カチャ…
バンッ バンッ
「……あれ、まだ生きてる?」
ガッ!
「………死んだなぁ____…」
昔から私は1人だった。
父は酒癖が悪く、酒を飲んでは母、私、妹を殴っていた。
母はそれに耐えきれず、私と妹、父を殺して自分も死ぬ一家心中をしようとした。
だけれど最初に父を殺す時に道連れにされて、両親は死んでしまった。
悲しくはなかった。どうせ人間は死ぬのだから。
それから助かった私と妹は懸命に生きたが、やはり子供2人だけでは無理があった。
ある日見知らぬ男が私達の住処に入って、妹を犯して殺した。
私はその時は稼ぐために年齢を隠して援交をしていて、丁度お相手に会いに行っていたところだった。
妹が犯され、殺されている所を見て、私は____…
何も思わなかった。
否、思えなかった。
私の精神は父に虐待されてからとっくに壊れていた。
何も思わない。
何も感じない。
その方が、生きるのが楽だから。
黙って妹が殺されているのをいていれば、男が私に気付いた。
「君、この子よりも綺麗な整った顔をしているね……」
「ぐちゃぐちゃにしてあげようね………」
男はそう言って近づいてくる。
妹の亡骸を投げ捨てて。
「……………………。」
ドンッ!!!
鈍い銃声が部屋に響くと、その男は私の胸に倒れた。
「…おや、君は?」
薄っすら煙がたつ銃を男がこちらに向けていた。
「…よく見ると愛らしい顔をしているね、名前は?」
「え」
男は銃を下ろすと、ニッコリと笑いながら優しい声色で訪ねてきた。
「_____……」
「そう、_____というのだね。…では、こちらは?」
男は見慣れた様子で妹の亡骸を指さした。
「………私の、妹……」
「……………そうか。
それで、泣いていたんだね」
最初、この男が言っていることが分からなかった。
泣いている?誰が?
………________私、か。
「おっと、すまない。自己紹介を忘れていた」
男はしゃがんで丁寧に私の目の涙を拭ったら、少し下に顔を浮かべた。
「私は森鴎外。君にはわからないかも知れないが、ポートマフィアの一員だよ。」
優しく微笑む彼は、何故か嬉しそうにしていた。
「何故、そんなに笑っているの……?」
「____それはね、君にとても良い才能を感じているからだよ」
彼は私をぐいっと軽々抱き上げると、暗い引き込まれる瞳で私を見つめた。
「私のポートマフィアへ来ないかい?」
“私がいる”
ではなく、
“私の”
と、彼は言った。
先程までポートマフィアの一員と言っていたのに、どうして彼のポートマフィアなのだろうか。
__それはきっと、今のボスを消すからだろう。
幼ながら、私は彼のしようとしていることを察してしまった。
「…………いいよ」
それなら、堕ちてしまおう。
「……随分、あっさりしているね?」
「勿論、だって………
時雨は、いつも無慈悲に流れるでしょう?」
苦しいくらいが、丁度良い。
コメント
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最後の染雨の「時雨は、いつも無慈悲に流れるでしょう?」という言葉がありますが、このセリフの「時雨」の意味は「涙」です。ググったら出てきます!
最高なストーリーです!