髪を乾かして戻ると、すっかり準備は整っていたようだ。
🖤「コーヒー飲むけど、阿部ちゃんのも淹れ直そうか?」
💚「ありがと、準備しながら飲もうと思ったけど冷めちゃった」
含みを持たせた言い方をしてきたけど、俺のせいなのは明確なので黙って熱いコーヒーを淹れ直す。
窓際にはオットマンが1つ。
阿部ちゃんは1人で見るつもりだったようだけど、俺がたまたま明るいうちに仕事が終わったので結局2人がかりでソファを運んだ。
🖤「それで、今日はどんな特別な日?」
💚「今日は惑星直列って言って、惑星が一直線に並んで見える珍しい日なんだよ」
🖤「へぇ」
💚「次回まで10年は開くし、今年は新月も重なってるから、普段観測しづらい暗い星も観測のチャンスがあるんだって!」
奇しくも日没直後が一番観測に良い時間なのだと、阿部ちゃんは興奮気味だ。
やがて日没を迎え、貴重な天体ショーが始まった。
阿部ちゃんは星座の早見表やあらかじめつけていたメモと空を何度も見比べながら、あれがどの惑星だとか解説をしてくれた。
💚「めめと一緒に見られるの、嬉しい」
そう言ってソファで俺の肩に身体を預ける。
声色やいつもより少し大きな動きから、ずっとはしゃいでいるのがわかる。
🖤「俺も阿部ちゃんが教えてくれなかったらこんなの知らなかったから、見られて嬉しい」
星を見るのは好きだけど、天文に関する事はそこまで詳しくない。
阿部ちゃんが教えてくれたから、今日の空の貴重さも、何がどの惑星かも、ちゃんと理解しながら楽しめた。
🖤「ありがとう、阿部ちゃん」
💚「ふふ、嬉しい」
さすがに冷えてきたので、窓を閉めて惑星のパレードとお別れする。
🖤「なんかプラネタリウム見たくなったな、今度行こう?」
💚「いいね、行きたい」
ご飯を食べて、阿部ちゃんがお風呂に入っている間に遅い時間でもやっているプログラムがないか調べる。
たまたま見ていたプラネタリウムのサイトにオンラインショップがあり、気になって開くと星のモチーフをあしらった綺麗なネックレスが目に入った。
阿部ちゃんに似合うだろうな。
最近、何を見ても阿部ちゃんに合うかどうかが選ぶ基準になってきている気がする。
それだけ、俺の生活に阿部ちゃんがいてくれるということ。嬉しいし、支えになってくれていてありがたい。
お風呂から戻った阿部ちゃんに、調べておいたプログラムをプレゼンする。
嬉しそうに聞いている阿部ちゃんを見て、次の楽しみと2人の思い出がまた増えるんだと自分も嬉しく思った。
終
コメント
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ふあー。朝から補給できて嬉しかったー。あべちゃん、めめのために勉強したんかなあ、本当に努力家だよね💚