テラーノベル
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帰り道。
街灯に照らされた歩道を、悠真はひとり歩いていた。秋の夜風が頬に冷たく当たる。
(……俺は、何をやってるんだ)
亮に言われた言葉が、頭の中で何度も反芻される。
“咲を見る目は、ただの妹を見る目じゃなかった”
「……くそ」
呟いて、足を止めた。
夏祭りで隣を歩いたときの高鳴り。
体育祭で見た真剣な横顔。
笑顔に、不意に救われた瞬間。
どれも、ただの“妹ちゃん”に向ける感情じゃない。
(俺は……咲が好きなんだ)
ようやく自分の中で言葉にした瞬間、胸がざわついた。
苦しくて、でもどうしようもなく温かい感情があふれ出す。
夜空を見上げると、星が瞬いていた。
それはまるで、逃げ場をなくすように悠真を照らしていた。
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