テラーノベル
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から君
「もー、急いでるのに誰!」
少しイライラしながら扉を開けると、
そこには私の仕事の部下・ 国木田独歩が立っていた。
「あれ、国木田くん。おはよう」
「おはよう、じゃないですよ楠木さん…」
彼は深いため息を吐き、準備をしていて身だしなみが整っていない私を見た。
「連絡も無しに来てしまってすみません。ですが、遅刻常習犯の貴方を見過ごすわけにはいきませんので」
「国木田くんは相変わらずしっかり者だねぇ。私よりも3歳も歳下なのに」
「誤差でしょう」
「3歳の差は大きいよ………。すぐ準備するから、待っててくれる?」
「10分でお願いします」
「女にそれは無茶振りだなー……了解、ありがとう。間に合わせる」
バタバタと支度を済ませ、結果4分で準備は終わった。
かなり不格好な姿をしている自覚はあるが、まぁ大丈夫だろう。
コンコン
「楠木さん、終わりましたか?」
「うん。今行くよ………あ」
靴を履いて玄関の扉に手を付けた時、忘れていたことに気がついた。
「…いってきます、織田作」
たった1枚の婚約者との写真を眺めながら、彼との婚約指輪にそっと口吻をした。
「おまたせー、国木田くん」
「ちょっと…髪ボサボサですよ」
「……いいの。早く行こう」
私の愛する人はもう、この世にはいないのだから。
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