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頼んだビールで、グラスをカチンと合わせて乾杯をする。
「うーん、お風呂上がりのビールは、やっぱり最高ですね」
「ああ、そうだな。うまいな」
彼の喉がごくっと波打つのを見つめていて、箸がつい止まっていた。
「……食べられないものでもあっただろうか？」
「あっ、違いますっ！ ど、どれもビールにも合うし、食べられないものなんて、なんにも……！」
さすがにビールを飲むのを見ていてとまでは言えなくて、動揺をごまかそうと目の前の副菜をとっさに口に詰め込んだら、案の定というかむせる羽目になった。
「大丈夫か？ 急いで食べなくても」
「そ、そうですよね……」
彼との初めての旅行という緊張感も相まって、どうにも裏目に出るようなことを繰り返していることに、つくづく嫌気が差してしまいそうになる。
そう言えば、恋人同士で旅行に行くと、相手の素が見えて嫌いになる確率も高いとか、よく聞くし……。
これって、もしかしてピンポイントで当てはまっちゃうんじゃないのかな？
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