テラーノベル
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目が覚めると教会にいた。私は何をしていたのだろう。
「あら、目が覚めたのね。
貴方、倒れていたのよ。」
目の前にサファイアのような美しい瞳をもつ
女性があらわれて、私にそう話しかけた。
「私はアリア。貴方の名前は?」
「ノアです…」
「素敵な名前ね。倒れる前の記憶はある?」
「ないです」
そう、記憶がないのだ。
倒れる前、何をしていたのか。
でも、名前だけは記憶にあった。何故だろう。
「そう。歩ける?」
「はい。」
「では、この近くを散歩しましょう。」
私は立ち上がり、アリアさんと一緒に
歩き始めた。
教会はたくさんのステンドグラスがあり、
綺麗だった。
「綺麗でしょう?」
「はい。」
「私のお父さんが作ったの。」
「そうなんですね。」
私は話すことがあまり得意ではない。
アリアさんが話題を振ってくれてもすぐに
会話が終わってしまう。
でも、アリアさんは気まずそうにせず、
微笑んで私を見てくれた。
どこか懐かしかった。
外に出ると驚いた。
「…なんで一面ガラス?」
そう、地面も、空も、植物も、
すべてガラスで出来ていたのだ。
「あら?あなたこの世界の人じゃないの?」
「…?」
「そうよね。私の世界ではこれが普通なのよ。もしかしたら貴方、別世界の人なのかもね。」
「そうですか…。」
「着いてきて、元の世界に帰れる可能性のある門があるわ。」
そう言われてもついて行かなかった。
「…どうしたの?具合悪い?」
「いえ。もう少しだけ、
この空間に居たいんです。」
そういうと、アリアさんは
微笑んでこう言った。
「そう、気に入ってくれたのね。もっと綺麗な場所があるわ。来る?」
「よければ。」
「分かったわ。着いてきて。」
今度はアリアさんについていった。
ついて行った先は、
さっきの教会とは別の教会だった。
そこの教会の屋上に連れてきてもらった。
その光景に私は言葉で言い表せないほど
感動した。どこか、懐かしい雰囲気も感じた。
「ここ、私の植物園なの。綺麗でしょう。」
「はい。すごく、綺麗です。」
「ふふっいい目になったわね。」
「少し、植物園を見てもいいですか。」
「どうぞ。いくらでも。」
「ありがとうございます。」
植物園には様々な植物があった。
知らない花も沢山あったけど、どれも綺麗で、光が反射して輝いていた。
「…こんな綺麗な景色。初めてだな。」
「気に入ってくれてよかったわ。…気になる花はある?」
「えっと…」
悩んだ。
どれもとても綺麗で魅力的だったから。
「この、ピンクのダリアが好きです。」
「そう。嬉しいわ。このダリア貴方にあげる。」
そういってアリアさんはガラスでできた
ピンクのダリアを渡してくれた。
「…いいんですか?」
「もちろん。…そろそろ帰る門が閉じるわよ?案内するわ」
「ありがとうございます。」
そういって門まで向かった。
「じゃあね。向こうの世界でも。元気で。」
「………また会えますか?」
ふと、そう言ってしまった。
もう一度、この空間にこれるなら、来たいから。 アリアさんは少し悩んだ顔をした。
迷惑だっただろうか。
「…きっと花が導いてくれるわ。」
アリアさんは微笑んだ。
否定も、肯定もしない。でも、どこか安心させてくれる、アリアさんの言葉遣いが私は好きだ。
「…そうですね。また来ます。」
「ええ。」
そうして、アリアさんと、
ガラスの世界と別れを告げた。
「希愛ー!!遅刻するわよー!!!」
目が覚めるとそこは、家だった。
さっきのは夢かと思った。
ベッドから出ると、手にはガラスで出来たピンクのダリアがあった。
…夢じゃなかった。
記憶もある。私は花が好きだ。
窓から差し込む朝日にガラスのダリアが静かに煌めいた。
ピンクのダリア。品種名アリア。
________花言葉は、「愛と希望」。
羽海汐遠
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こはるん
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コメント
5件
最高だ
神作品最高
ああ、素敵な世界観だな……。記憶を失った主人公が目を覚ましたら、すべてがガラスでできた異世界だった、っていう導入がもう引き込まれる。 特に好きなのは、アリアさんがピンクのダリアを譲ってくれるところ。「きっと花が導いてくれるわ」って別れ際の言葉が、否定も肯定もしない絶妙な距離感で、すごく優しい。そして目覚めたあとに現実にダリアが残ってたことで「夢じゃなかった」と確信する流れ、すごく好き。 花言葉が「愛と希望」なのも含めて、物語全体がほんわりと温かい。次がすごく気になるね、まぁがりんさん。