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「ひろとぉ、?」
朝目覚めると隣にひろとがいないことに気づく
薄暗く、静寂が染み渡る部屋を見渡す。
さっきまで隣で一緒に寝ていたはずなのに。
なんてことを考えていると朝の時間が来た
「みんな起きなさい」
という起床の合図でさっきまでの静寂が嘘のようになくなり、光で白い部屋が眩しく光る
部屋には担当の職員さん?たちが入ってくる。
その部屋には僕一人。
「ちゃんと起きてるな。」
なんて職員が零す。職員さんに向かって疑問をぶつける。
「あのひろとは、?!」
「さっきまで隣で寝てたのに … ,」
ひろと …? などという顰めた顔が目に入る。
しばらく考えているこの時間はとても長く感じ、涙が出そうになる。
「あぁ、同室の子かい?」
「 …! そう!」
何か知っている。という少しの希望が耳に入り、とても喜ばしく思う。なんて僕の気持ちは一瞬で崩れ落ちた。
「あの子はね。もう病気が治ったんだ。
だからもう別のところに帰ったんだよ」
騒がしい。いろいろな声が聞こえる。うるさい。
…. はずなのに僕の耳には職員さんのその声しか聞こえなかった。
「え、?」
「ひろとくん?はね。帰ったんだよ」
貼り付けたような優しい笑顔に腹が立ったのを感じる。
「うそだ、だってひろと治らないって … 」
なんの笑みかわからない。変な笑みを僕も浮かべながらそう話す。
「だって、だってひろとは …」
目から涙が一気に溢れ出し、止まらない。
心にぽっかり穴が空いたような虚無感。
これまでの悲しみが波のように押し寄せる
母から離れたあの日。
一人になったあの日。
大切なひろとがいなくなった今日。
全部全部知っていた。
「あ”ぁ、ッ ,…」
「、ッ はあ っ、 …! 」
まただ。またこの夢。
汗やなみだでびしょびしょになったシーツを見ながら頭を抱える。
一生逃れられないのだろうか。
僕はもう二十歳を超え、すっかり大人へとなった。
あの病院からはもう退院して、一人暮らしをしている。
でも実はなぜ退院したのかどう退院したのかというのがいまだに思い出せない。
なんだったのだろう。あの病院は。僕はなんの病気にかかっていたのだろう。
そしてヒロトという存在。
記憶の中ではとても短い人。でも色濃く俺の中に残っている。
現に、あの頃から10年も経ったにも関わらず、あの夢を見る。
ヒロトが消えた。ヒロトを失ったあの日。
「あぁ〜〜、」
ベッドに大の字に寝転がる。
頭には疑問ばかりだ。なんなんだよほんと。
面倒くさくなり、考えを放棄し、また眠りについた。
さいかぁーい
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