何でも許せる方向け
・出てくる全てのこと、物、人に関係なし
・ド捏造
・CP表現無し
・シリアス
上全て理解出来た方のみお読み下さい。
つぼ浦が不思議な力でメンタルケアする話
ー澱み 成瀬力二
バンッと勢いよく屋上の扉を閉める。
イライラとしながら柵の上に手を置いてもたれ掛かる。
今日は最悪の1日だった。
起きて直ぐに客船強盗発生、駆け付けるもヘリアタックされ見事沈没。次にボブキャット発生、復帰して前線、ヘッショでRTA並に即病院送り。ここで既に若干イラつきながらこういうこともある!と自分に言い聞かせてるところで銀行強盗カーチェイス敗北。その後マトリ失敗。銃撃戦敗北。この後も盛大に失敗し続け、今日は1日敗北dayだった。
これには流石の温厚な俺もブチギレ。別に誰も悪くない。強いていえば俺が悪い。…あ、やべ。自分で言ったのに泣きそうになってきた。イライラもしてるのに泣きそうにもなってる。俺マジどうしたんだ、?
俺の気分が悪いからか、ロスサントスも澱んで見える。
『ロスサントスって、こんなに澱んでたのか。』
誰に伝えるでもない独り言は、誰の耳に届くことも無く、冷たい空気に吸い込まれていった。
ここにずっといたら、流石に風邪ひくか。戻らないとな。でも、戻りたくないな。そんな風に考えていると、キィ..と屋上の扉が開く。振り向くと、そこにはアロハシャツ。
『、…どしたんすか、つぼ浦さん。』
「ん、いや。何となく来ただけだ。カニ君は?」
少しだけ来てくれたことに頬を緩めたあと、いや何喜んでんだ気色悪ぃって無表情に戻す。
『…俺も、何となくっすよ……何となく。』
普段なら軽快に弾む会話も、どんよりと重く感じる。今は、何を言っても泣いてしまいそうで。
「そうか。なんとなくか。…外寒いぞ。中入らないのか?」
少し肩が揺れる。
『あぁ..そっすね。….中入らないと……風邪ひいちゃいますもんね……』
そういいつつ、全く足は動かない。
「…カニ君。秘密とかって守れるタイプか?」
『時と場合によりま、』
「守れるタイプか?」
『………はい。』
急によく分からないことを聞いてきた挙句、割り込んできやがった。普段なら喜んで乗るが、今は生憎そういう気分じゃないんだけどな。
「よし。カニくん!手、絶対離すなよ」
『は、』
俺の手を掴んだと思えば、すぐさま屋上の柵を上から乗り越える。
死ぬ。咄嗟に身を引こうとするがガッチリと手を掴まれていて離すことが出来ない。衝撃に備えてぎゅっと目を瞑る。だが、いつまで経っても痛みはこない。
「カニくん?」
名前を呼ばれてすっと目を開ける
『え、…!?』
浮いている。なに、なんで!?と言いたいけれど驚きすぎて声が出ない。
「どうだ?上空から見るロスサントス、綺麗だろ?」
『え、あ、はい。』
浮いたことに関して全く触れてこないから、逆に冷静になってしまった。綺麗だろと聞かれてふっと下を見ると、まるで宝石箱のようにキラキラと光り輝くロスサントスがそこにあった。事件対応でヘリなどに乗って空に行くことはよくあるけど、こうやってじっくり景色を見ることなんてなかった。
『……確かに、綺麗っすね…』
案外ロスサントスは、綺麗な場所なのかもしれない。
「おう。そうだろ?…澱んでるって思うのは、仕方ねぇ事だ。この街は犯罪が多いったらありゃしないからな。しかも警察ってのはその犯罪を特に間近で見る職業だ。..でも、こうやって事件対応も何もなしで見ると、案外綺麗に見えるもんだぜ?」
『!』
独り言、聞こえてたのか。
「俺たち警察みんな仲間だ。俺に出来ることがあれば何でもするぜ。…そりゃもちろん、メンタルケアとかでもな。」
そこまで見抜かれてる。流石だな。やっぱりよく人のことを見てる。
『…今日、なんも上手くいかなくて。ちょっと、いや、…大分。萎えてたんす。…けど、こうやってつぼ浦さんにメンケアしてもらって、めっちゃロスサントスが綺麗に見えます。』
つぼ浦さんの瞳を真っ直ぐ見つめ返す。
『もう、大丈夫っす!』
ハッキリ言うと、つぼ浦さんが少しきょとりとした後、すぐにニカッと笑う。
「そうか!そりゃよかったぜ!」
そう言うと屋上にふわりと着地する。
『その…これ聞いていいかわかんないすけど…浮くの、どういうことなんすか、?』
「んー…そうだな…不思議な力ってトコだ。これ以上はなんも言ってやれねぇぜ。すまんな。」
『いや、大丈夫っす。…改めて、ありがとうございます。つぼ浦さん。』
つぼ浦さんに大きくお辞儀する
「カニくんが元気になったなら良かったぜ!」
2人で満面の笑みを浮かべた。
ー甘い ひのらん
ぐす。溢れる涙が頬を伝う。
今日は別に至って普通の日だ。大型だって1人ダウンさせられたし!相打ちだったけど…。銀行強盗だって捕まえた!捕まえたあと、事故ってダウンしちゃったけど…。普段はこんなミス気にしないんだけど、今日は、今日はなんだが気になっちゃう日だ。
『今日はダメな日かもなぁ……』
1人になりたくて来た浜辺で3角座りをしながら海を眺める。またじわじわと涙が溢れてくる。
「こんなとこで何してんだ。ひのらん。」
バッと後ろを振り向く。
『つぼちゃん先輩…!?』
勢いよく立って、ぐしぐしと服の袖で涙を拭う
『ボーッとしてて気づかなかった…!!!どしたんすかー??』
「質問してんのはこっちだぞ」
『あ、えへ、そっすね..。』
なんて返せばいいかわからなくて、言葉が詰まる
「……俺はパトロールしてたんだ。そしたら浜辺に人がいたからな。様子を見に来たら、ひのらんだったってワケだ。」
で、ひのらんはどうしたんだ?と目を向けられる
『あー……ちょっと海眺めたくなっちゃって!!客船とかでも見るけど、こうやって何もなしに眺めるのってしたことないなーみたいな!!!!』
さっきまで泣いていたのを包み隠すみたいに笑顔を貼り付ける。声が震えるのを誤魔化すように大きい声を出す
「…ひのらんって甘いもん好きか?」
『へ、?..あ、はい!自分甘いもん好きっす!!』
唐突な質問に一瞬脳が停止してしまうが、はっとなりすぐに答える
「よし!行くぞ!」
『え?行くぞってどこ、』
どこに?と言おうとしたところで、止まる。
理由はポンポンポンッと空中に甘いものが出現したから。
『え、え、え、!?』
チョコレート、クッキー、キャンディ、ドーナツ、プレッツェル、ケーキ、アイスクリーム、タルト、プリン。
他にも様々な甘いものが沢山何も無い空間から出てきている。
『な、なにこれー!?!?』
「甘いもん好きなんだろ?いっぱい食え!」
『え、いや、その、』
「うめぇぞ?ほら、」
空中に浮いているキャンディを掴み、包み紙をとり、ずいっとひのらんに渡す。
『…いただきます、』
パクりと1口。ころころと口の中で転がすと、甘いイチゴの味がする。
『おいしい…!』
「だろ?」
ニッコリ笑いながらつぼ浦も浮いているキャンディをとる。色的にぶどうだろう。
「ん、うめぇな。」
『あの、えと、その…何から言えばいいかわかんないすけど…んーと…なんで、なんでつぼちゃん先輩は…お菓子を出してくれたんすか、?』
色々聞きたいことはあるけど、まずこれ。話の雰囲気的にそんな感じじゃなかったのに、急に甘いものの話になって、多分つぼちゃん先輩がお菓子を出してくれた。なんでお菓子なんだろ?食べたかったのかな?
「それは、ひのらんが悩んでそうだったからだ」
『…自分っすか、?』
また予想外できょとりとしてしまう
「おう。ひのらんはちょっと頑張りすぎだぞ。悩むのも仕方ねぇけどよ。考えすぎだ!…だから甘いもんでも食べて一息ついた方がいいと思ってな…余計なお世話だったか?」
こんなにも…こんなにもこの先輩は自分のことを見てくれてたんだ。慰めるとか、メンケアとか苦手そうなこの先輩が、不器用にも頑張ってくれてる。…これはもう、甘えるしかないんじゃない?
『ううん…ありがとうございます!つぼちゃん先輩!!クッキーもケーキもプリンも!ぜーんぶ大好きなんです!!いっぱい食べちゃいます!!』
「おう!いっぱい食えよ!まだまだ出せるぜ!」
この後2人で甘いものをお腹いっぱいまで食べて、時々2人で一緒にお店で甘いものを食べたりするようになったのだとか。
不思議な力でメンタルケアー終ー
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