テラーノベル
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キーボードを叩く、かたかたという心地良い音がカフェテリアに響く。
その音を鳴らしているのは、紛れも
ない自分自身だ。
数分ほどそれを繰り返し、終わりを告げるEnterキーを勢いよく押した。
「はぁ……」
明日、取っている講義のレポート提出がある。
私は昨日の時点で既にレポートを終えていた。がしかし、教授から追加課題を出されてしまったためこんなにも急ぐ羽目になったのだ。
ノートパソコンを閉じた私は、荷物をまとめてサークル棟の1番端の部屋へ向かう。
「都市伝説同好会」と書かれたプレートがかかっているドアの前に着くと、中からぴりぴりとした人の気配がした。
一応3回ノックをして、身構えながらがちゃりとドアを開ける。
「こんにちは~……って先輩たち、何してるんですか……」
「ん?ああ、ババ抜き」
「殺気出しながらやるのやめてください」
こちらに背を向けて相手を睨んでいるのは、黒尾先輩。
ドアを開けたときに反応してくれたこちらを向いている先輩が、私をこの都市伝説同好会に連れて来た張本人である夜久先輩である。
とりあえず入り口で靴を脱ぎ、テーブルに鞄を置く。
そしてソファに座って、この同好会にいる猫を撫でている頃には、2人のババ抜きは夜久先輩の勝利で終わっていた。
「くっそ負けた!」
「もう1回やろうぜ、俺が勝ってやる」
先輩たちはもう一度ババ抜きをしようとしているので、流石に止める。
「先輩たち、今日用事あるので手早く済ませたいんですけど。私帰っていいですか?」
「待て待て待て、ババ抜きは後にして話し合うか」
やっと本題に入ることができた。安堵していると、黒尾先輩がホワイトボードに文字を書き始めた。
「今日の議題はこれだ」
「夢に関する都市伝説……?」
「そうだ。『猿夢』やら『ソウシナハノコ』、『This Man』とかいろいろあるだろ?その調査だよ」
都市伝説同好会では、いろいろな都市伝説の調査をしている。
「その中で今回は何を調べるんですか?調査するってことは何かしらの事件があったってことですよね」
ウチでは、基本的に何かあった時以外の招集はない。今回呼ばれたということは何かがあったということ。
「ああ、この記事を見てくれ」
黒尾先輩が開いたパソコンのネット記事を見る。
そこには、【行方不明者続出!?経験者に聞く、原因と正体!】という見出しの記事があった。内容は、巻き込まれた人が“ばりばり”という都市伝説の夢から生還し、その夢の中でたくさんの人の遺品らしきものを見たという話だった。
「へえ、大変そうですねぇ。真逆その夢に入って調査して生還しろとか言いませんよね?」
黒尾先輩がニタァと笑い、こちらを向いた。「その真逆だよ、篠宮……あからさまに嫌な顔するのやめてくれません???」「いやそれ私死ぬ可能性あるんですよね?『裏世界』とか『8番出口』とかで対抗できる2人が行くべきでは……」「いやいやいや、俺たちは忙しいから」
そう、黒尾先輩と夜久先輩はそれぞれ『裏世界』と『8番出口』という怪異である。
「あなたがたは最悪自分の世界展開して自衛できるじゃないですか」「そうだな」「私人間なので普通に死ぬんですけど」
そう、2人は最悪の場合は自分の世界の展開で有利に持ち込めるが、私は何もできずに死ぬしかないのだ。「せめて2人のどちらかが行くべきだと思うんですけど」「じゃあ研磨でよくね?」
「え、嫌だけど」私の膝に乗っていた猫が人間に変化する。
「わふっ……ちょっと孤爪くん、せめて一言言ってよ」「別にいいでしょ。で、ばりばりの話だけど」
孤爪くんが軌道修正をする。「おれは自分の空間展開できないし、やっぱり2人が行ったほうがいいよ。だっておれ楓のこと守れないし」「それはdon’t?can’t?」「can’tの方」「なら仕方ないか……やっくん任せた」「仕方ねぇなぁ」
何故か私が行く前提で話が進んでいる。まだ行くとも言っていないのに……。「はあ……行けばいいんでしょう行けば!1人で行きますよ仕方ないので!」「さっすが篠宮〜」「黒尾先輩、刺しますよ」「ひえっ」
と、結局1人で行く羽目になってしまった。
でも、これは好都合だ。
私は、1人笑っていた。
コメント
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うわあ……この1話、すごく気になる始まり方でした!✨ 「ばりばり」って夢の都市伝説、初めて聞いたけどめっちゃ怖そう…。 主人公の楓ちゃん、1人で調査行く羽目になってるけど、最後の「好都合だ」って笑うとこ、何か裏がありそうでゾクゾクしました🥀 黒尾先輩と夜久先輩の軽いノーリと、猫から人間になる孤爪くんの空気感、すごく好きです。 続き、ちゃんと読ませてもらいますね🌙