「夏祭りか」
ロウは廊下に貼ってある夏祭りのポスターを真剣な眼差しで見つめていた
せっかくウェンと『恋人』になったし、だいぶダルいけど、こういうの行ってみたいってちょっと思っつある自分がいるんだよな···
「でも・・・」
ロウはゆっくりと視線を横に変える
「ウェンくん!!これ知ってる?」
「何?あっ知ってるよそれ!!」
「ウェン!!これやるよ」
「えっ!いいの!!ありがとう〜」
ロウの目にはウェンが友達に囲まれながら楽しく話している光景が入ってくる
あいつ友達多いし、もう夏祭り予定入ってるよな···
てか!!なんで俺があいつにこんなモヤモヤしないといけないんだよ!!
「はぁ〜···らしくね〜な俺」
昼休み
「「はぁ〜···」」
昼休みの空き教室で深刻な顔をした2人
あれ?ウェンも何か悩み事か?
「ウェン?どうかしたのか?」
「実はさ〜、最近付き合って欲しい!!ってしつこく言ってくる女子がいてさ〜」
「モテるやつは大変だなぁ」
「それで···ついいきよいで、『付き合ってる人がいる!!』って言っちゃって···」
「はぁ!!俺たち付き合ってる事内緒にするって決めただろ」
「それはわかってるよ!!···それに『じゃあ写真見して!!』って言われちゃったし」
「お前な···」
「ごめんじゃん!!はぁ〜どうしようロウを連れていくなんて出来ないし···困ったな···うぅ〜助けてロウ!!」
ウェンは目がうるうるしながらロウを見つめている そんな姿を見てちょっと可愛いと思ってしまった
惚れた弱みってやつだな···そうロウは密かに思った
「う〜ん女子の友達に頼んでみたら?」
「いやだ!!僕の恋人はロウだけだもん!!」
「お前ダルいな···諦めてもらうために偽彼女をお願いするだけだって」
「いやだ〜」
「めんどくせぇ〜なお前」
「偽でもやだ」
15分後
「どうすんだよウェン」
ロウが考えた提案も全部断られ、なかなか解決策が浮かばず昼休みが終わりをむかえそうになった時
「あっ!!」
「ッ!!どうした?」
「いい事思いついた!!ロウ手伝って」
「えっ!なんで俺?!」
なんか嫌な予感がするんだけど!!
数日後
「「ロウ(くん)可愛い〜!!」」
「なんで俺がこんな事···」
ウェンは女装させるのが趣味の親戚のお姉さんに頼み、ロウを女装させ彼女のフリをしてもらおうと考えた
嫌な予感が的中してしまった···
「ウェンお前···騙したな!!」
「騙したなんて人聞き悪いな〜」
「でもちょっとこのスカート短すぎないか?」
そう言うとロウはスカートを引っ張った
なんか足がスースーする、てかめちゃ恥ずかしい!!
「短くないよ〜可愛いよ!!ロウ」
ウェンは目を細めながらそう言う
ロウはそんな顔を見て視線を逸らしボソッと
「嬉しそうな顔すんなよ···」
そう呟いた
そんな2人を横目にお姉さんは
「ラブラブだね〜2人とも」
「まぁ〜ね!!」
「どこをどう見たらそうなるっすか」
「えっ!!ロウきゅん酷い」
「酷くないだろ···あとロウキュンって呼ぶな」
「じゃあ、とりあえず写真撮っちゃいましょ!!」
「そうだね!!ほらロウこっちおいで」
ウェンはロウの手を取り自分の所に引っ張った
てか、近!!
「ちょっと近すぎないか?」
「恋人なんだから当たり前でしょ〜」
はぁ〜まじかよ···
そんな事を考えていると、ウェンが手をロウの手に絡ませていき、恋人繋ぎになっていた
ッ!!こいつ平然と恋人繋ぎしてきやがった
でもなんか、俺の心臓もうるさくね···
「はい!!取れたよ2人とも、どっからどう見ても恋人にしか見えない!!」
「おっ!!ほんとだ〜これでどうにかなりそう···ありがと2人とも」
「いぇいぇ、ロウくんを女装させるの楽しかったし」
「俺は最悪だけどな〜」
「え〜ロウめちゃくちゃ似合ってるのに」
「そう言う問題じゃね〜よ」
「あっ!!そうだ2人とも」
お姉さんが2人に1枚の案内チラシを見せる
「せっかくだし今日やってる夏祭り行ってきたら?」
「あっ!!」
夏祭りの事完全に忘れてた?!
「いいね!!一緒に行こロウ」
「お前、友達と行ったりする予定とかないんか?」
お前なら一つぐらい行く約束とかしてそうだけど···
ウェンはきょとんとした顔をした後、いつもの笑顔に戻り
「入ってないよ!!元々ロウと行くつもりだったから」
そうか···俺と行くつもりだったのか···ちょっと嬉しいな
そんな事を思っていると、ウェンが満面の笑みでこちらを見ている
「んだよ···」
「いや〜、ロウなんか嬉しそうな顔してたから、そんなに僕と行きたかったのかな〜って思って」
そう言われロウは少し焦った顔をした
「なっ!!別にそうじゃね〜し!!」
何俺喜んでんだよ!!前はこうじゃ無かったのに···くそっ調子狂うな
「じゃあ俺着替えてくるから」
「何行ってるのよ〜ロウくんは女装のまま浴衣着て行って貰うのよ」
「えっ?!」
過去1の驚いた顔をしているロウを見てウェンは大爆笑している
「おいウェン!!笑い事じゃね〜ぞ!!」
「さぁ〜着替えるわよ〜」
そういうと、お姉さんはロウの背中を押し別室に連れて行こうとしている
「おい!!ウェン何とか言ってくれ!!」
「行ってらっしゃいロウ!!」
ウェンは満面の笑みでロウに手を振っている
あいつ!!他人事だと思いやがって
「あなたも大変ね〜」
お姉さんは苦笑いをしながらロウにそう言った
「じゃあ女装の浴衣無しにして貰っていいっすか···」
「ダメよ〜さっ!!着替えよ〜ね〜」
おい!!こいつもウェン側じゃね〜か!!
数分後
青色の布に白色花と金色の線が入っている浴衣を着て髪の毛をお団子に結んだ女性···ではなく女装したロウがウェンの前に立っている
「どうだ?ウェン」
「めちゃくちゃ可愛いよ!!やっぱり何着ても可愛いなぁ〜」
「嬉しくねぇ〜けど···サンキュ」
ウェンも少し髪型を変えてシンプルな濃いピンクの浴衣を着ていた
こいつ何着ても似合うんだな···
少し胸がドキッとしたのは隠しておこう
「ウェンも···似合ってるぞ」
「ほんと!!嬉しい〜」
ウェンはすごく嬉しそうな顔をしている
こいつ···いちいち感情がわかりやすいなぁ〜
「じゃあ2人とも行ってらっしゃい」
「「行ってきます」」
そして、2人は夏祭りに向かって行った
次回に続く