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#センチネルバース
かんな
939
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「コズミック・オーラ!」「フレア・ボルテクス―ッ!!」
少年たちの叫びが、暗い谷に木霊する。
ナギの放った星々を模したバフが、アサヒの放った激しい炎へと溶け込む。限界まで威力を底上げされた太陽の如き猛火は、押し寄せていたモンスターの群れを一瞬にして焼き尽くした。
ドォン―ッ!
鼓膜を震わせる爆発音の余韻を残し、あたりは嘘のように静まり返る。
「やった…!」
ナギの顔に安堵の笑みが浮かび、嬉しそうに拳を突き上げた。―その、瞬間だった。
バリ、バリバリッ!
彼の足元で、突如として不吉な破壊音が鳴り響く。
「黒曜の谷」。
ガラス質の地面は、火炎魔法の高すぎる熱に耐えきれず、内側から限界を迎えていたのだ。
急激な温度変化によって、足場はすでにパキパキと蜘蛛の巣状にひび割れていた。
一瞬だった。
ナギの足場が、音を立てて完全に崩落する。
「え――」
気がついた時には、すでに重力を失っていた。
はるか上空から、自分を呼ぶ仲間たちの悲鳴が遠ざかっていく。足がかりを失ったナギの身体は、抗う術もなく、底知れぬ暗黒の深淵へと吸い込まれていった。
「ナーーッギぃぃっ!!」
相棒の危機に、炎の使い手であるアサヒが喉を枯らして叫ぶ。
前線でアタッカー二人を死守していたディフェンダーのガイが、異変に気づいて振り返った時にはもう遅かった。ナギの姿は、冷徹な闇の底へと消えていく。
「そこまでだ!」
引き裂かれそうな静けさを破ったのは、担任であるボイド先生の峻烈な一喝だった。
「今日の演習はここまでとする。直ちに撤退だ!」
「でも、ナギが! ナギが下に落ちたんだよ!?」
冷徹な指示に、風魔法のアタッカーであるカゼハが、涙混じりの声で噛みつく。しかし、ボイドの容赦のない声がそれを力ずくで遮った。
「ナギは回復魔法が使える! 谷底に落ちても自分で癒やすことは可能だ! だが、今一番大切なのは、ヒーラーを失ったお前たちがここで全滅を避け、無事に帰ることだ!!!」
その怒声に、学生たちはハッと息を呑む。
ボイドは動揺に揺れる弟子たちを鋭い眼光で睨みつけ、諭すように言葉を繋いだ。
「学校に戻り次第、すぐに王国騎士団へナギの救助を要請する。そのためにも、全員で生きて戻るぞ。命がかかった現場で、優先順位を見失うな!」
アサヒとカゼハは悔しさに唇を血がにじむほど噛み締め、拳を握りしめた。ガイもまた、悲痛な面持ちで重い盾を握り直す。
3人は涙を拭い、谷底に残されたかけがえのない仲間の無事を、ただひたすらに信じて、地を蹴った。
コメント
1件
うわ、第1話からいきなり仲間が谷底に落ちる展開で胸が苦しくなりました…!「コズミック・オーラ」と「フレア・ボルテクス」の連携技、すごくカッコよかったのに、その代償が足場の崩落だったのが切ない。ナギくん、回復魔法が使えるとはいえ、暗闇に吸い込まれていく描写が生々しくてゾッとしました。先生の冷徹な判断もリアルで、優先順位を突きつけられる現場の厳しさが伝わってきます。アサヒたちの無念が痛いほど伝わってきて、続きが気になりすぎます…!