テラーノベル
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その日の撮影は、やたら騒がしかった。
「リオ似合ってる〜!」「絶対バズるってこれ!」
無理やり着せられたメイド服。
スカートを気にして落ち着かないリオに、メンバーは大笑い。
リ「やめろって、ほんとに…」
耳まで赤くしながら、裾を引っ張る。
その間誰よりもニヤニヤしながらこっちを見ている人がいた。
サンウォン。
サ「……」
腕を組んで、ニヤニヤしながら見てる。
その視線に気づいた瞬間、
リオは妙に落ち着かなくなった。
夜
撮影も終わって、寮の部屋。
やっと一人で落ち着ける_
はずだったのに。
コンコン、と軽いノック。
サ「…リオ」
聞き慣れた声。
ドアを開けると、サンウォンが立ってた。
リ「どうした」
サ「ちょっといい?」
いつもより静か。
そのまま部屋に入ってきて、ドアが閉まる。
逃げ場が、なくなる音。
サ「今日さ」
ぽつり、とサンウォンが言う。
サ「可愛かったね」
リ「は?」
予想外すぎて、間抜けな声が出る。
リ「いや、あれは変だっただろ」
サ「ふーん」
興味なさそうな返事。
でも、近づいてくる足は止まらない。
サ「…似合ってたし」
リ「やめろって」
思い出して、また少し顔が熱くなる。
あんな格好、二度としたくない。
なのに_
サ「もう一回着て」
一瞬、意味がわからなかった。
リ「……は?」
サ「さっきの」
目、逸らさないまま。
サ「ここで」
理解した瞬間、心臓が変な跳ね方する。
リ「無理に決まってんだろ」
即答。
でもサンウォンは引かない。
サ「なんで」
リ「なんでって…」
サ「さっきはあんなに見せてたのに」
その言い方に、少し棘がある。
サ「カメラの前ならいいんだ」
リ「仕事だから…」
サ「じゃあ僕にはダメ?」
一歩、距離が詰まる。
逃げようとして、後ろに下がると、
すぐ壁にぶつかった。
リ「……」
サンウォンが、ゆっくり息を吐く。
サ「僕だけ、ダメなんだ」
その言い方が、ずるい。
責めてるわけじゃないのに、
逃げ道がなくなる。
リ「…違う」
小さく返すと、
少しだけ目が揺れる。
サ「じゃあ着てよ」
間を置かない。
リオは言葉に詰まる。
でも、その沈黙が_
答えみたいに扱われる。
結局、
袋の奥に押し込んでた衣装を取り出して。
リ「……絶対笑うなよ」
背を向けたまま言う。
サ「笑わない」
即答。
それが逆に怖い。
数分後。
ぎこちなく出てきたリオに、
サンウォンは一瞬、言葉を失う。
サ「……」
さっきと同じ服なのに、
全然違う。
カメラも、メンバーもいない。
ただ二人だけの空間。
サ「……こっち見て」
低い声。
リオは少しだけ迷って、
ゆっくり振り返る。
その瞬間_
腕を引かれる。
リ「っ、サンウォン…」
そのまま近くに引き寄せられて、
逃げられない距離。
サ「やっぱ無理だった」
ぽつり。
リ「何が」
サ「これ、皆に見せてたの」
そのまま、額を押し当てる。
サ「…やだ」
子供みたいな独占欲。
でも力はしっかりしてる。
サ「もう着ないでね、外で」
矛盾してるのに、本気。
リオは少しだけ息を吐いて、
何も言わずに
サンウォンの肩を軽く押す。
距離を作るようで_
そのまま、
自分から唇を重ねた。
一瞬の静寂のあと、
サンウォンの手が強く背中を引き寄せる。
サ「……ほんとずるい」
低く呟きながら、
今度は奪い返すみたいにキスを深くする。
サ「次から」
唇が離れたあと、
サンウォンが小さく言う。
サ「僕の前だけにして」
リオは、何も言わないまま
少しだけ視線を逸らして_
でも、拒まなかった。
#サンウォン
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