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日本防衛隊第一部隊。
それは、『東方師団』の一つ、東京都の有明に位置する、日本防衛隊の基幹部隊。
隊員全員が開放戦力40%を超えるエリート集団で、首都防衛の要だ。
そんな第一部隊には、”戦場での天才”の他にも、もう一人天才がいるらしい。
第一部隊に来て数日経つが、気になることがある。
“防衛隊の天才”
そう呼ばれる彼女と、私はまだ一度も顔を合わせていない。
日本最強があんなに自堕落ならば、もう少しまともな人なのだろうか。
そう考えながら、軽くノックをして、オペレーター室の扉を開く。
「失礼します。先日、第一部隊に配属されました、四ノ宮キコルです。🌸さんは今いらっしゃいますか?」
そう問いかけると、オペレーターの人たちは皆目を合わせて苦笑いしながら
「🌸ね、ちょっと待ってて。」
と言って、通信を手にした。
「🌸さん、先日話していた四ノ宮キコルさんが来られました。」
「仕方ないな……わかった、今行く。」
他のオペレーターさんと気怠げな🌸さんの会話を聞きながら待っていると、廊下の向こう側から、アンニュイな女性が呑気に飴を咥えながら歩いてきた。
彼女は真っ白に輝く縦長な瞳孔をしており、毛先が遊んでいるウルフカットの髪には、綺麗な原色の青色のインナーカラーが入っていた。
「君がキコルちゃんだっけ?初めまして。聞きたいことってなあに?」
彼女に不敵に微笑まれ、少し息を呑んだあと、おずおずと口を開いた。
「……聞きたいことは、二つあります。」
「一つは、その目のこと。一つは、第一部隊に来た理由。」
そう言うと、彼女は目を細めてくすっと笑って、自身のキラキラと輝く感情の読めない目を指さして言った。
「これー?これはただのカラコンだよ?」
「ただ、憧れの人がいるの。その人との共通点を作りたかっただけ。偽物だよ。」
そう笑う彼女は、酷くくだらない理由を話しているのにも関わらず、どこか悲しそうな、寂しそうな顔をしていた。
「なら…防衛隊に来た理由も、その人の影響なんですか?」
そう問いかけると、今度は打って変わって、自慢げに目を輝かせる。
「!そうなのよ!ずっとかっこよくて、私の憧れ。」
「ここから先は…長くなるけど、いい?」
そんな彼女に、私は興味が湧いた。
何にも興味がなさそうで、中々感情の読めない彼女を、防衛隊に入らせるほどに心酔させたのは、誰なんだろうか。
ここまで彼女が尊敬し続ける理由はあるのだろうか。
そんな疑問を抱きながら、私は首を縦に振った。