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こういう日常の欠片みたいな小説が大好きなんだよなぁぁぁ!!!!なんでこんなにもいい小説を描けるのかしら、良すぎて腹が立ちますわ(?)この蒼井茜を振り回す源輝が源輝しすぎてて可愛いし、それにちゃんと文句を言う蒼井茜も蒼井茜すぎて好き。この意識のすれ違いがもう…ッ(泣)
待って普通に好きなんですけど?! これからも頑張ってくださいぃ!!
「蒼井今日暇?」
「暇…です、けど……」
嫌な予感しかしない。
答えを間違えた気がする。
今日は全クラスが短縮授業でいつもより早めに帰れる日。
そんな日に委員会活動なんかある訳ないのに、会長に呼び出された。
人伝に聞いたせいで断ることも出来ず、渋々来たらこれだ。
一体何を企んでるんだ…
「暇ならさ、一緒に肉まん食べない?」
「…は?」
・—————————————–・
急に何を言い出したかと思えば、にっこにこの顔でコンビニまで連行された。
「ちょ、まってまって、マジで何なんですか!」
「だから肉まん食べよって。僕食べたことないんだよね。」
目を輝かせながらショーケースの中のホットスナックを眺める。
「ねぇ見て、角煮まんだって!唐揚げも種類いっぱいあるよ!」
当たり前のことを子供みたいに喜びながら報告してくるもんだからさすがに僕も恥ずかしい。
でもこの人からしたらそれが当たり前じゃないんだろう。
そう考えると少し可哀想に思えてくる。
いや可哀想なんて思っちゃ駄目なんだけど。
「ちょっと落ち着いてください。食べたことなくても見た事くらいあるでしょ」
「ないよ」
「仕事終わりにしか来ないから、もう売ってないんだよね」
仕事終わり、つまりド深夜のことだろう。
会長も色々苦労してんだな〜と改めて思う。
意外と完璧主義な会長は、僕の前くらいでしか自分勝手な子供っぽい面を見せない。
なんでその相手が僕なのかは正直よくわからないが、僕以外の適任者が見つかるまでは仕方なく付き合ってあげようと思う。
ストレス発散の玩具にされるのは御免だが…
「ねぇ蒼井はどれにするの?」
「え、僕も食べるんですか?」
「一緒に食べるって言ったでしょ」
なぜか僕も食べることになっているらしい。
正直今そんなにお腹すいてないんだが…
・—————————————–・
結局僕も肉まんを買わされた。
会長はピザまんを買ったらしい。
肉まんが食べたかったんじゃないのか…?
「…ん!チーズ入ってる!」
「でもこれだったら普通のピザの方が好きだなぁ」
「そうですか…」
一体何なんだこの人。
会長のことは気にせずに肉まんを頬張る。
寒い時期だからかいつもの倍美味しく感じる。
肉まんも色々な種類があるけど、やっぱり普通の肉まんが一番美味しい気がする。
隣から感じる視線を無視して食べ進めていたが、ずっと此方を見てくるせいで、だんだん無視するのもめんどくさくなってきた。
「……なんですか」
「一口ちょうだい」
「嫌です」
「僕のもあげるからさ、肉まん食べたいだもん」
じゃあなんでピザまんにしたんだよ。
「会長の食べかけなんかいりません」
断っても一口だけ、一口だけ、としつこく催促してくる。
仕方なく肉まんの下側をちぎる。
あ、思ったより大きくなっちゃった。
まぁいっか。
「はい、これでいいですか」
「別に食べかけでもよかったのに」
思わず寒気を感じた。
せっかく体が温まってきたのに。
不格好になった肉まんが冷める前に早く食べよう。
さらだサン
「ほら、お返しどうぞ」
なぜか会長からピザまんの欠片が返ってきた。
いらないって言ったのに。
というかちぎるの下手すぎないか…?
ほぼ皮しかない、というか具がない。
「いや、大丈夫です」
「いいから、ほら口開けて」
どうやら僕が食べないと気が済まないらしい。
“あーん”というより”餌付け”の方が近い気がするが。
会長の手から直接食べるのは流石に抵抗がある。
あぁ…もう、こうなったら……
餌付けしようとする手を押さえ、反対の手のピザまん本体にかぶりついた。
予想外の行動だったのか会長がフリーズした。
人間焦った時、追い詰められた時は何をするかわからない。
会長の食べかけなんていらないと言いながら自分から食べにいったし、
勢い余ってかぶりついたため、口いっぱいにピザまんを頬張る羽目になってしまった。
「…やっぱり肉まんの方が好きです」
会長からは何も言葉が返ってこない。
どうしたのかと顔を見上げると、会長は驚いたような表情で固まっていた。
「…お望み通り食べましたけど……」
「…それ関節キスってわかってる?」
「殴ってもいいですか?」
わざわざ言葉に出さないでほしい。
そもそも関節キスという響きが良くない。
別に同性だしそんなに気にすることでもないだろう。
「別にあんたにダメージないんだからいいじゃないですか」
そうだ、ダメージがあるのは僕の方だ。
僕は多大なダメージを受けてもあんたはノーダメなんだ。
それなのに…
「…なんでそんな顔してるんですか」
照れと嬉しさと羞恥と、色々な感情がごちゃ混ぜになった顔。
そんなに嫌だったなら最初から餌付けなんかしなきゃよかったのに。
「いや、なんか面白くて…」
「どう考えても面白そうな顔してませんけど」
「嫌だったとしても自業自得ですからね」
「嫌じゃないんだけど…なんか、うん」
なんか濁された。
本当に何なんだこの人。
「それよりさ、もう帰ろうよ。僕寒い」
「よく自分勝手って言われません?」
会長は何とも言えない嬉しそうな顔で次の約束をし始める。
それを止めない、断らない僕も僕だな。