彼女と二人で歩いて警察署に向かった。警察署まで徒歩で二十分ほど。近くても身の安全を考えればタクシーを使うべきだろう。十分ほど歩いたところで陸たちが険しい表情で待ち伏せしているのを見て、僕は内心ほくそ笑んだ。冬花から連絡を受けて、僕らが警察に行くのを阻止しようとしたのだろう。
陸だけでなく雅人も圭太もいる。三人とも彼女をセフレ扱いしていた鬼畜。ただ冬花とセックスしたのは陸だけのようだから、雅人と圭太が警察に逮捕されないのは残念だ。でも三人まとめて追撃する別策ならすでに用意してある。
川沿いの一本道。逃げ場はない。引き返しても追いつかれるだけだ。河川敷に逃げる? 僕をボコボコにする舞台を提供するだけだ。ということで彼女を連れて河川敷に下りた。
当然、やつらも下りてきた。巨体の陸が近づいてくると、それだけで威圧感がある。僕らの目の前まで来て、陸が口を開いた。
「大中寺、妹に聞いたぜ。おれが不同意性交したと警察に通報する? 妹の行為動画も警察に見せる? 正気か? 実の妹をさらし者にするなんてかわいそうだと思わねえのか? おまえが通報したところで、おれと冬花が結婚前提の真剣交際だと言い張ればどうせ立件もされねえぜ。なあ、おたがい無駄なことはやめようぜ」
「かわいそう? じゃあ、映山紅さんをセフレ扱いしてたとき、一度でもかわいそうと思ったことがあるのかよ! クズならクズらしく少年院にでも行けばいい」
「なんだと? 下手に出れば陰キャのくせにつけあがりやがって! おれがおまえに何かしたか? 隣にいるビッチには楽しませてもらったがな。それだっておれたちは強制して何かさせたことは一度もない。ビッチと遊んだだけのおれたちに逆恨みするのは間違いだ。恨むならビッチ本人を恨んだらどうだ?」
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