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「明日、ちょっとだけ早く帰るね。親の用事で」
そう言っただけで、すみれの顔が曇る。
「……ほんとに?
私、何かした?」
「してない。してないよ、ほんとに」
「でも、私といる時間より、大事なこと?」
その言葉に、言い返せなかった。
私も、もしすみれが他の誰かと話していたら、
同じことを言っていたと思うから。
徐々に、予定を合わせるのが当然になった。
「ひとりで帰る」という選択肢が、なくなっていった。
休みの日は、連絡がないと不安になって泣きそうになった。
通知が鳴らないだけで、頭がぐらぐらした。