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エリカと分かれ、帰宅した影山は考える。どうすれば良いのかと考える。聞かれたくないことがあるのかもしれないが、聞かないことは出来ない。
「・・・考えても無駄だな。」
影山は考えることを放棄した。
自分1人で考えることを放棄した。
「明日、聞けばいい。」
そう呟いて静かに目を閉じた。
翌日の放課後。部活の後。烏野高校男子バレー部員は皆、帰宅の準備を始めていた。
「お、おい日向!この後ちょっと来い!」
影山は同じ部活の相棒(?)である日向翔陽に声をかけた。いや、怒鳴った。
「おれ!?な、何の話だ!」
日向はそう言う。
「何、カツアゲ?さらに身長でも奪う気?これ以上奪ったらネット上どころか、ネットにすら手が届かなくなるんじゃないの?」
と、嘲笑しながら部活1の高身長、月島蛍が煽る。
「ちげえよ!」
「いつかお前も抜かしてやるから待っとけよ!」
「お前らうるさい!」
影山の怒号、日向の否定、とキャプテン、澤村大地の怒号が響く。
「影山、その言い方だと勘違いされるだろ?月島も、影山を煽らない!」
副キャプテン、菅原孝支が割って入る。
「おれ、今日影山に何かしたか・・・?」
日向は怯えながら心当たりを探っているが、心当たりが多すぎて分からない、といった様子だ。
「どうせレシーブが下手くそとか言われるだけでしょ。」
と月島が言い、
「影山が日向褒めること無いもんね。」
と山口忠が肯定する。
「ちげえよ!」
「おれ今日はそんなにレシーブミスしてないぞ!?」
と影山は否定し、日向も否定するが、やはり
「お前らうるさい!!!」
澤村に止められる。その間も日向は心当たりを探すがやはり多すぎて分からない、といった様子だ。
なんとか皆それぞれ帰り支度を済ませ、烏野高校を後にした。
烏野高校前から伸びる坂道を下りながら、菅原が影山に問う。菅原の顔には見るからに面白そう、という感情が滲み出ていた。
「で?日向に何の用だ?」
「なんでお前も同席する気なんだ。」
澤村が菅原に問う。
「だって面白そ・・・2人だったら喧嘩するかもだろ!」
嘘である。本心を隠せずに最初に暴露して、必死に取り繕うが無駄である。
「ひ、日向に、き、聞きたいことが、あって。」
「影山が日向に聞きたいこと・・・!?」
影山の答えに影山以外の部員は驚きを隠せない。
「な、何の用だ!」
日向は警戒する。それもそうだ。今まで褒めたことも頼ることも無かったムカつく奴が自分に聞きたいことがあるという。誰だって警戒するだろう。
「友達の作り方教えてください、とかだったりして。」
と月島は嘲る。
沈黙。すなわちそれは肯定である。
月島の煽りに影山の否定は無かったのだ。
「は、嘘でしょ?」
揶揄うつもりの言葉に影山が反応しなかったことに1番驚いたのは月島だった。
「お、お前友達の作り方知りたいのか!?」
日向が声を上げる。
「ち、違、くはない、けど違ぇ!」
影山はよく分からない否定をした。
「いやどっちだよ!」
留まっていた部員たちからの総ツッコミが入る。
「影山に友達になりたいと思える人が・・・」
菅原がまるで母親のような反応をする。
「とりあえず、事の経緯を聞こうか。」
澤村の一言で、影山は口を開いた。