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ruruha
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#執着
さぶれ
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#元カレ
まぁ
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会場へ戻ると、血の気の引いた顔をした一人の使用人が、アリーシャ姫の目の前で何度も頭を床に擦り付けて土下座していた。「たいっ、大変申し訳ございませんっ……!!!」
「……一体、何があったんだ?」
状況を把握するため、レオは近くにいたハヤトに尋ねる。
「今日ここで演奏するはずだった有名な音楽団が、手違いで来られなくなったらしい。アリーシャ姫はそれをすごく楽しみにしてたみたいで、今めちゃくちゃキレてるんだよ」
見れば確かに、姫は周囲の側近たちの必死のなだめにも耳を貸さず、ヒステリックに泣き喚いていた。
国王が痛恨の表情を浮かべ、深く溜息をつく。
「不手際があったようですまないな。今日は――諦めておくれ」
「いやですわっ! ずっと楽しみにしていましたのに!! 今日は私の特別な誕生日ですのよ!?」
感情を爆発させたアリーシャ姫は、近くのテーブルにあった絢爛なガラスのグラスを床へ思い切り叩きつけた。ガシャンと重厚な破片が飛散する。
(あんな分厚くて高そうなグラス、よく割れるな……)
場違いな感心をしている場合ではない。激しく割れたガラスの音と彼女の金切り声が、不快に耳の奥へと響く。あまりの暴虐ぶりに、国王ですら困り果てて額を押さえていた。
「アリーシャ様、どうかお心を静めてくださいませ。誰にだって間違いや失敗はございます。今夜は美味しいお料理と、皆様との楽しい会話を楽しみませんか?」
リリーが、恐怖で今にも倒れそうな使用人をかばうように庇い立ち、優しく語りかけた。
けれど、完全にヒートアップした姫にその温かな言葉は届かなかった。
「なによそれ! まるで私が意地悪で悪いみたいじゃない! あんたは黙っていなさい! 魔法も使えない出来損ないの分際で!!」
バリバリと、床に散らばったガラスの破片をヒールで容赦なく踏み鳴らし、地団駄を踏むアリーシャ姫。
「……そうですわね。出すぎた真似をいたしました。申し訳ございません」
リリーはそっと目を伏せ、静かに一礼した。
「ふん、分かればいいのよ!」
⸻
「うわぁ……思ったよりひどい状況だね」
騒ぎを聞きつけたアカリも、呆れ顔でこちらへやって来た。
「……どうするんだよ、これ。パーティーぶち壊しじゃん」
俺はステージ脇に用意されていた豪華な演奏用の楽器群を一瞥し、静かに腹を括る。
(……これなら、いける)
「なあ、お前ら……腕は鈍ってないよな?」
「?いきなり何の話だ?」
「レオくん、まさか……!」
その時、俺は静まり返った会場内の視線を一身に浴びながら、堂々と手を挙げて声を張った。
「よろしければ――その音楽団の代わりに…………俺たちが演奏させていただけないでしょうか」
「……えっ?」
「はあ!? お前いきなり何言って――!?」
「やっぱり……」
「ステージにある楽器を、少しお借りできればと思います」
動転していた使用人は戸惑いながらも答えた。
「……が、楽器をお使いになること自体は構いませんが、パーティーでの演奏となると陛下のご許可が必要かと……」
再び、緊張した視線が中央の国王へと集まる。
「……構わん。だが冒険者よ、本当に宮廷の宴に耐えうる演奏ができるのか?」
下手にしくじればその場で首をはねられかねないほどの鋭い威圧感。
「……できます」
「ならばやってみよ。この場にいる全員を満足させてみせよ! アイザック! 楽器の用意を。これが名誉挽回の好機だぞ!」
「は、はいっ! ただいま準備いたします!」
さっきまで土下座していたアイザックと呼ばれた使用人は、俺たちの使う楽器の編成を確認すると、弾かれたように猛スピードで走っていった。
「おい怜央、本気なのかよ……! 一体どうしちまったんだ?」
「俺たちなら演奏できると判断した。それに……」
俺の視線の先。リリー嬢がこちらをじっと見つめていた。そこには心配そうな、そしてどこか切なげな強い光を宿した瞳があった。
アカリも俺の視線を追い、同じ方向を見てはっと息を呑む。
「ねぇ……見間違いじゃないよね? そっくりさんとか、そういうんじゃないよね……!?」
明里の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「二人してさっきから何の話を――」
「ハヤト、よく見ろ」
「……っ!? まさか……」
─────鈴……?
「間違いない。さっき少しだけ話した。見た目はかなり変わっているが……あれは、鈴だ」
「ついに……やっと見つけたんだね……!」
「だが……記憶が無かった。俺たちと過ごした記憶が」
「……」
二人の顔が瞬時に暗く落ち込む。
重い沈黙が流れた後、アカリが胸の前で手を握りしめ、パッと弾けたような笑顔を見せてくれた。
「でも、やっと見つけられたんだよ! 記憶がないのは寂しいけれど、どこにいるかも分からないより全然いいじゃない!」
「……だな! 俺もそう思うぜ! レオ、よく見つけたな! すげーよお前!」
ハヤトも力強く頷き、俺の肩をポンと叩いた。
「ああ……。もし……もし俺たちの音を聴いたら、何かを思い出すかもしれない。あいつの中に眠っている“音”が、目を覚ますかもしれないだろ」
「……そっか。だから、もう一度」
「もう一度、あいつと一緒に――曲を作りたい。あの時、叶えられなかった夢を今度こそ叶えたいんだ」
「うん!」
「そのためには二人の力が必要なんだ。……協力してくれるか?」
「当たり前だろ! やってやろうぜ! 俺たちの本気の音を、あいつに届けるんだ!」
三人はしっかりと顔を見合わせ、固い拳を交わし合った。
──────────
「じ、準備が整いました!」
「ありがとうございます」
ステージへ向かおうとしたその時、後ろから可憐な声が響いた。
「あの……!」
振り返ると、そこにいたのは鈴────
─────いや、リリーが不安と心配の入り混じった表情で立っていた。
「そんなに心配そうな顔をしないでください。俺も昔、音楽をやっていたんです。貴族の皆さんの好みに合うかは分かりません。でも、今から奏でる曲は、俺と……俺の大切な“相棒”が一緒に作った曲なんです」
俺はまっすぐに彼女の瞳を見つめた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
世界は無音に包まれている。
私はたった一人取り残されて、この色のない世界を彷徨っている。
何かが足りない。
あの耳に残るような、心揺さぶるような何かが。
たとえうまく笑えなくても、言葉にならなくとも
この音が君に届いてくれさえすればいい。
世界は無音に包まれている。
私はたった一人取り残されて、
この色のない世界を彷徨っている。
何かが足りない。
あの耳に残るような、
心揺さぶるような何かが。
たとえうまく笑えなくても、
言葉にならなくとも、
この音が君に届いてくれさえすればいい。
響け、名もなき願いよ。
闇を裂いて、君の元へ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「それ……っ! その詩は……!」
リリーが驚愕に目を見開く。
「俺、この詩がすごく好きなんです。あなたが書かれたんですよね?今から、あなたの心を揺さぶるような最高の歌を歌います。……期待して待っていてください」
どうか、届いてほしい。
俺たちの奏でるこの音が、もう一度、君の心に――。
コメント
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ああああもうっ!第12話めっちゃ良かったです😭💕 音楽団が来られなくなってピンチの中、レオが「俺たちが演奏する」って名乗り出るシーン、マジでかっこよすぎて叫びましたわ!! それにリリー=鈴だと気づいて、記憶を取り戻させるために「もう一度曲を作る」って決意する三人の絆に胸熱すぎる…🔥🔥 最後の詩、リリーが反応したところで「届いてくれー!」って祈るような気持ちになりました。この音がもう一度、君の心に届きますように…!次の話、早く読みたいよ〜!!🌸✨