テラーノベル
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夜、研究も終わってようやく寝ようとベッドの上に倒れ込む。
甲斐田「っだぁー……なんなんだよあのクソ上司…残業させやがって」
恨めしそうに呟くも、眠気と疲労には何にも勝てない。
ここだけの話だが、眠気は何においても始まりな気がする。動物だって寝なければあんなに過敏に動けない。人間はもう説明不要だろう。脳のない動物ですら眠るのだ。
死だって最終的には眠るのと同じ。違うのは生命の維持をするのではなく、維持ができなくなっただけ。
コールドスリープもそういう原理で作られているのだろうか…例えば脳に眠るよう指示して、体が腐ったり途中で起きないよう温度を冷たいまま、凍死しないよう温度を変えているんじゃないか……
甲斐田「違う違う違う!こんな事を考えるためにベッドに入ったわけじゃない!」
研究者気質が残業後も引っ張ってるのが嫌すぎて、もうさっさと寝ようと体の向きを変えてふて寝する。
人形が落ちたのは、体感1時間後くらいだった。
何が落ちたんだと思うと熊の人形。こんなのあったっけと思いながら必死に立ち上がって戻す。すると、グルリと首が180度曲がった。
甲斐田「うわあああ!」
あまりにも怖くてパッと手放した後部屋から飛び出た。それが間違いだった。
甲斐田「え……こんな、廊下長くない…」
廊下の端っこが見えないほど長く続いていて、扉が一定感覚で置かれてある。
本当に怖くて夢だと思いたかったが心臓があり得ないほど脈打ってるし、何より顔が暑すぎる。
これが現実なんだと受け入れて恐る恐る踏み出す。キョロキョロしながら歩き続けるが、本当に同じ景色が続いて狂ってしまいそう。
取り敢えず適当に扉を開けてみると、そこには図書館が繋がっていた。
甲斐田「うわぁ、下手な博物館より本多いなぁ…」
酷く感心しながら辺りを見回していくと、大きな影が見えた。
条件反射で引っ込んだが、よく見ると大きい着ぐるみだと分かると途端に力が抜けた。興味が湧いてきて目の前に立つ。
一体目はブランの髪をした金色がかってる茶色の目でスーツを模した服を来ていた。誰なんだろうと首を傾げながらもニ体目に移る。
二体目は濃い青紫色の髪と青緑の目をした制服姿の着ぐるみ。そして–––
甲斐田「あれ?竹刀があるじゃん。これだけちゃんと、っていうか本物っぽい…?」
ますます謎は深まる。あと二体いる。
三体目はシルバーグレーの髪に若干の赤と紫色のメッシュが入った紫色の目をしている。すっごいホスト感が漂うのに、何故かぼーっとしてる印象を持つのは気のせいだろうか。
四体目を見てみようとした時、物音がした。怖くなって振り返ると、先ほどと違うところに移動して動いてる。
本を興味深そうに見ていたり、椅子に座っていたり、見回していたり。
そして四体目が、僕の目の前に立っていた。それがあまりにも、僕そっくりだった。
甲斐田「え?」
何故。こんな人形誰からも教えて貰えてない。本当に夢なんじゃないかと現実逃避したくなった。
恐怖が背中を駆け巡ってゾクゾクし始める。鳥肌が立ち始めた頃、何者かが入ってきた音がした。
?「あ、こんなところにおったんや」
軽快な男の声がする。ローファーを履いてるのか、音がよく響いた。
甲斐田「だ、誰ですか…?」
聞いた方のない声。絶対初対面のはずなのに何故か向こうは知っているようで、その現実の無さからこれを事実だと認めたくなくないと脳が拒んでる。
?「誰、と聞かれてもなぁー。なんかふらふらしてるやつって思っとって。それよりさ、そんな怯えんでよくない?」
男が近づいてくる。逃げるのに必死で顔なんて見てられない。出口に入ろうと男を撒こうとする。背後でドアの取手を掴む。逃げれそうだと思った。
?「あ、逃げるんや。いや別にええよ?今捕まえても面白くないし。…ただ、これだけは覚えといてな」
?「君は一人やないんやで」
コメント
2件

最初不破さんしか出せてなくてごめんなさい。1話ごとに出すから許して……
いやあ、これめっちゃ好みの雰囲気でした!研究者の主人公がふて寝してる日常から一気にホラー展開に突入する流れ、ゾクゾクしました。廊下が無限に続くトランス状態と、自分そっくりの人形で「え?」ってなるところ、めちゃくちゃ刺さる。最後の「君は一人やないんやで」も意味深で続きが気になりすぎる…!この不安と好奇心のバランス、好きです🔥