミsid
「 …… 」
夜 十一時 三十二分。
本を読んでいたが目が疲れたので少し椅子の背凭れに寄りかかり目を瞑る。
「 ヒズは元気かな… 」
私と同期の美術学校で仲の良かった生徒。
今となっては大企業ブランドの社長。
とある一件があってから絶縁関係になってたけど…
ふと昔のスケッチブックに目が行く。
「 …やなこと思い出しちゃった。 」
忘れたくても忘れられない。
消したい過去も都合の悪いことも全部忘れず私の中にある。
「 でもヒズはもう絵描かないんだもんね… 」
少し冷たい風が窓から入り、私の頬に触れる。
美術学校といえば市松ちゃんもお友達とかいるのかな。
でも市松ちゃんなら色んな人と仲良くやりそうだな…
「 あのカフェ…もう一回行こうかな…珈琲美味しかったし。 」
華やかに香る紫ノ秋の珈琲の味が蘇る。