テラーノベル
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新連載始めます。異世界パロです。死ネタ含みます。バリバリ日本人の名前で日本語話してますが中世ヨーロッパを舞台にしているつもりです。それでも大丈夫という方は本編へどうぞ。
〜プロローグ〜
見渡す限りの焼け野原。あちこちが剥がれ落ちた城内。
とてもじゃないが、ここから王国が復興したとは思えないほど荒廃している。…当時の王は、どれだけの覚悟と信念を持っていたのか。生半可な者なら不可能だったはずだ。それも今では、知る由もないが。
これは、一つの王国が滅びかけ、そして再生しようともがく物語。
そして、3人の青年が紡ぐ、
―――儚くも美しい、友情の物語。
〜序章〜
―茜色と夜の影―
この国で一番大きな城。その荘厳な門の前に、無邪気な子どもの声が響いた。
「りょ〜ちゃん!今から遊ぼ?」
「えっ、若井?今日お稽古じゃないの?」
「…抜け出してきちゃった、笑」
ばつが悪そうに伏し目になる彼、若井滉斗。騎士の名家の生まれで、いろんな大人が彼の剣技を褒め称えるけど、俺からしたらただの「幼馴染の若井くん」でしかない。
「ちょっと〜、次のお稽古俺と一緒じゃん!俺まで怒られちゃう…ほら、一緒に行ってあげるから!謝ろ?」
「分かったよぉ…」
若井が不貞腐れた様子で頬を膨らませた。俺はそんな彼の手を引いて、茜色に染まっていく石畳の上を駆け抜けた。そうしていると、見慣れた石のアーチが見えてくる。もう何度、ここをくぐったんだろう。
「大森せんせっ、!」
息を切らしながらも恩師の名を叫んだ。すると奥にいた彼がおもむろにこちらを振り向き、
「…若井。お前、またやったろ。」
普段よりワントーン低い声で、そう言った。怒った大森先生を見るのは初めてではないどころか、今まで何度も怒らせてきたけど、この怖さには多分一生慣れないだろう。
「…すみません。」
「若井は今すぐ、素振り100回な。」
若井はうげっ、と声を上げたが、渋々素振りを始めた。
「で、藤澤はなんで来たの?もっと指導してほしいです〜みたいな?」
「…いや、若井が一人じゃ行かないから…。」
「確かに。それはそうかも。…でもせっかく来たんだからさ、練習、するよね?笑」
「…はぁい…。」
彼、大森元貴さんは、俺や若井の稽古をつけてくれる先生。先生、俺たちとは3つしか歳は変わらないのに、すごく大人びてるんだよね。剣の扱いも上手だし、俺と若井の憧れの人なんだ。…でも、圧のかけ方まで上手いのはやめてほしい。笑
「藤澤、もっと相手の目見る。」
「はいっ。」
「…若井、素振りちゃんとやれ。」
「っえ、あ、ごめんなさい…。」
先生が俺に指導していたからバレないと思っていたのか、早速素振りをサボっていた若井が素っ頓狂な声をあげた。先生、流石だなぁ…。視野が広い。
周りの大人たちは、俺が王家の血を引いてるってだけで距離を置いてくるし、たとえ俺がどんなミスをしても責めてこない。執事とかメイドとかだって、いらないって言ってるのにつけてくるし…。でもそれに対して先生は、俺にも他の生徒と同じように接してくれるんだ。大好きな、俺の恩師。
しばらくして日がすっかり沈み、「そろそろ終わろうか」、そんなことを3人で話していた、その時だった。
バタンッ!!
稽古場の扉が大きな音を出して勢いよく開いた。
「藤澤様っ!!」
多分うちのメイドの内の一人であろう人物が中に入ってきて、俺の名前を呼んだ。
「何?お付きはいらないって何回言ったらわかる――」
「違うんです!!国王様が…お父様が何者かに討たれました!!」
コメント
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え〜〜〜〜!!!また面白そうな…好きです〜〜〜〜次が気になる😘🥰