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個性豊かな動物たちが暮らすマダガスカル島。そこに、細長く突き出た顔、体より長く、黒と白の輪が連なっているような尻尾。地味だけど美しい灰色の毛をもつこの生物は、ワオキツネザルです。
マダガスカルのある保護区の南部に暮らす、2頭のメスのワオキツネザルの生活を見つめます。
ワオキツネザルは、マダガスカルのみに住む原始的なキツネザルの仲間。細長く突き出た顔がキツネを思わせます。黒と白の輪が連なったような尾が特徴的で、これがワオキツネザルの名前、「輪尾」に由来しています。頭の先から尻尾の付け根までは40センチほど。尻尾は自分の体より大きいです。
森の中央、レッド・サークルという一番大きな縄張りに、固い絆を結んでいるキツネザルが住んでいます。
アリコとミスティです。
アリコとミスティはメスのワオキツネザルでアリコは7歳。ミスティは3歳の若いワオキツネザルです。今、この群れ、レッド・サークルにはメスは7頭おり、そのうちの2頭がアリコとミスティでした。
この二匹は別に特に仲良しというわけでもなく、ただ一緒の群れの仲間という感じでした。
そんなある日のこと。早朝、アリコが子供を生みました。アリコの子供は元気に生まれてきました。そしてアリコの乳を一生懸命吸いました。
あちらこちらでワオキツネザルたちが子供を産んでいました。
ミスティも、例外ではありませんでした。ミスティは初めて子供を産んだのです。
しかし、思わぬアクシデントがミスティの身に起こりました。
乳が出なかったのです。ミスティは生まれて初めての出産。うまく出ないようでした。
慌てるミスティ。こうなればミスティの子供が命を落とすのは時間の問題です。
と、そこに赤ちゃんを抱いたアリコが颯爽とその場に現れました。そしてミスティに近づき、そばに座りました。
そして_
なんとアリコがミスティの赤ちゃんを奪ったのです。
驚くミスティ。「なにするの!」と言わんばかりにアリコから子供を取り戻そうと焦ります。しかし、アリコはミスティの子に乱暴なことは一切しませんでした。なんと、自分の子といっしょに授乳を始めたのです。
元々血の繋がりはない二匹。血のつながっていないワオキツネザルの子供を授乳するのは滅多にありません。ミスティを助けたアリコは、さも当たり前のように乳離れが住むまで授乳をしていました。