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猫カフェの余白 / 伊波 ライ×らっだぁ
MADTOWNとして親しまれるこの街の夜は、人々のざわめきと、遠くから響き渡るサイレンの音が絡み合い、まるで街そのものが脈打っているようだ。
俺、らっだぁは、猫カフェのカウンターに立ち、閉店後の片付けに取りかかろうとしていた。
店内は、遊び疲れた子猫達が丸くなって深い眠りについており、俺の呼吸音と歩く度に鳴る、「キィー」という 床の軋む音だけが聞こえる。
___ 入口の扉に取り付けられてあるベルが、「カランカラン」と軽やかな音をたてて鳴り、警察服に身を包んだライくんが姿を現した。
ライくんの肩についている無線機が小さくノイズを吐き、革靴が床を叩く音が店内に反響する。
らっだぁ ) ライくん、こんな遅くにどうしたの?
ライ ) 閉店してるのにすみません、らっだぁさんと話したくて…
普段、パトロールで忙しい彼が、こんな時間に猫カフェに立ち寄るのは初めてではない。最近、ライくんはよくここに足を運ぶようになったのだ。
子猫を触りにきたり、パトロールの休憩でコーヒーを飲みにきたり___。
その度に、俺の軽口に真剣に答える彼の姿が、何故か胸の奥に引っかかる。
カウンターでコーヒーを淹れながら、俺はいつもの調子で他愛ない話を振ってみる。
らっだぁ ) ライくん、今日もパトロール? この街、最近落ち着いてるよね
ライ ) らっだぁさんのおかげかもしれませんね。この猫カフェ、街の癒しですから
ライくんの言葉に、俺は小さく笑う。だが、ライくんの目がいつもより真剣で、どこか遠くを見ている気がした。
コーヒーカップを渡すと、ライくんは無線機を弄りながら、ぽつりと呟いた。
ライ ) 俺、らっだぁさんの笑ってる姿を見ると落ち着くんです。でも、最近、それが少し怖くて…
らっだぁ ) 怖い? 俺の笑顔が怖いか笑
俺は、 軽く笑って誤魔化そうとするが、ライくんがカウンターにグイッと身を乗り出して、俺をじっーと見つめてくる。
ライ ) らっだぁさん、俺、気づいてしまったんです。あなたの笑顔が、俺にとって特別すぎるって
ライくんの声は、限りなく熱を帯びていた。心臓がドクンと跳ねる。足元で子猫が小さく鳴く声が、静寂を際立たせる。
らっだぁ ) ライくん…急に何だよ。照れるじゃん
ライ ) らっだぁさん…俺、らっだぁさんのことが好きです。返事はいつでもいいので、この気持ち受け取ってくれませんか?
ライくんの手が、カウンター越しに俺の手をそっと覆う。その温もりは、まるで心の奥まで染み渡りそうで、俺の軽口が止まった。
窓から差し込む街の光が、ライくんの真剣な顔を柔らかく照らした。
俺は目を逸らさず、ゆっくりと頷いた。ライくんの手の温もりに呑み込まれそうになりながら___
madtownの夜は、こんな風に心を暴く。
子猫の寝息と、遠くのサイレンが、静かに寄り添うように響き合う。
続
コメント
6件
神ですね!?!?!? そんな物語描いてみたすぎる、·͜· ❤︎ 続き待ってます🫶🏻︎💕︎︎
めっちゃ好みすぎる...