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🏞️第六章:森の深淵と、最も不衛生な気遣い
イリスはエルヴィンから教わった情報を基に、リヴァイのメモにある「最適な硬度の水源」を探して、夜の森に入っていた。茶葉を手に入れた今、次は水だ。完璧な紅茶には、完璧な水が必要なのだ。
(兵長は、こんな夜間に一人で行動することに、きっと不快感を覚えるだろう。しかし、最高の水は、この時間帯に最も冷たく澄んでいるはずだ…!)
彼女が地図と懐中電灯を頼りに進んでいると、背後の暗闇から、冷たい声が響いた。
リヴァイ:「おい、何をしている。夜間単独行動は、団の規律違反だと知らねぇのか」
イリスは飛び上がった。振り向くと、月光を背負ったリヴァイが、無表情に立っていた。彼のレザーブーツは、森の落ち葉の上を、ほとんど音もなく移動していた。
「ひゃい!リヴァイ兵長!申し訳ありません!これは、**『ハンジ分隊長補佐による、最高の環境衛生準備任務』**の一環であります!」
イリスは、必死に胸に抱いた、水の硬度を測るための簡単な試験薬と、エルヴィンから借りた水筒を見せた。
リヴァイは、イリスの持つ試験薬を一瞥し、鼻を鳴らした。
リヴァイ:「ハンジが関わっている時点で、任務の**『純粋性』**はゼロだ。全く、くだらねぇ」
しかし、彼は去ろうとしなかった。
リヴァイ:「…その**『水源』**の場所はどこだ」
「は、この地図によると、あと10分ほど奥の、小さな岩場にあります」
リヴァイは舌打ちをした。
リヴァイ:「わかった。これ以上、俺の管轄区域内で**『無駄な不衛生な行動』をとるな。俺が付き添う。お前の『体調』という名の『資源』**を、無駄に消費されては困る」
(…資源、ですか)
イリスは、それが彼なりの**「心配」**であることを理解し、胸の奥が温かくなった。