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#完全一次創作
たかはし もけ
701
こと-koto
221
ヨラ@夏休み突入!
877
⚠️注意⚠️
☀︎死ネタ⇨夢オチ
☀︎一部の方にはバッドエンドに見えるかもしれない…???
☀︎今回は珍しく考察できる感じ
どうぞ⇩
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Nr side
朝の八時、時計が壊れた。
手が滑って落としちゃって。
修理屋に行っても、“これは捨てた方がいい”と言われた。
その日はちょうど冬至と言われる日で、凍えるほどに寒かった。
肌に刺さる冷気を、今でも覚えている。
部屋の隅で項垂れるシクラメンが、やけに不気味に見えた。
そうして、布団にくるまりながら寝た。
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その翌日、プログが死んだ。
遺体安置・研究局から連絡が来て、他の奴らもかなり焦っている。
死因はまだ分からないが、他殺である事は確かな様だ。
遺体安置・研究局で顔を薄らと見た。
それは、その顔は、あの端正なものが思い出せないほど見え難かった。
頭には把子が押し付けられたと見られる跡。
腕はもう関節がゆるゆるになっていて、とても生きている可能性は見出せなかった。
服はとにかくプログ自身の血で塗れて、折角の黝色の洋服が紅と混じり合いドス黒い紫色に変化していた。
確かに、あの仕事であの性格で。
いつ暗殺されてていてもおかしくない。
「こちらの方は人間ではない種族です。とても貴重な研究材料となるでしょう。
そのお方の遺体を解剖させていただきます。◯◯と申します。——————」
そこからの話は、もう覚えていない。
我はベランダでセブンスターを吸った。
把子独特の副流煙は、未だ離れ難い。
葬式には行かなかった。
本当に死んでしまっていたから。
それをアナスタシスに話した。
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「…プログの葬式には来なかったのは何故?」
『…本当に死んでしまっているからだ』
「本人が死んでいない葬式はそうそうないでしょ…」
アナスタシスはやけに隈が多くて、こいつも精神を病むことがあるのだな、と思った。
こいつにしては珍しく、爪が整っていなかった。
気にする余裕すらないのだろうか。
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椿がよく映える時期に、遺体安置・研究局から連絡が来た。
[頭に押し付けられていた把子はセブンスターです。今の所これだけしか分かりません。
本当に申し訳ございません。まだまだ調査は続行しておりますのでーーーーーーー]
…はぁ?
だからなんだ、なんだというのだ!
セブンスターなんて、この世界ではメジャーだろう。
そこらじゅうにいる。
ファタだって、我だって吸っているし、そんなことがなにに役立つというのだろうか。
無能ばかりだと思っていたが、こんなにも多いとは
我は爪を手のひらの奥深くまで突き刺した。
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それから連絡が途絶えた。
もう桜が満開になってきたころなのに、まだ進捗は無い。
そこである一通の連絡が来た。
ファタからだ。
『今度、ある喫茶店に行きませんか?』
寒がりの我でも今から暖かく感じるだろう、とのことだ。
そういえば、あれから長いこと陽の光を浴びていない。
別にいっても構わないのだが、今の我は随分と気が参っている。
だが、それを変えるのもまた一興。
そう思い、我は久しぶりに外に出ることにした。
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Ft side
今日、ニルと待ち合わせをした。
この古き良き珈琲店の匂いが懐かしい。
随分と遅く来たニルは仮面越しからも伝わる疲労感に塗れていた。
『…久゛しぶり゛だな、…フ゛ァタ』
久しく出していなかった声、及び機械音声はもちろん枯れており、そろそろメンテナンスも必要なのではないかと感じた。
「そんなにプログが恋しいのです?」
『…』
ほんとう、いじりがいがある。
「なぁに、唯のブラックジョークじゃないですか」
『そういうところが信用ならんのだぞ』
「まぁまぁ、これが私というものでしょう?」
軽いジョークと、いつもの態度。表情。
うまくできているだろうか。
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『…ファタ。貴様は、プログについてどう思っていた?』
ファタの口角が、ほんの少し、本当に少しだけぴくりとした。
予想もしなかった箇所を広げられて、少々びっくりしたのだろう。
「、どうもこうも、“やけに端正な顔とクソみたいな性格”のやつ、というのしか。」
『…まぁ、それは然り。』
その重々しい湿っけのある空気が、やけに気まずかった。
その空気を、一本の電話がかき消した。
我の携帯電話からのようだ。
[電話です。電話です。]
その機械音声は、ノイズが混じっている。
『少し、席を外す』
「えぇ、」
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電話の通知欄を見てみると、どうやら遺体安置・研究局からの連絡だ。
『如何しましたか。』
我は少し焦りながらも、ちゃんと冷静に対応した。
[お久しぶりです。プログ・ノーシスさんの遺体についてのご連絡があります]
我が求めていた情報だ。有難い。
だが、無能共だ。
またしょうもない連絡だったら、今度こそは許せないと思う。
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Ft side
『ファタ、貴様は、プログについてどう思っていた?』
そう言われて、自分でもびっくりするほど動揺した。
いつもの表情筋が、すこしだけ変化した。
どうって、何が?
プログについて?
そういえば、プログについて私はなにも知らない。
本性やタイプ、年齢すらもわからない。
老いを感じさせない風貌は、その種族から来るものなのだろうか。
別にそこまで知りたいと思ったことはないし、特になんの感情も湧いていない。
ただの、気の合う友人。それだけだ。
窓の外を見れば、色とりどりの紫陽花が艶やかに輝いていた。
永遠の命など、この世には無い。
世界には、幾つもの分岐があって今がある。
元を辿ったらどこへいく?
種族はなぜ分けられている?ヒトは何故早死にしやすい?
まだ未開拓の問題にあたればあたるほど、無力感を感じる。
生命体は、最後は意識状態が永久に変わることのない、所謂“死”という越えられない壁に当たる。
プログも、皆も、私も。
その永遠に終わることのない思考が、ぐるぐると頭の中を駆け巡る。
その続く思考に、ある一筋の光が差した。
電話だ。
私のからではない。
つまりはニルの携帯電話から。
『…少し、席を外す。』
「えぇ」
声が少々ぶれたが、この場はやり過ごせた。
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Nr side
[発見された当時の臓器の状態から、死因が判明しました。]
ふむ、少しくらいなら役に立ちそうだ。
[死因は、“銃殺”です。]
『…?では、あの傷は?』
素直な疑問だった。
殺した後に遺体を嬲ったのか?
何故?誰が?そんな趣味の悪いことをしたがるのは。
『分かった。感謝する』
[では、失礼致します]
そういって、電話は切れた。
結局謎は解けないまま、ファタの場所へ戻った。
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Ft side
ニルが戻ってきた途端、なにか複雑そうな感情のまま戻ってきた。
声をかけようか少々悩む。
そんな苦悩を知ってか知らずか、ニルから話しかけてきた。
『…プログの死因がわかったと』
「…!ふむ、やっとわかったのですね。まったく、遅いったらありゃしない」
『同感だ』
「…それで?」
『…銃殺だ』
…銃殺?ではあのなぶりになぶられまくったあの痕は?
なんなんだ。訳がわからない。
あの複雑そうな感情。理解できた。、
「何故かというのは、わかっているのですか?、」
『そこはもう、探偵事務所などに任せるべきだろう。だが、それがわかったところで、犯人自体は見つからない』
否、見つけれないの間違いだろう。
そう付け足し、ニルは自分自身の間違いを正した。
そうして、話もしながら珈琲をのみ、足早にニルは帰っていった。
私は一人で“舞姫”を一人で読む。
プログに渡しそびれた本だ。
文章の一部、「ニル、アドミラリイ」という一つの単語をなぞる。
“何事にも動じない”という意味のラテン語。
ニルにぴったりだ。
ふふっ
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Nr side
目が覚めると、或る病院の一角にいた。
どうやら、長いこと眠っていた様だ。
看護師が焦って主治医に言いにいく。
別にいいのに。
しばらくすると主治医もやってきて、我の身体を診はじめた。
何を言っているかはわからないが、焦っていることだけはわかる。
説明されて、やっと今の状況を理解する。
我は、随分と長い長い夢を見ていた様だ。
全て、夢。
プログが死んだことも、何もかも。
存在しない、我が創り出した幻像。
途中で終わって、よかった。
あれ以上あの夢を見てしまっていたら、我はどうなっていたのだろうか。
嫌な汗がだらだらと。
はやく、時計を修理に出さなければ。
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修理屋に行って、随分な我儘をいった。
『修理代はいくらでも払う。お願いだ。治してくれないか。』
特に思い入れもない。普通の時計。
愛着が沸いていたのだろうか。
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あの日から12日ほど経っただろうか。
時計が自分の手元に返ってきた。
どうにも、なにかよくわからない感情が込み上げてきた。
手が僅かに震え、また温かみを戻していく。
そうして、セットする。
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8:00amで止まっていた時計は、また動き出した。
向日葵が咲く頃に、我たちは歩き出す。
太陽に向かって。
コメント
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みぅです🥀 第13話、読み終えました…。 最初から「時計が壊れた」っていうシーン、すごく印象的で。そこから全部が“夢”だったって分かった時のゾクッとする感じ、鳥肌が立ちました。プログが死んだ悲しみや、ファタとの微妙な距離感、全部が虚構だったとしたら…でも、ニルが「あれ以上あの夢を見てたらどうなってたか」って思うところ、すごく切なかったです。 向日葵が咲く頃に歩き出すラスト、何かを乗り越えたような希望と、まだ見えない影があって、もう一度読み返したくなりました。 こと-kotoさんの描く、重くて美しい空気感、すごく好きです🌙